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感動
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哲太は雑居ビルから離れた所から、ジッと自分の戦人形を見つめていた。これから自分の作った戦人形の活躍が目の前で見られるのだ。
哲太は感動と興奮に胸を躍らせた。哲太の戦人形たちと契約したのは、高梨伊織という人形使いだ。伊織は若いやくざたちに向かって、丁寧だが偉そうに指図していた。
どうやら伊織は自身と戦人形だけでビルにいるやくざたちと戦うらしい。哲太は危なくないのだろうかと、心配になった。伊織がコングに指示を出す。哲太のとなりでキョロキョロしていたコングが、ものすごい勢い走り出した。
ビルの玄関まで来ると、腕を振るいガラス戸を粉々に破壊した。コングはビルの中で大暴れしたらしく、コングがビルを出た直後、ビル内のやくざがわらわら飛び出で来た。
やくざたちは手に拳銃を持っていた。哲太はゾクリと背筋が寒くなった。もし彼らの撃った銃の流れ弾が当たれば、哲太は死んでしまう。だがそれよりも争いがたい感情が芽生えていた。
これから哲太の戦人形が戦う姿が見られるのだ。これを見られるなら死んでも構わない。哲太は矛盾した感情を感じていた。
やくざたちが一斉に銃を構えた。その瞬間、コングが動いた。ものすごい速さでやくざたちに突っ込んでいった。
コングはやくざたちをまるでスポンジのように放り投げた。コングはやくざたちが発砲した弾丸に当たっているはずだ。それなのに、コングはひるむ事なく戦っている。
哲太はほうけたようにコングの勇姿を見つめていた。視線を伊織と花雪に向ける。花雪は、まるで小型の肉食獣のように俊敏に動き回った。花雪が近づいたやくざの拳銃を持った人差し指は、アッと言う間に切断され、かれらは拳銃を発射する事ができなかった。
人形使いの伊織は、戦人形の花雪とコングを操り、一瞬にして攻撃勢力を制圧してしまったのだ。伊織は花雪だけをともない、ビルの中に入って行った。
コングはクルリときびすを返すと、哲太の元にやって来た。哲太は、会話はできないと思いながら、思わず口を開いた。
「コング。お前、拳銃で撃たれただろう?大丈夫なのか?」
哲太がコングの身体を仔細に調べると、おかしな事に、あれだけ拳銃で撃たれたのにもかかわらず、コングは傷一つおっていなかった。哲太はホッと息をはいた。
コングは不思議そうに首をかしげてから、おもむろに哲太を抱き上げた。まるで大切なモノを守るように優しく抱きしめられた。哲太は驚いてコングに叫んだ。
「おい!コング!何をするんだ。おろせ!」
コングはつぶらな瞳で哲太を見つめてから首を振った。どうやら伊織の指示らしい。哲太はため息をついて言った。
「伊織が命令したのか?俺を守れと」
コングは哲太と意思疎通ができた事を喜ぶようにうなずいた。哲太は顔をしかめた。顔が赤くなるほど気恥ずかしかったからだ。哲太はコングの厚い胸板をパンパン叩いて言った。
「わかったよコング。お前の側から離れない。だからおろしてくれ」
コングは軽くうなずくと、哲太を丁寧に地面に下ろした。
哲太は感動と興奮に胸を躍らせた。哲太の戦人形たちと契約したのは、高梨伊織という人形使いだ。伊織は若いやくざたちに向かって、丁寧だが偉そうに指図していた。
どうやら伊織は自身と戦人形だけでビルにいるやくざたちと戦うらしい。哲太は危なくないのだろうかと、心配になった。伊織がコングに指示を出す。哲太のとなりでキョロキョロしていたコングが、ものすごい勢い走り出した。
ビルの玄関まで来ると、腕を振るいガラス戸を粉々に破壊した。コングはビルの中で大暴れしたらしく、コングがビルを出た直後、ビル内のやくざがわらわら飛び出で来た。
やくざたちは手に拳銃を持っていた。哲太はゾクリと背筋が寒くなった。もし彼らの撃った銃の流れ弾が当たれば、哲太は死んでしまう。だがそれよりも争いがたい感情が芽生えていた。
これから哲太の戦人形が戦う姿が見られるのだ。これを見られるなら死んでも構わない。哲太は矛盾した感情を感じていた。
やくざたちが一斉に銃を構えた。その瞬間、コングが動いた。ものすごい速さでやくざたちに突っ込んでいった。
コングはやくざたちをまるでスポンジのように放り投げた。コングはやくざたちが発砲した弾丸に当たっているはずだ。それなのに、コングはひるむ事なく戦っている。
哲太はほうけたようにコングの勇姿を見つめていた。視線を伊織と花雪に向ける。花雪は、まるで小型の肉食獣のように俊敏に動き回った。花雪が近づいたやくざの拳銃を持った人差し指は、アッと言う間に切断され、かれらは拳銃を発射する事ができなかった。
人形使いの伊織は、戦人形の花雪とコングを操り、一瞬にして攻撃勢力を制圧してしまったのだ。伊織は花雪だけをともない、ビルの中に入って行った。
コングはクルリときびすを返すと、哲太の元にやって来た。哲太は、会話はできないと思いながら、思わず口を開いた。
「コング。お前、拳銃で撃たれただろう?大丈夫なのか?」
哲太がコングの身体を仔細に調べると、おかしな事に、あれだけ拳銃で撃たれたのにもかかわらず、コングは傷一つおっていなかった。哲太はホッと息をはいた。
コングは不思議そうに首をかしげてから、おもむろに哲太を抱き上げた。まるで大切なモノを守るように優しく抱きしめられた。哲太は驚いてコングに叫んだ。
「おい!コング!何をするんだ。おろせ!」
コングはつぶらな瞳で哲太を見つめてから首を振った。どうやら伊織の指示らしい。哲太はため息をついて言った。
「伊織が命令したのか?俺を守れと」
コングは哲太と意思疎通ができた事を喜ぶようにうなずいた。哲太は顔をしかめた。顔が赤くなるほど気恥ずかしかったからだ。哲太はコングの厚い胸板をパンパン叩いて言った。
「わかったよコング。お前の側から離れない。だからおろしてくれ」
コングは軽くうなずくと、哲太を丁寧に地面に下ろした。
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