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サンドイッチに何をはさむか考えるのは楽しいです

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 朝目を覚ますと、子供たちがスヤスヤと寝ていた。昨日はバーベキューしたり、遊んだり、花火したりと大はしゃぎだったから疲れたのだろう。昨日はノヴァも泊まったので、ベッドを二つくっつけて五人で寝た。ぎゅうぎゅうに詰めて寝ていたせいで私は身体が痛くなってしまったけれど、子供たちは大丈夫なようだ。私は朝食の準備をする事にした。今日は洋食にしようと思い、先ずはスープ作り。ティアナがトマトのスープが好きなので、今日はミネストローネにする。

 ニンジン、じゃがいも、キャベツを取り出す。玉ねぎ、ニンニクは入れない。野菜を細かく切って、オリーブオイルでしんなりするまで炒める。今日はホールトマト缶を出して、トマトは細かく切り、水も加えて煮る。ふっとうしたら、コンソメを入れて煮込む。次にハムエッグを作ろうと思うのだが、子供たちが何個玉子を食べるかわからないので、子供たちを起こして朝の身支度をさせる。

 セネカとノヴァが玉子二つで、ティアナとヒミカは玉子一つ。私はハムエッグを作って、みんなのお皿にのせていく。ミネストローネに塩、コショウを入れて味を調え、スープボウルに入れる。焼きたてのパンも出して朝食の完成。みんなで手を合わせていただきますをする。セネカがノヴァに、こうするんだよ、と教えてあげている。セネカとヒミカはいつものようにモリモリ気持ちよく食べてくれる。ノヴァも好き嫌いなく喜んで食べてくれた。ティアナはミネストローネをおかわりまでしてくれた。子供たちは朝食を綺麗に平らげてから、フリスビーを持って遊びに行った。フリスビーがよほど気に入ったようだ。 

 私が片付けをしていると、ヒミカとティアナがやって来た。どうやら女の子たちはフリスビーに飽きてしまったようだ。私を花畑に行こうと誘う、私はティアナとヒミカの手をつないで花畑に向かう。ティアナとヒミカが見つけたという、そこは一面のレンゲ畑だった。私は思わず、わぁっと感嘆の声をあげた。私はティアナとヒミカにレンゲのかんむりを作ってやった。二人は喜んで、作り方を教えてとせがまれた。ティアナとヒミカはレンゲの首かざり作りに熱中していた。二人がやっと首かざりを完成させた頃、セネカとノヴァがやって来た。

「もみじ、お腹減った!」

 もうそんな時間か。私は子供たちを連れて、ご飯を作りに帰る事にした。


 今日のお昼は何にしようかと考える。そうだサンドイッチとから揚げにしよう、そして子供たちにも手伝ってもらおう。そうと決まればサンドイッチのパンにはさむ具材作りと、から揚げの下ごしらえだ。鳥モモ肉を一口大に切り、塩コショウ、おろししょうが、醤油、酒、ごま油で下味を付ける。サンドイッチの具は、ゆでたまごの固ゆでと、半熟玉子にして、つぶしてマヨネーズを入れてまぜる。次にツナ缶の油をきって、マヨネーズを入れてまぜる。レタスを洗って、ちぎる。トマト、きゅうり、アボカドを薄く切る。チーズ、ハム、ボイルしたエビ、ローストビーフも用意する。

 子供たちを呼んで、サンドイッチのパンに好きなものをはさんでもらう。パンの内側にはマヨネーズをぬる。水分の多い具材もあるので、パンがべしょっとしないようにだ。セネカとノヴァは争ってパンに色々なものをはさんでいく。ティアナとヒミカは具材の量や、色合いを見ながらはさんでいく。サンドイッチは子供たちに任せて、私はから揚げにとりかかる。まずは小麦粉をまぶす。とり肉の水分を小麦粉が吸ってから、片栗粉をまぶす。油に入れて二分したらひっくり返す。また二分経ったら、いったん油から上げる。そして三分経ったら、今度は強火の油でカラッと揚げてから揚げのできあがり。今度はオヤツのフルーツサンド作りだ。イチゴ、キウイ、缶詰のモモ、バナナを切る。パンの両面に生クリームをぬり、フルーツサンドを切った時の断面を考えながらおいていく。パンをサンドしてラップで包む。クーラーボックスにアイスパックを入れて、その上にフルーツサンドを置く。オヤツの時間まで冷やしておく。


 子供たちが作ってくれたサンドイッチを食べやすい大きさに切ってお皿にもる。子供たちの作ってくれたサンドイッチは色とりどりで、切った断面がとても綺麗だ。から揚げもバスケットにもって、テーブルに並べる。子供たちと席について、いただきますをする。私はサンドイッチを一つ手にとって食べてみる。美味しい。サンドイッチの中には、エビに、ツナ、レタスが入っていた。レタスのシャキシャキと、エビのぷりぷり感、ツナの旨みがあいまって、とっても美味しい。

 私がサンドイッチを作ると、決まりきったものになってしまう。アボガドとエビとか。タマゴだけとか、ツナだけとか。子供たちは独創性豊かなのだ。次にから揚げを食べてみる。外はカリッと、中はジュウシー、から揚げってたまに無性に食べたくなるのよね。子供たちもものすごい早さでお昼をたいらげていった。

 お昼の小休止が終わったら、子供たちは遊びたいと言い出した。私はシャボン玉を出して、遊び方を教える。先がギザギザのストローを、シャボン液につけて、軽く吸い上げる。この吸い上げる強さを間違うと、変な味のシャボン液を飲んでしまうので注意しなければいけない。私はストローをふぅっと吹いて、シャボン玉を作った。子供たちは、初めて見るシャボン玉に大はしゃぎだ。私はストローを子供たちに渡し、やってみてとシャボン液につけさせる。セネカとノヴァはいきおいあまってシャボン液を口に入れてしまい、大騒ぎだ。こわごわやったヒミカとティアナは上手にシャボン玉を吹いていた。セネカとノヴァもコツをつかんでシャボン玉をたくさん作る。

 青空の下、虹色の美しいシャボン玉と子供たちを見ながら、私は穏やかな気持ちになった。何より人形のように表情がなかったティアナが、笑っているのだ。笑ったティアナは本当に可愛かった。ノヴァも楽しそうだ。私は、こんなおかしな世界に来てしまって、ずっと早く帰りたいと思っていたけれど、子供たちの楽しそうな姿を見ていたら、もう少しこの世界にいてもいいかなと思ってしまった。

 私の力があれば食べ物には困らないし、住む場所もある。このまま子供たちと暮らしていくのも悪くないんじゃないか。そこまで考えて、はたと思い直す。セネカとヒミカはお母さんを探しているのだ。早く見つけて会わせてあげたい。それに、ティアナのお母さんだって探す事ができるかもしれない。私は無尽蔵に金貨を出す事ができるのだ。ティアナのお母さんが見つかったら、買い戻す事だってできるはずだ。

 だけど本当にそれでいいんだろうか。獣人と半獣人は奴隷として売り買いされる世界。セネカとヒミカは売られそうになったし、ノヴァとティアナは人間にひどい目にあわされていた。私は今ここにいる子供たちの事しか考えていないのだ。リュートの言っていた言葉が頭から離れない。私はこの国の新たな王を決定する事ができる。私が正しい王を選ぶ事ができれば、獣人と半獣人が幸せに暮らせる未来が来るかもしれないのだ。

 だけど、と何度も同じ不安が私の頭をよぎる。もし私が王選びに失敗したら、この国はもっとひどい国になってしまうかもしれないのだ。つまるところ、私は自分で責任を負いたくないのだ。あまりにも重大すぎて、私には荷が重すぎるのだ。

 そんな事を考えていると、子供たちが集まってきた。オヤツ食べたい!との事。だいぶ時間が経っていたらしい。私はクーラーボックスからラップに包まれたフルーツサンドを取り出し、緊張しながらナイフを入れていく。ゆっくりと断面を見てみると、綺麗にイチゴやキウイ、バナナ、モモの断面が見えていた。周りからはおおっ、と驚きの声が上がる。初めて作ったフルーツサンドだけど大成功のようだ。ほおばったフルーツサンドは、生クリームの甘さを控えめにしているので、フルーツの甘さが引き立って、とっても美味しかった。子供たちも美味しい美味しいと言って、口のまわりをクリームだらけにしていた。
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