128 / 212
杖の修行5
しおりを挟む
エラルドはロレーナとパティの顔を交互に見比べてから言った。
「ロレーナが俺と打ち合いをした時、お前はピョンピョンと飛び上がって、俺に剣を打ち込んでいたな?」
「ええ、そうよ。だってお兄ちゃんの方が身長が高いんだもの」
「バカ者。相手と張り合うなど愚の骨頂だ。ロレーナ、お前は身体が小さい。ならばそれを利点に戦え」
「身体が小さい利点?」
「ああ、身体が小さいというのはパティにも言える事だが。ロレーナとパティはまだ子供で身長も低い。ならば相手の足を狙え」
「うん、それならできるかも。だけどね、お兄ちゃん。私がお兄ちゃんの足や胴体に剣を打ち込んでも、お兄ちゃんはびくともしないじゃない。お兄ちゃんにダメージを与えなければ、お兄ちゃんの間合いに入った私が倒されちゃうじゃない」
「相手にダメージを与える攻撃をすればいいだろう」
「それができないから言ってるの!」
ロレーナはエラルドの剣の弟子だが、妹でもあるので容赦がない。ロレーナはエラルドよりも口が達者なのだ。
エラルドはググッとうなってからため息をついた。
「ロレーナ、お前は自分が小さいから強い打ち込みができないと言っているのか?」
ロレーナがコクリとうなずく。パティも心の中でうなずいた。パティが何度もエラルドに杖を打ち込んでも、まるで木の葉のように払いのけられてしまうのだ。
エラルドは再びため息をついてから言った。
「ロレーナ、パティ。お前たちは俺の指導を受けているのに、ちっとも理解をしていない。どんなに身体が小さかろうと、どんなに力が無かろうと、大きく力の強い相手を倒す事は可能だ」
エラルドの言葉にパティとロレーナはきょとんとしてしまった。そんな事できるわけないと考えていたからだ。エラルドはパティたちがまるで理解していないとわかると再び話し出した。
「ロレーナとパティは剣の型を最初に行うだろう」
パティはロレーナと一緒にコクリとうなずいた。剣の修行をする時、準備運動の後、パティとロレーナは剣の型にかなりの時間をかける。エラルドはパティとロレーナが剣の振りかぶり、振り下ろしの動きを、一呼吸ごとに止めて細かく直していく。
パティたちはその間、同じ姿勢でじっと耐えていなければならない。模擬刀といっても大きな木製の剣だ。同じ姿勢を続けているうちに、腕はパンパンになる。
エラルドは剣の型こそが大きな相手を倒す力だと言うのだ。
「ロレーナが俺と打ち合いをした時、お前はピョンピョンと飛び上がって、俺に剣を打ち込んでいたな?」
「ええ、そうよ。だってお兄ちゃんの方が身長が高いんだもの」
「バカ者。相手と張り合うなど愚の骨頂だ。ロレーナ、お前は身体が小さい。ならばそれを利点に戦え」
「身体が小さい利点?」
「ああ、身体が小さいというのはパティにも言える事だが。ロレーナとパティはまだ子供で身長も低い。ならば相手の足を狙え」
「うん、それならできるかも。だけどね、お兄ちゃん。私がお兄ちゃんの足や胴体に剣を打ち込んでも、お兄ちゃんはびくともしないじゃない。お兄ちゃんにダメージを与えなければ、お兄ちゃんの間合いに入った私が倒されちゃうじゃない」
「相手にダメージを与える攻撃をすればいいだろう」
「それができないから言ってるの!」
ロレーナはエラルドの剣の弟子だが、妹でもあるので容赦がない。ロレーナはエラルドよりも口が達者なのだ。
エラルドはググッとうなってからため息をついた。
「ロレーナ、お前は自分が小さいから強い打ち込みができないと言っているのか?」
ロレーナがコクリとうなずく。パティも心の中でうなずいた。パティが何度もエラルドに杖を打ち込んでも、まるで木の葉のように払いのけられてしまうのだ。
エラルドは再びため息をついてから言った。
「ロレーナ、パティ。お前たちは俺の指導を受けているのに、ちっとも理解をしていない。どんなに身体が小さかろうと、どんなに力が無かろうと、大きく力の強い相手を倒す事は可能だ」
エラルドの言葉にパティとロレーナはきょとんとしてしまった。そんな事できるわけないと考えていたからだ。エラルドはパティたちがまるで理解していないとわかると再び話し出した。
「ロレーナとパティは剣の型を最初に行うだろう」
パティはロレーナと一緒にコクリとうなずいた。剣の修行をする時、準備運動の後、パティとロレーナは剣の型にかなりの時間をかける。エラルドはパティとロレーナが剣の振りかぶり、振り下ろしの動きを、一呼吸ごとに止めて細かく直していく。
パティたちはその間、同じ姿勢でじっと耐えていなければならない。模擬刀といっても大きな木製の剣だ。同じ姿勢を続けているうちに、腕はパンパンになる。
エラルドは剣の型こそが大きな相手を倒す力だと言うのだ。
52
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説
4層世界の最下層、魔物の森で生き残る~生存率0.1%未満の試練~
TOYA
ファンタジー
~完結済み~
「この世界のルールはとても残酷だ。10歳の洗礼の試練は避ける事が出来ないんだ」
この世界で大人になるには、10歳で必ず発生する洗礼の試練で生き残らなければならない。
その試練はこの世界の最下層、魔物の巣窟にたった一人で放り出される残酷な内容だった。
生存率は1%未満。大勢の子供たちは成す術も無く魔物に食い殺されて行く中、
生き延び、帰還する為の魔法を覚えなければならない。
だが……魔法には帰還する為の魔法の更に先が存在した。
それに気がついた主人公、ロフルはその先の魔法を習得すべく
帰還せず魔物の巣窟に残り、奮闘する。
いずれ同じこの地獄へと落ちてくる、妹弟を救うために。
※あらすじは第一章の内容です。
―――
本作品は小説家になろう様 カクヨム様でも連載しております。
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
【完結】World cuisine おいしい世界~ほのぼの系ではありません。恋愛×調合×料理
SAI
ファンタジー
魔法が当たり前に存在する世界で17歳の美少女ライファは最低ランクの魔力しか持っていない。夢で見たレシピを再現するため、魔女の家で暮らしながら料理を作る日々を過ごしていた。
低い魔力でありながら神からの贈り物とされるスキルを持つが故、国を揺るがす大きな渦に巻き込まれてゆく。
恋愛×料理×調合
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる