31 / 212
パティとデイジー
しおりを挟む
パティはトグサたちと食卓を囲んだ。テーブルには所狭しと料理が並んだ。ビーフシチューにサラダに焼きたてのパン。これまでパティが食べたい事がないような美味しい料理があった。
トグサたちの依頼は明日からなので、パティは今夜デイジーの部屋に泊めてもらう事になった。
酒場の二階の部屋に入ると、ベッドにイスとテーブルだけのシンプルな部屋だった。
「ごめんね、狭い部屋で。ここ一人部屋だから」
「いいえ!私こそ部屋にころがりこんじゃって!私、マックスたちと床で寝ます!」
すまなそうに言うデイジーに、パティは慌てて答える。デイジーは笑って、二人でベッドを使おうと言ってくれた。
交代でお風呂に入った。パティが風呂から出ると、ベッドに座っていたデイジーが笑顔で手招きをした。パティがデイジーのとなりに座ると、彼女はパティの髪を優しくタオルで拭いて、ブラシをかけてくれた。
「パティの髪、とっても綺麗」
「綺麗?ですか?」
「うん。黒い髪ってとっても素敵。あたし赤毛のくせっけだから。パティの髪うらやましいな」
「・・・、私はデイジーのような髪が良かったです。私、村では髪と目が黒いから、気持ち悪いって言われて、忌子って言われて。私、神父さまとチコリおばあちゃん以外に、人にこんなに優しくしてもらったの初めてで、」
パティは鼻の奥がツンッとして、涙が出そうになった。初対面のデイジーにいきないこんな事を言ったら変に思われるかもしれない。デイジーが息を飲むのがわかった。パティは無理矢理笑顔を作ろうと必死になっていると、デイジーに優しく抱きしめられた。
「よくがんばったね、パティ。パティは自分の足で新しい道を切り拓いたんだよ?これからはパティにたくさん幸せな事が起きるよ」
デイジーの優しい言葉に、パティはがまんの限界をこえた。今までずっと胸の中に押し込めていたものがあふれるようにパティは泣き出してしまった。
デイジーはパティが泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。パティはデイジーの柔らかな腕の中でうとうとと眠りについた。
翌日目が覚めると、目の上からタオルが落ちた。どうやらパティの目が腫れないようにデイジーが置いてくれたらしい。
「パティ、おはよう」
「デイジー、おはようございます。皆おはよう」
デイジーは先に起きてマックスたちをしきりに撫でていた。パティは昨夜泣いてしまった事が恥ずかしくてモジモジしていると、デイジーがブラシを持ってやって来た。
「パティ、昨日髪の毛ちゃんと乾かさなかったから、寝ぐせひどいよ?髪をすいてあげる」
パティは言われるがまま髪をすいてもらっていると、デイジーがつぶやくように言った。
「パティは可愛いなぁ。あたし一人っ子だから、パティみたいな妹が欲しかったなぁ」
デイジーの言葉にパティは驚いて振り向いた。
「わ、私も、デイジーみたいな人がお姉さんだったら嬉しいです」
「本当?!じゃあ決まり、パティはこれからあたしの妹!お姉ちゃんの言う事聞くんだぞ?」
「はい!」
パティの元気な返事にデイジーはケラケラ笑った。
トグサたちの依頼は明日からなので、パティは今夜デイジーの部屋に泊めてもらう事になった。
酒場の二階の部屋に入ると、ベッドにイスとテーブルだけのシンプルな部屋だった。
「ごめんね、狭い部屋で。ここ一人部屋だから」
「いいえ!私こそ部屋にころがりこんじゃって!私、マックスたちと床で寝ます!」
すまなそうに言うデイジーに、パティは慌てて答える。デイジーは笑って、二人でベッドを使おうと言ってくれた。
交代でお風呂に入った。パティが風呂から出ると、ベッドに座っていたデイジーが笑顔で手招きをした。パティがデイジーのとなりに座ると、彼女はパティの髪を優しくタオルで拭いて、ブラシをかけてくれた。
「パティの髪、とっても綺麗」
「綺麗?ですか?」
「うん。黒い髪ってとっても素敵。あたし赤毛のくせっけだから。パティの髪うらやましいな」
「・・・、私はデイジーのような髪が良かったです。私、村では髪と目が黒いから、気持ち悪いって言われて、忌子って言われて。私、神父さまとチコリおばあちゃん以外に、人にこんなに優しくしてもらったの初めてで、」
パティは鼻の奥がツンッとして、涙が出そうになった。初対面のデイジーにいきないこんな事を言ったら変に思われるかもしれない。デイジーが息を飲むのがわかった。パティは無理矢理笑顔を作ろうと必死になっていると、デイジーに優しく抱きしめられた。
「よくがんばったね、パティ。パティは自分の足で新しい道を切り拓いたんだよ?これからはパティにたくさん幸せな事が起きるよ」
デイジーの優しい言葉に、パティはがまんの限界をこえた。今までずっと胸の中に押し込めていたものがあふれるようにパティは泣き出してしまった。
デイジーはパティが泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。パティはデイジーの柔らかな腕の中でうとうとと眠りについた。
翌日目が覚めると、目の上からタオルが落ちた。どうやらパティの目が腫れないようにデイジーが置いてくれたらしい。
「パティ、おはよう」
「デイジー、おはようございます。皆おはよう」
デイジーは先に起きてマックスたちをしきりに撫でていた。パティは昨夜泣いてしまった事が恥ずかしくてモジモジしていると、デイジーがブラシを持ってやって来た。
「パティ、昨日髪の毛ちゃんと乾かさなかったから、寝ぐせひどいよ?髪をすいてあげる」
パティは言われるがまま髪をすいてもらっていると、デイジーがつぶやくように言った。
「パティは可愛いなぁ。あたし一人っ子だから、パティみたいな妹が欲しかったなぁ」
デイジーの言葉にパティは驚いて振り向いた。
「わ、私も、デイジーみたいな人がお姉さんだったら嬉しいです」
「本当?!じゃあ決まり、パティはこれからあたしの妹!お姉ちゃんの言う事聞くんだぞ?」
「はい!」
パティの元気な返事にデイジーはケラケラ笑った。
214
お気に入りに追加
435
あなたにおすすめの小説

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる