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エラルド2

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 エラルドはしげしげとパティを見て言った。

「パティ、お前は何故俺を助けようとしてくれたのだ?」
「私は冒険者なんです。私は依頼されてエラルドを助けに来たんです」
「?。その依頼者とは誰だ?」
「マイラという冒険者協会の受付嬢です。そして私の姉です」
「ますますわからん。俺はマイラという人物など、会った事もないぞ?」
「ええ。マイラとエラルドは会った事はありません。だけど、エラルドのうわさをマイラは耳にしているんです。火剣の掃除屋は、犯罪者であっても決して殺さない。信念を持って仕事をしているって。マイラは人を殺さない信念を持っているエラルドがマフサに殺されるのが嫌だったんです。だから私にエラルドを助けてと依頼したんです」
「・・・。やっぱりわからん。マイラという者は、どうして会った事もない俺を気にかける」
「マイラは冒険者協会の受付嬢です。たくさんの冒険者を見ています。冒険者の中には、誇りを持って困っている人の助けになろうとする者もいれば、金のために恐ろしい事を平気でする者もいます。マイラは志しの高い冒険者にがんばってほしいんです。そしてエラルド、貴方にも」

 エラルドは何かを考えるそぶりをして押しだまった。パティは言おうか言うまいか考えてから、ためらいがちに質問した。

「ねぇ、エラルド。貴方は何故、掃除屋という危険なお仕事をしているの?」
「・・・。金が必要だからだ」

 パティは、これ以上は聞いてはいけないと思ったが、聞かずにはいられなかった。

「エラルド。気に触ったらごめんなさい。何故お金が必要なの?」
「・・・。パティ、お前は俺の志している信念を守ってくれた恩人だ。だから言おう。俺には妹がいる。俺にとってたった一人の大切な家族だ。妹は病気で、治療費や薬代がとてもかかるんだ。父がやっていた剣術道場だけでは金を工面する事ができないんだ」

 エラルドの言葉に、パティはハッと息を飲んだ。エラルドには母もいないのだ。唯一たった一人の肉親である妹を助けたいのだ。

 エラルドはポツリポツリと火剣の掃除屋になったいきさつを話してくれた。亡くなった父が経営していた剣術道場には、村の子供達が習いに来てくれるだけで、金にはならなかった。そのためエラルドは断腸の思いで剣術道場を閉め、仕事を探す事にした。

 エラルドは父ゆずりで剣術が強かった。当初は用心棒のような仕事をしていた。だが次第にエラルドの腕を認めた金持ち連中に個人的に依頼されるようになった。

 依頼内容とは、金持ちを狙う殺し屋の撃退だった。エラルドは妹の薬代を稼ぐために必死に働いた。だが火剣の掃除屋をうとましく思った犯罪者たちは、エラルドの命を狙ったのだ。

「因果なものだな。俺は世の中を良くしようとして剣をふるっていたはずなのに。今度は俺が狙われて襲撃をうけるとは」

 パティはキッと強い視線をエラルドに向けた。

「ねぇ、エラルド。お願いがあるんだけど、」
「何だ?パティ。俺にできる事なら、お前の頼みは何でも聞くぞ?」
「貴方の妹さんに会わせてほしいの」
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