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プリシラの不安

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 プリシラは気もそぞろで仕事の準備をしていた。数日前に姉のエスメラルダに、あつらえてもらったドレスを着て、カフェに五つ星ホテルにと連れて行ってもらった。

 翌日プリシラが目を覚ますと、エスメラルダの姿が無かった。きっと仕事に行ったのだろうとその時は特に気にもとめなかった。

 お昼頃に通信魔法具のペンダントで、エスメラルダに連絡して昨日の礼を言うと、大した事ではないからにするなといういつもの言葉と、たくさんの小言を言われた。それはいつもの事だ、だが会話の最後に、エスメラルダは少しちゅうちょするように沈黙してから言った。

「・・・。プリシラ、愛してる」

 その言葉にドキリとした。言葉の奥には、まるでもう二度と会えないような悲痛さがにじんでいた。プリシラはペンダントを両手ですくって、食い気味に返事をした。

「私も、私もよ!お姉ちゃん、大好き!どうかしたの?!」
「何でもないわ。それとね、お姉ちゃんこれから長期の仕事をするから、連絡してこないでね。仕事が終わったら私から連絡するわ」

 エスメラルダはそれだけ言うと通信を切ってしまった。いつものエスメラルダらしくなかった。プリシラが連絡をすれば、いつも仕事中でも応答してくれていたのに。

 これからとても難しい仕事をするのだろうか。それとも、何か不安な事があるのだろうか。

 プリシラがもんもんとし続けていると、マージがプリシラを呼びに来た。

「プリシラ、お友達よ?」

 プリシラが慌てて外に出ると、チコとサラが不安げに立っていた。

「チコ、サラ。どうしたの?」
「あのね、プリシラ。ドリス王女には口止めされていたんだけど。私何だか心配になってしまって」

 サラはティアを抱っこしたままモジモジと言った。プッチを肩に乗せたチコがせわしなく言った。

「プリシラ!大変よ!お姉さん、一人でドウマ国に乗り込んでしまったんだって」

 ドウマ国の魔法使いたちは、魔力の強い少女たちを誘拐しようとし、チコとサラに危害をくわえようとしていたのだ。それに、ドウマ国が探し求めている人物は、エスメラルダそのものだ。プリシラはにわかに不安になった。

 プリシラはマージに断って半休をもらうと、チコとサラと共に、大きくなったタップに乗ってウィード城に急いだ。

 プリシラはエスメラルダに仕事を依頼したドリス王女に会って詳しい話しを聞きたかった。

 だが王女に謁見するには、たくさんの手続きが必要なのだ。そんなまどろっこしい事をしている時間はない。プリシラは以前から知っているドリス王女の自室に窓から乗り込んだ。

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