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半獣人のティアナ
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店の外に出るとセネカとヒミカが女の子と一緒に待っていた。私は三人をうながして路地裏の小道に入った。私はかがみこんで女の子の目を見ながら言った。
「私はもみじ、こっちの二人はセネカとヒミカよ。あなたの名前は?」
女の子はためらうそぶりを見せてから小さな声で答えた。
「・・・、ティアナ」
「綺麗な名前、あなたにぴったりね。よろしくティアナ」
ティアナはあいまいにうなずく。私はセネカに後ろを向いてとお願いする。セネカはどうして俺だけとブツブツいいながら後ろを向いてくれた。私はまたティアナの目線までかがんで言葉をかける。今からティアナに嫌な事をお願いしなければいけない。
「ティアナ、ごめんね。服を脱いでもらっていい?」
ティアナはピクリと身体を固くする。それからゆっくりとワンピースのボタンを外し始めた。ティアナの着ている服はとてもボロボロなものだった。ティアナの裸を目の当たりにして私は息をのんだ。ヒミカもヒッと小さく悲鳴をあげた。ティアナの身体には殴られてできたであろうアザがたくさんできていた。黄色いアザの上に青黒いアザができている。青黒いアザはつい最近できたものだろう。つまりティアナはアザが治らないうちに何度も暴力を受けていたのだ。私はティアナを怖がらせないようにゆっくりと言った。
「ティアナ、嫌だと思うけれど抱きしめさせてくれない?」
ティアナは身体を固くして黙ったままだった。私は柔らかくティアナを抱きしめた。ティアナが受けてきた苦しみを思うと辛くて仕方がない。でも、ひどいよね。と、いきどおるのも、辛かったね。と、同情するのも違う気がする。私はティアナにとって他人でしかない。そしてティアナにひどい事をしたのは紛れもなく、私と同じ人間だという事。私は悲しくなって涙がボロボロあふれてきた。私はティアナに言った。
「約束するわ、ティアナ。これからはあなたを絶対に傷つけない」
私の涙がティアナの頭に落ちる。ティアナの身体が光りだす。ティアナは驚いて私を見た、身体の痛みが急に消えて驚いたのだろう。ティアナが私に言う。
「もみじ、あなたこの世界の人間じゃないのね?」
「ええ、ティアナよくわかったわね」
ティアナは自嘲気味笑った、そして目をつぶる。するとティアナの頭から猫の耳がとびだし、スカートからは長いしっぽが現れた。可愛い。私は思わず心の中で叫んでしまった。ティアナは猫の半獣人だったのだ。
「あたしは半獣人だからね。獣人より劣るからかわからないけど、あたしの瞳は特別なの。見えないものや、未来が見えるのよ」
私はティアナの不思議な金色の瞳を見つめた。ヒミカがソワソワし出した。私はそんなヒミカに気づいて、代わりにに質問した。
「ねぇ、ヒミカたちのお母さんがどこにいるのわかる?」
「・・・。ごめんなさい、あたしの瞳で見える事はすぐ先の未来なの」
申し訳なさそうにティアナが答える。ヒミカはううんと首を振って笑った。セネカがまちくたびれて、まだぁ?と声を上げる。そうそう、ティアナのお洋服を出してあげなければ。
「ティアナは何色が好き?」
私の質問の意味がわからないのか目をパチパチする。すかさずヒミカが言う。
「ピンクがいい!」
ヒミカの言葉に私はうなずいて、ティアナのボロボロの服に触る。するとティアナの服が素敵なピンクのドレスになる。足元はドレスに合った赤のパンプスだ。そして私は両手をギュッと握って開くと、手のひらにはトパーズの黄色い宝石がはめ込まれたペンダントになった。私はティアナにペンダントを見せる。ティアナは綺麗と呟く。私はティアナにことわってから、彼女の首にペンダントをつけた。そしてセネカにもういいよと声をかける。セネカが振り向くと、ポカンとした表情をした。ティアナの可愛らしさに驚いたようだ。セネカに、ティアナのドレスはどう?と聞くと、いいんじゃねぇの。と、ぶっきらぼうな答えが返ってきた。可愛いなぁ、セネカってば照れているのね。
私は三人と一緒に小道から出て、噴水のある広場まで歩いて行った。備え付けのベンチにみんなで座っていると、チリリンとベルの音がした。音の先に目をやると、そこにはジェラート売りのリヤカーが来ていた。セネカとヒミカは興味津々だ。身なりの綺麗な子供たちがジェラート売りに群がる。この世界ではジェラートは高価なスイーツなのだろう。やはり身なりのいい大人がやってきてジェラートを買ってやっている。
私は三人に食べたいか聞く。セネカとヒミカは元気よく食べたいと言う。ティアナは困ったように下を向いてしまった。私に遠慮しているのかもしれない。私は三人をうながしてジェラート売りの側に行く。種類はバニラにストロベリー、ピーチだ。セネカはバニラがいいと言い、ヒミカはストロベリーが食べたいと言った。私はティアナに何がいい?と聞くが答えてくれない。じゃあ、私がバニラとピーチを頼むから、分けっこしようと提案した。ティアナが小さくうなずく。ジェラートは、紙を巻いたコーンに盛り付けられていた。小さなスプーンも付けてくれたので、みんなで分けて食べる事ができた。冷たくて甘くてとっても美味しかった。ティアナはピーチのジェラートが気に入ったみたいなので、私はバニラが美味しいからピーチを食べてくれる?と言うとうなずいてくれた。セネカとヒミカがキャッキャッと笑っているのを見ていたティアナはほほえんでいたので私は少し安心した。でも、この世界にはティアナのような辛い目にあっている獣人や半獣人がいる事を思うと悲しい気持ちになった。
「私はもみじ、こっちの二人はセネカとヒミカよ。あなたの名前は?」
女の子はためらうそぶりを見せてから小さな声で答えた。
「・・・、ティアナ」
「綺麗な名前、あなたにぴったりね。よろしくティアナ」
ティアナはあいまいにうなずく。私はセネカに後ろを向いてとお願いする。セネカはどうして俺だけとブツブツいいながら後ろを向いてくれた。私はまたティアナの目線までかがんで言葉をかける。今からティアナに嫌な事をお願いしなければいけない。
「ティアナ、ごめんね。服を脱いでもらっていい?」
ティアナはピクリと身体を固くする。それからゆっくりとワンピースのボタンを外し始めた。ティアナの着ている服はとてもボロボロなものだった。ティアナの裸を目の当たりにして私は息をのんだ。ヒミカもヒッと小さく悲鳴をあげた。ティアナの身体には殴られてできたであろうアザがたくさんできていた。黄色いアザの上に青黒いアザができている。青黒いアザはつい最近できたものだろう。つまりティアナはアザが治らないうちに何度も暴力を受けていたのだ。私はティアナを怖がらせないようにゆっくりと言った。
「ティアナ、嫌だと思うけれど抱きしめさせてくれない?」
ティアナは身体を固くして黙ったままだった。私は柔らかくティアナを抱きしめた。ティアナが受けてきた苦しみを思うと辛くて仕方がない。でも、ひどいよね。と、いきどおるのも、辛かったね。と、同情するのも違う気がする。私はティアナにとって他人でしかない。そしてティアナにひどい事をしたのは紛れもなく、私と同じ人間だという事。私は悲しくなって涙がボロボロあふれてきた。私はティアナに言った。
「約束するわ、ティアナ。これからはあなたを絶対に傷つけない」
私の涙がティアナの頭に落ちる。ティアナの身体が光りだす。ティアナは驚いて私を見た、身体の痛みが急に消えて驚いたのだろう。ティアナが私に言う。
「もみじ、あなたこの世界の人間じゃないのね?」
「ええ、ティアナよくわかったわね」
ティアナは自嘲気味笑った、そして目をつぶる。するとティアナの頭から猫の耳がとびだし、スカートからは長いしっぽが現れた。可愛い。私は思わず心の中で叫んでしまった。ティアナは猫の半獣人だったのだ。
「あたしは半獣人だからね。獣人より劣るからかわからないけど、あたしの瞳は特別なの。見えないものや、未来が見えるのよ」
私はティアナの不思議な金色の瞳を見つめた。ヒミカがソワソワし出した。私はそんなヒミカに気づいて、代わりにに質問した。
「ねぇ、ヒミカたちのお母さんがどこにいるのわかる?」
「・・・。ごめんなさい、あたしの瞳で見える事はすぐ先の未来なの」
申し訳なさそうにティアナが答える。ヒミカはううんと首を振って笑った。セネカがまちくたびれて、まだぁ?と声を上げる。そうそう、ティアナのお洋服を出してあげなければ。
「ティアナは何色が好き?」
私の質問の意味がわからないのか目をパチパチする。すかさずヒミカが言う。
「ピンクがいい!」
ヒミカの言葉に私はうなずいて、ティアナのボロボロの服に触る。するとティアナの服が素敵なピンクのドレスになる。足元はドレスに合った赤のパンプスだ。そして私は両手をギュッと握って開くと、手のひらにはトパーズの黄色い宝石がはめ込まれたペンダントになった。私はティアナにペンダントを見せる。ティアナは綺麗と呟く。私はティアナにことわってから、彼女の首にペンダントをつけた。そしてセネカにもういいよと声をかける。セネカが振り向くと、ポカンとした表情をした。ティアナの可愛らしさに驚いたようだ。セネカに、ティアナのドレスはどう?と聞くと、いいんじゃねぇの。と、ぶっきらぼうな答えが返ってきた。可愛いなぁ、セネカってば照れているのね。
私は三人と一緒に小道から出て、噴水のある広場まで歩いて行った。備え付けのベンチにみんなで座っていると、チリリンとベルの音がした。音の先に目をやると、そこにはジェラート売りのリヤカーが来ていた。セネカとヒミカは興味津々だ。身なりの綺麗な子供たちがジェラート売りに群がる。この世界ではジェラートは高価なスイーツなのだろう。やはり身なりのいい大人がやってきてジェラートを買ってやっている。
私は三人に食べたいか聞く。セネカとヒミカは元気よく食べたいと言う。ティアナは困ったように下を向いてしまった。私に遠慮しているのかもしれない。私は三人をうながしてジェラート売りの側に行く。種類はバニラにストロベリー、ピーチだ。セネカはバニラがいいと言い、ヒミカはストロベリーが食べたいと言った。私はティアナに何がいい?と聞くが答えてくれない。じゃあ、私がバニラとピーチを頼むから、分けっこしようと提案した。ティアナが小さくうなずく。ジェラートは、紙を巻いたコーンに盛り付けられていた。小さなスプーンも付けてくれたので、みんなで分けて食べる事ができた。冷たくて甘くてとっても美味しかった。ティアナはピーチのジェラートが気に入ったみたいなので、私はバニラが美味しいからピーチを食べてくれる?と言うとうなずいてくれた。セネカとヒミカがキャッキャッと笑っているのを見ていたティアナはほほえんでいたので私は少し安心した。でも、この世界にはティアナのような辛い目にあっている獣人や半獣人がいる事を思うと悲しい気持ちになった。
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