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カレーの次の日はこれで決まりです

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 朝目を覚ますと、セネカとヒミカはもう起きていた。カーテンを開けると朝日が私の部屋にさしこむ。朝の身支度を整えキッチンに立つ、試しにガスコンロのつまみをひねるが、やはり火は出ない。仕方ないのでいつも通り外に出てかまどを出す。昨日の残ったカレーにめんつゆとダシを入れる。カレーの中の具はほとんど食べてしまったので、豚バラ肉を出して食べやすい大きさに切る。そして湯通しした油揚げを細く切り、いしずきを取ったしいたけも切って入れる。アクを取ったら水溶き片栗粉を入れてトロミを付ける。生うどんを出して別の鍋でさっと温めてどんぶりにもる。熱々のカレー汁をかけてカレーうどんの完成。

 天気がいいので外にテーブルとイスを出して朝ごはんにする。セネカとヒミカはおはしが使えないだろうからフォークを出す。セネカとヒミカはうどんを初めて食べたようだけど、気に入ってくれたようだ。私は七味唐辛子を出してカレーうどんにかける。それを見たセネカたちがウェッとした顔をする。辛いんだけど大人になったら美味しくなるんだってば。

 私はおはしでうどんを一口すする。美味しい。やっぱりカレーの次の日はカレーうどんよね。カレーうどんが食べたいからカレーにすると言ってもかごんでないわ。セネカとヒミカがカレーうどんを食べている様子を見ると、二人はうどんをすすって食べる事ができないみたい。フォークにうどんを巻きつけて食べている。

 私がおはしでうどんを持ち上げて、ちゅるるとすすっていると不思議そうな顔をされた。お腹がふくれた所で、私は後片付けの後お昼のお弁当を作る。昨日のお釜で炊いたご飯を大量のおにぎりにしていく。そしてはくさい、にんじん、きゅうりを切ってフリーザーバッグに入れていく。その中に白だし、酢、塩、砂糖を入れて軽く振って浅漬けにする。私のマンションの部屋もかまども消して身支度をして獣人の自治区に近い街に行くために出発する。


 どれくらい走っただろうか、私を抱きながら走っていたセネカが立ち止まった。後ろを走っていたリュックサックを背負ったヒミカも止まる。そして二人元気に声をそろえて言った。

「もみじお腹減った!」

 お昼ご飯まで早い気かするけれど、まぁいいかと思い私はレジャーシートを出す。そしてバーベキューコンロと炭を出す。バーナーで炭に火をつけて、網の上におにぎりを乗せていく。セネカとヒミカに好評だった焼きおにぎりを作るためだ。表面に焦げ目がついたら、しょうゆ焼きおにぎりと、みそをみりんでといて塗った、みそ焼きおにぎりを作る。しょうゆとみその香ばしい香りが広がる。そして朝作っておいた浅漬けをお皿に出す。みそ汁は即席。

 もう定番になっている、三人で手を合わせていただきますをする。私はまず浅漬けを食べてみる、野菜のシャキシャキとした食感と甘酢がよく合って美味しい。私は浅漬けにはとうがらしを入れるけれど、セネカたち用に甘めにしている。次にみそ焼きおにぎり、香ばしくって、甘じょっぱくって美味しい。セネカとヒミカはしょうゆ焼きおにぎりもみそ焼きおにぎりも大好きになったみたいだ。セネカとヒミカは気持ちいいくらい綺麗にお昼ご飯を完食してくれた。バーベキューコンロがあればバーベキューができるじゃないか、と思いいたる。リュートもユーリもダグも呼んで。そうだノヴァも呼びたいな、あの一人ぼっちの男の子に会いたかった。

 食事が終わると私はある準備をした。あるものを頭に思い浮かべる、私の手の中には使い捨てのカラーコンタクトがあった。しかもカラーはムラサキ。妹のかえでが高校生の時使っていたのだ。私は鏡台も出しておっかなびっくりカラーコンタクトを瞳に入れる。人工的なムラサキ色の瞳は作り物めいていた。次に取り出したのは茶色のカツラ、私の眉毛とまつ毛は黒いから、あまり金髪だとかなり違和感が出てしまう。カツラをつけて鏡を覗き込むと、何ともおかしな女がうつっていた。まるで仮装だ。セネカとヒミカは私の姿を見て、変だ変だと大笑いする。仕方ないじゃない、黒い瞳と黒い髪を隠さなければいけないんだから。私は気を取りなおして片付けをする。獣人の自治区に近い街は、もうすぐそこだ。







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