134 / 212
パティの武器2
しおりを挟む
「ちょっと待ってよ!パティの特訓ってこれから?もう夜じゃない。今夜はパティとデイジーと一緒にお泊まり会するんだから別な日にしてよ!」
それまで黙って事の成り行きを見守っていたマイラが大声をあげた。今夜パティたちは、マイラの家に泊めてもらう予定だったのだ。
パティは突然のエリオの宣言に固まってしまった。パティの杖の特訓をしてくれるのは嬉しい。だがもう夜だし、付き合わされるコジモたちにも申し訳ない。事前にパティたちが泊まれるように準備してくれたマイラにも迷惑がかかってしまう。
言い出したら聞かないエリオはマイラをにらんで言った。
「お泊まり会ならいつでもできるだろう?俺たちがパティの特訓につきあえる時間はあまりねぇ!ここは俺たちに譲れ!」
マイラは顔をしかめて、エリオにさらに何か言おうとすると、デイジーが彼女を止めた。
「マイラ。特訓が終わったら、すぐにパティたちと貴女の所に向かうわ。だからあたしたちを行かせて?」
親友にこう言われてマイラは黙ってしまった。
こうしてパティたちは、せわしないエリオに連れられて城下町近くの森の中に入った。
街の光のない森の中は真っ暗だった。エリオはマックスにお願いして火の玉をたくさん出してもらった。
マックスの火魔法で作り出された火の玉はぷかぷかと空中に浮いて、森の中を淡く照らした。
エリオはパティに向かって言った。
「パティ、これからお前に杖の訓練を行う」
「はい!よろしくお願いします!」
エリオはニヤリと笑ってうなずいてからデイジーに声をかけた。
「デイジー。杖を持ったパティと戦え。真剣でだ」
「はぁ?!真剣でなんてできるわけないでしょ?!パティがケガしたらどうすんのよ!」
エリオの後ろに立っていたデイジーは、エリオの命令に怒って反論する。エリオは怒るデイジーをうるさそうににらんで答えた。
「はぁ?パティにケガさせるって思うならデイジーの剣技がその程度って事だよ。ならお前の剣を貸せ。俺が手本を見せてやる」
デイジーは小さく舌打ちをすると、腰の剣を抜き、エリオに向かって無造作に投げた。パティはキャッと悲鳴をあげた。デイジーの投げた剣が、エリオに刺さってしまうのではないかと思ったからだ。
エリオは剣の行方に目もくれずに、空中でつかを握り構えた。パティもならって杖を構える。
パティは背筋がヒヤリと寒くなった。これまで杖の対戦練習はすべて模擬刀で行われていた。
目の前のエリオが構えているのは紛れもない真剣だ。もし刃に触れてしまえば、パティの指や手は簡単に切り離されてしまうだろう。
エリオは険しい視線をパティにくれながら言った。
「パティ。俺がパティにケガをさせないと断言できるのは、パティが杖の扱いを型通りにできるとふんだからだ。もしパティは真剣に恐れをなしてタイミングが一つでもずれれば、パティの腕は吹っ飛ぶって考えろ」
「!。はい!」
それまで黙って事の成り行きを見守っていたマイラが大声をあげた。今夜パティたちは、マイラの家に泊めてもらう予定だったのだ。
パティは突然のエリオの宣言に固まってしまった。パティの杖の特訓をしてくれるのは嬉しい。だがもう夜だし、付き合わされるコジモたちにも申し訳ない。事前にパティたちが泊まれるように準備してくれたマイラにも迷惑がかかってしまう。
言い出したら聞かないエリオはマイラをにらんで言った。
「お泊まり会ならいつでもできるだろう?俺たちがパティの特訓につきあえる時間はあまりねぇ!ここは俺たちに譲れ!」
マイラは顔をしかめて、エリオにさらに何か言おうとすると、デイジーが彼女を止めた。
「マイラ。特訓が終わったら、すぐにパティたちと貴女の所に向かうわ。だからあたしたちを行かせて?」
親友にこう言われてマイラは黙ってしまった。
こうしてパティたちは、せわしないエリオに連れられて城下町近くの森の中に入った。
街の光のない森の中は真っ暗だった。エリオはマックスにお願いして火の玉をたくさん出してもらった。
マックスの火魔法で作り出された火の玉はぷかぷかと空中に浮いて、森の中を淡く照らした。
エリオはパティに向かって言った。
「パティ、これからお前に杖の訓練を行う」
「はい!よろしくお願いします!」
エリオはニヤリと笑ってうなずいてからデイジーに声をかけた。
「デイジー。杖を持ったパティと戦え。真剣でだ」
「はぁ?!真剣でなんてできるわけないでしょ?!パティがケガしたらどうすんのよ!」
エリオの後ろに立っていたデイジーは、エリオの命令に怒って反論する。エリオは怒るデイジーをうるさそうににらんで答えた。
「はぁ?パティにケガさせるって思うならデイジーの剣技がその程度って事だよ。ならお前の剣を貸せ。俺が手本を見せてやる」
デイジーは小さく舌打ちをすると、腰の剣を抜き、エリオに向かって無造作に投げた。パティはキャッと悲鳴をあげた。デイジーの投げた剣が、エリオに刺さってしまうのではないかと思ったからだ。
エリオは剣の行方に目もくれずに、空中でつかを握り構えた。パティもならって杖を構える。
パティは背筋がヒヤリと寒くなった。これまで杖の対戦練習はすべて模擬刀で行われていた。
目の前のエリオが構えているのは紛れもない真剣だ。もし刃に触れてしまえば、パティの指や手は簡単に切り離されてしまうだろう。
エリオは険しい視線をパティにくれながら言った。
「パティ。俺がパティにケガをさせないと断言できるのは、パティが杖の扱いを型通りにできるとふんだからだ。もしパティは真剣に恐れをなしてタイミングが一つでもずれれば、パティの腕は吹っ飛ぶって考えろ」
「!。はい!」
51
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
冷酷魔法騎士と見習い学士
枝浬菰
ファンタジー
一人の少年がドラゴンを従え国では最少年でトップクラスになった。
ドラゴンは決して人には馴れないと伝えられていて、住処は「絶海」と呼ばれる無の世界にあった。
だが、周りからの視線は冷たく貴族は彼のことを認めなかった。
それからも国を救うが称賛の声は上がらずいまや冷酷魔法騎士と呼ばれるようになってしまった。
そんなある日、女神のお遊びで冷酷魔法騎士は少女の姿になってしまった。
そんな姿を皆はどう感じるのか…。
そして暗黒世界との闘いの終末は訪れるのか…。
※こちらの内容はpixiv、フォレストページにて展開している小説になります。
画像の二次加工、保存はご遠慮ください。
【完結】暁の荒野
Lesewolf
ファンタジー
少女は、実姉のように慕うレイスに戦闘を習い、普通ではない集団で普通ではない生活を送っていた。
いつしか周囲は朱から白銀染まった。
西暦1950年、大戦後の混乱が続く世界。
スイスの旧都市シュタイン・アム・ラインで、フローリストの見習いとして忙しい日々を送っている赤毛の女性マリア。
謎が多くも頼りになる女性、ティニアに感謝しつつ、懸命に生きようとする人々と関わっていく。その様を穏やかだと感じれば感じるほど、かつての少女マリアは普通ではない自問自答を始めてしまうのだ。
Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しております。執筆はNola(エディタツール)です。
Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。
キャラクターイラスト:はちれお様
=====
別で投稿している「暁の草原」と連動しています。
どちらから読んでいただいても、どちらかだけ読んでいただいても、問題ないように書く予定でおります。読むかどうかはお任せですので、おいて行かれているキャラクターの気持ちを知りたい方はどちらかだけ読んでもらえたらいいかなと思います。
面倒な方は「暁の荒野」からどうぞ!
※「暁の草原」、「暁の荒野」共に残酷描写がございます。ご注意ください。
=====
この物語はフィクションであり、実在の人物、国、団体等とは関係ありません。
あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話
此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。
電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。
信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。
そうだ。西へ行こう。
西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。
ここで、ぼくらは名をあげる!
ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。
と、思ってた時期がぼくにもありました…
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる