84 / 212
姉たちへの贈り物
しおりを挟む
パティとマックスたちは冒険者協会で依頼される小さな依頼を率先して受けた。農家のお手伝いや壊れてしまった家の修復。
普通の冒険者が嫌がるような、報酬の安い期間の長い仕事だ。パティの尊敬する冒険者であり、愛すべき家族であるトグサたちは、このような依頼を多くこなしている。
今回のパティたちの依頼は、オプラという街の古くなった集会所の修復のお手伝いだった。チャーミーの土魔法で木材を作り、大きくなったマックスが木材を運んでいく。
いつものようにパティは街の女性たちと一緒にお茶運びだ。ようやく集会所の修復も終わり、依頼は完了した。パティは依頼料としていくばくかの金を手にした。
パティは肩にピンキーを乗せショルダーバックに小さくなったマックスとチャーミー、アクアを入れて街のショッピング街をおとずれた。
王都の城下町ほどではないが、オプラはにぎやかな街だった。パティはここで探し物をしていた。大好きな姉たちへの贈り物だ。
パティは姉であるマイラとデイジーからドレスをプレゼントしてもらった。そのお返しにマイラとデイジーに何か贈り物をしたいと考えていた。
マイラはともかくデイジーは冒険者だ。旅をしている者にかさばる贈り物はよくない。そのため彼女たちにアクセサリーを贈ろうと考えたのだが、これが中々決まらない。
デイジーは褐色の肌に、真っ赤な赤毛の美女だ。対するマイラは金髪に青い瞳の美しい女性だ。二人とも美しい女性だが、タイプが違いすぎるのだ。
マイラとデイジーはくだらない事でいつも言い合いをしている。やれパティは私の事が一番好きなのだ。いいやあたしの方がパティに好かれている、と。
パティがマイラとデイジーに別々のアクセサリーを贈れば、きっとケンカが起きるだろう。二人への贈り物は同じアクセサリーが望ましい。
パティが真剣な顔で露店を見ていると、アクセサリーを売る店を見つけた。店先には赤や青や黄色など色とりどりの宝石のペンダントやバングルがところせましと並んでいた。
パティはマイラとデイジーの顔を思い浮かべながらどれがいいかと考えていると、店主に声をかけてられた。
「美しいお嬢さん。何をお探しでしょう?」
パティがギクリとして顔をあげると、満面の笑みを浮かべた店主の男が立っていた。
パティはしどろもどろになりながら二人の姉へのプレゼントを探していると伝えた。
「それならばお姉さんたちの髪や瞳の色で宝石を選ぶのはいかがでしょうか?」
店主のアドバイスに、パティは二人には同じ物を贈りたいと伝えた。
「では、どの方にも似合うダイヤモンドのペンダントはいかがでしょう?」
店主はそう言って、露店に並んでいるしずく型にカットされた透明な宝石のペンダントをパティに手渡した。
これがダイヤモンド。パティはずっと村で暮らしていたため、宝石などの宝飾品に縁がなかった。そのため宝石など実際に目にしたのは冒険者になってからだ。
パティはたくさんの宝石店で宝石を見ても、良し悪しはよくわからなかった。ダイヤモンドは確かにキラキラして綺麗だった。
パティの心が動いていると見てとった店主はこう提案した。
「では二人のお姉さんのために、本来ならこのダイヤのペンダントは金貨十枚の値段ですが、二つで金貨十枚でお譲りいたしますよ?」
金貨十枚。パティは頭を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。ダイヤモンドとはそんなに高いものなのか。
パティは冒険者になって生まれて初めて仕事をして報酬を受け取った。生まれ育った村では考えられないような金を持っている。
そう、金ならある。護衛のお手伝いが大規模盗賊団の捕縛になったり、祭りの美少女コンテストに出場したら、少女誘拐犯を捕まえたりして受け取った金だ。
この金で大切なジョナサン神父とチコリおばあちゃんに贈り物ができたのだ。
パティの大好きな姉であるマイラとデイジーにも贈り物がしたい。パティはゴクリとツバを飲み込んでから答えた。
「はい、ダイヤモンドのネックレス。金貨十枚でお譲りください」
パティの言葉に、店主は少しちゅうちょする表情をした。
パティは背中のリュックサックをおろして、ガサゴソと金の入った袋を取り出そうとした時、ある者が声をかけた。
「おい、店主。それがダイヤなどと、嘘を申すでない」
普通の冒険者が嫌がるような、報酬の安い期間の長い仕事だ。パティの尊敬する冒険者であり、愛すべき家族であるトグサたちは、このような依頼を多くこなしている。
今回のパティたちの依頼は、オプラという街の古くなった集会所の修復のお手伝いだった。チャーミーの土魔法で木材を作り、大きくなったマックスが木材を運んでいく。
いつものようにパティは街の女性たちと一緒にお茶運びだ。ようやく集会所の修復も終わり、依頼は完了した。パティは依頼料としていくばくかの金を手にした。
パティは肩にピンキーを乗せショルダーバックに小さくなったマックスとチャーミー、アクアを入れて街のショッピング街をおとずれた。
王都の城下町ほどではないが、オプラはにぎやかな街だった。パティはここで探し物をしていた。大好きな姉たちへの贈り物だ。
パティは姉であるマイラとデイジーからドレスをプレゼントしてもらった。そのお返しにマイラとデイジーに何か贈り物をしたいと考えていた。
マイラはともかくデイジーは冒険者だ。旅をしている者にかさばる贈り物はよくない。そのため彼女たちにアクセサリーを贈ろうと考えたのだが、これが中々決まらない。
デイジーは褐色の肌に、真っ赤な赤毛の美女だ。対するマイラは金髪に青い瞳の美しい女性だ。二人とも美しい女性だが、タイプが違いすぎるのだ。
マイラとデイジーはくだらない事でいつも言い合いをしている。やれパティは私の事が一番好きなのだ。いいやあたしの方がパティに好かれている、と。
パティがマイラとデイジーに別々のアクセサリーを贈れば、きっとケンカが起きるだろう。二人への贈り物は同じアクセサリーが望ましい。
パティが真剣な顔で露店を見ていると、アクセサリーを売る店を見つけた。店先には赤や青や黄色など色とりどりの宝石のペンダントやバングルがところせましと並んでいた。
パティはマイラとデイジーの顔を思い浮かべながらどれがいいかと考えていると、店主に声をかけてられた。
「美しいお嬢さん。何をお探しでしょう?」
パティがギクリとして顔をあげると、満面の笑みを浮かべた店主の男が立っていた。
パティはしどろもどろになりながら二人の姉へのプレゼントを探していると伝えた。
「それならばお姉さんたちの髪や瞳の色で宝石を選ぶのはいかがでしょうか?」
店主のアドバイスに、パティは二人には同じ物を贈りたいと伝えた。
「では、どの方にも似合うダイヤモンドのペンダントはいかがでしょう?」
店主はそう言って、露店に並んでいるしずく型にカットされた透明な宝石のペンダントをパティに手渡した。
これがダイヤモンド。パティはずっと村で暮らしていたため、宝石などの宝飾品に縁がなかった。そのため宝石など実際に目にしたのは冒険者になってからだ。
パティはたくさんの宝石店で宝石を見ても、良し悪しはよくわからなかった。ダイヤモンドは確かにキラキラして綺麗だった。
パティの心が動いていると見てとった店主はこう提案した。
「では二人のお姉さんのために、本来ならこのダイヤのペンダントは金貨十枚の値段ですが、二つで金貨十枚でお譲りいたしますよ?」
金貨十枚。パティは頭を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。ダイヤモンドとはそんなに高いものなのか。
パティは冒険者になって生まれて初めて仕事をして報酬を受け取った。生まれ育った村では考えられないような金を持っている。
そう、金ならある。護衛のお手伝いが大規模盗賊団の捕縛になったり、祭りの美少女コンテストに出場したら、少女誘拐犯を捕まえたりして受け取った金だ。
この金で大切なジョナサン神父とチコリおばあちゃんに贈り物ができたのだ。
パティの大好きな姉であるマイラとデイジーにも贈り物がしたい。パティはゴクリとツバを飲み込んでから答えた。
「はい、ダイヤモンドのネックレス。金貨十枚でお譲りください」
パティの言葉に、店主は少しちゅうちょする表情をした。
パティは背中のリュックサックをおろして、ガサゴソと金の入った袋を取り出そうとした時、ある者が声をかけた。
「おい、店主。それがダイヤなどと、嘘を申すでない」
99
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる