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加奈子の反撃

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 加奈子は上半身を起こしてコングと呼ばれた戦人形を見上げた。大きい、これでは加奈子の念動力でも動かす事はできない。

 加奈子は倉庫内を見回した。何か武器になるようなものはないだろうか。加奈子が監禁されている倉庫はすでに使われてないらしく、雑然としていた。使い古され、そのままになった木箱がそこかしこに置かれていた。もし目の前の戦人形と戦闘になった場合の武器になるかもしれない。

 加奈子はひたすら待っていた。人形使いは人形を遠隔操作する事ができる。だがその範囲は人形使いによってことなる。

 伊織の遠隔操作の範囲がどのくらいかはわからないが、人形が操れなくなる期間がきっとあるはずだ。

 だがいくら待ってもその時は来なかった。コングは首をかしげて加奈子を見つめていた。つぶらな瞳が愛らしくさえある。

 戦人形は人形によって性格が違うらしい。加奈子にはよくわからないが、人形の気持ちが少しわかる幸士郎がよく言っていた。

 桜姫は気が強いから、すぐケンカになる、と。反対に、桜姫の妹である椿姫はおっとりした性格らしい。

 目の前のコングという戦人形は、もしかすると優しい性格なのかもしれない。だがコングは加奈子にとっては敵だ。いざという時は戦わなければいけないのだ。

 加奈子はジリジリと時間が経過していくのを感じた。一体伊織の能力範囲はどこまであるのだろう。このままでは伊織がコンビニから帰って来てしまう。

 加奈子はゴクリとツバを飲み込むと、覚悟を決めた。見張りのコングを攻撃して、そのすきに逃げるしかない。

 すうっと息を吸い、意識を集中させる。加奈子が念動力を発動できる条件は、五メートル以内の物体、しかも加奈子の体重分の物体を動かす事だ。加奈子は近くにあった五つの木箱を空中に持ち上げた。

 コングは不思議そうに空中をフワフワ浮いている木箱を見つめていた。加奈子を攻撃してこない相手に、自分から攻撃をしかけるのはためらわれたが、いたしかたない。

 加奈子は五つの木箱を一斉にコングに向かって投げつけた。次の瞬間、コングは両腕を振るうと、木箱を粉々に破壊してしまった。

 コングは見た目通り強かった。破壊された木箱の破片が、加奈子めがけて落ちて来る。早く念動力で破片を浮かせなければ。加奈子は意識を集中した。

 しかし大量の木片に加え、落下速度がつき、念動力で制御するのは困難だった。

 鋭い木片が加奈子につきささる。手足をしばられた加奈子にはどうする事もできなかった。加奈子はきつく目をつむった。

 突然何かに抱きすくめられた。見上げると、コングが大きな身体をかがめて、加奈子を木片から守ってくれたのだ。

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