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事件
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パティはその日もいつものようにマックスたちを連れて登校した。パティの可愛い動物たちに、クラスメイトの女の子たちは興味津々で、撫でていいかと声をかけてくれる女の子もいた。パティは喜んでうなずいた。
それがマフサの気に触ったのかもしれない。パティが帰ろうとすると、マフサと腰巾着のトマがパティたちの行くてをふさぐように待ち構えていた。
「ちょっとどいてくれない?そこ通りたいんだけど」
パティは恐怖心を悟られないように強気でマフサに言った。マフサは気味の悪いニヤニヤ顔をして言った。
「何だよく見たってただのクソ獣どもだ!神もくだらない物を授けたものだな。見ろ、俺は神に選ばれた人間なんだ。この《ファイヤーハンド》があれば俺は無敵だ!」
マフサは自分に陶酔したように叫ぶと、両手から炎を出現させた。以前よりもかなり火力が増している。パティは警戒してマックスたちを自分の背後にかばった。
「そんな役立たずのケモノ!この俺が燃やしてやる」
マフサは何のためらいもなくパティたちに向けて炎を放った。パティはとっさに背中を向け、自分の命よりも大切な友達を腕にかばった。
背中に激しい痛みが走った。背中に炎の玉が当たったのだ。パティはくちびるを噛みしめて耐え忍んだ。マフサの炎は、騒ぎに気づいた教師が止めるまで続いた。
教師はパティの背中の火傷にギョッとして、学校で待つように言ったが、パティは教会に戻ると言って聞かなかった。自分の火傷はどうでもいい、パティがかばいきれなくて、マックスの後ろ脚とチャーミーの尻尾を火傷させてしまったのだ。
早く神父のジョナサンにマックスとチャーミーの治癒魔法をしてもらわなければ。パティはピンキーを肩に乗せ、アクアをポケットに入れると、マックスとチャーミーの火傷に触れないように抱き上げて、教会に向かった。
パティの背中の火傷はズキズキと脈打つような痛みをしていた。あまりの激痛にその場に倒れこみそうになったが、何とか踏みとどまった。
パティを動かしているのは、マックスとチャーミーの火傷の傷を早く治してほしいという気持ちだけだった。マックスとチャーミーとピンキーはパティの事を心配してしきりに鳴いた。アクアは心配そうにポケットから顔を出してパティを見上げていた。
パティは皆を安心させるように声が震えないように気をつけながら言った。
「皆、私は、大丈夫。マックス、チャーミー、もう少し待っていてね。神父さまがすぐに治してくれるからね?」
意識がもうろうとするパティの目にようやく教会が見えてきた。
それがマフサの気に触ったのかもしれない。パティが帰ろうとすると、マフサと腰巾着のトマがパティたちの行くてをふさぐように待ち構えていた。
「ちょっとどいてくれない?そこ通りたいんだけど」
パティは恐怖心を悟られないように強気でマフサに言った。マフサは気味の悪いニヤニヤ顔をして言った。
「何だよく見たってただのクソ獣どもだ!神もくだらない物を授けたものだな。見ろ、俺は神に選ばれた人間なんだ。この《ファイヤーハンド》があれば俺は無敵だ!」
マフサは自分に陶酔したように叫ぶと、両手から炎を出現させた。以前よりもかなり火力が増している。パティは警戒してマックスたちを自分の背後にかばった。
「そんな役立たずのケモノ!この俺が燃やしてやる」
マフサは何のためらいもなくパティたちに向けて炎を放った。パティはとっさに背中を向け、自分の命よりも大切な友達を腕にかばった。
背中に激しい痛みが走った。背中に炎の玉が当たったのだ。パティはくちびるを噛みしめて耐え忍んだ。マフサの炎は、騒ぎに気づいた教師が止めるまで続いた。
教師はパティの背中の火傷にギョッとして、学校で待つように言ったが、パティは教会に戻ると言って聞かなかった。自分の火傷はどうでもいい、パティがかばいきれなくて、マックスの後ろ脚とチャーミーの尻尾を火傷させてしまったのだ。
早く神父のジョナサンにマックスとチャーミーの治癒魔法をしてもらわなければ。パティはピンキーを肩に乗せ、アクアをポケットに入れると、マックスとチャーミーの火傷に触れないように抱き上げて、教会に向かった。
パティの背中の火傷はズキズキと脈打つような痛みをしていた。あまりの激痛にその場に倒れこみそうになったが、何とか踏みとどまった。
パティを動かしているのは、マックスとチャーミーの火傷の傷を早く治してほしいという気持ちだけだった。マックスとチャーミーとピンキーはパティの事を心配してしきりに鳴いた。アクアは心配そうにポケットから顔を出してパティを見上げていた。
パティは皆を安心させるように声が震えないように気をつけながら言った。
「皆、私は、大丈夫。マックス、チャーミー、もう少し待っていてね。神父さまがすぐに治してくれるからね?」
意識がもうろうとするパティの目にようやく教会が見えてきた。
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