153 / 175
ドウマ国
しおりを挟む
「わかったわ、ドリス。ドウマ国の偵察に行ってくるわ。それでいいんでしょ?」
「うむ。では誰か共につけよう。チコとサラはどうだ?」
「だめよ!あの子達は足手まといよ」
「ならばウィード国お抱えの魔法使いを二人つけよう」
「そんなの不要よ。これから行ってくるわ」
「ちょっと待て!いくら最強の魔女であるお前でも、ドウマ国相手は無茶だ!」
エスメラルダはぐだぐだとうるさいドリスを無視して空間魔法を発動させた。
エスメラルダはウィード国の東の上空にいた。エスメラルダは空間魔法で、目的の場所や人物に目印をつければ、瞬時にその場所、人物の所まで行く事ができる。
だがドウマ国の詳しい場所はわからないので、これから飛行魔法で現地まで飛ぶしかない。
空はまだ闇に包まれている。今頃プリシラは夢の中だろう。
エスメラルダはプリシラの事を考えるのはやめにして、空を飛ぶ事に集中した。眼下には広い森が広がっている。
ドウマ国が国を名乗ってからは、東の土地は旅人も通る事を避けるようになった。
魔力を誇示して近隣諸国に難癖をつけ、金品を要求するドウマ国は、どの国にとっても目下のたんこぶだ。
どれほどの距離を飛んだだろうか。エスメラルダは強力な魔力の反応を感知した。
すぐ近くに強い魔力を感じる。エスメラルダが空を飛ぶ速度をゆるめ、ゆっくりと飛行すると、町といってもいいほどの集落があった。どうやらここがドウマ国らしい。小さな集落ではあるが、魔力感知のできるエスメラルダからすれば恐ろしい場所だった。
おそらく住人のほとんどが高い魔力を有しているのだろう。町全体にも魔力感知の魔法がほどこされており、魔法使いが近づこうものならすぐに気づかれてしまう。
どうしたものか。エスメラルダは自身に姿隠しの魔法をほどこして、透明になった状態でドウマ国を観察した。
一見したところ、ドウマ国には畑が無い。つまり国民が作物を生産していないという事だ。それならば、生活のために食物や生活用品をドウマ国に運ばなければならないだろう。
エスメラルダはひたすら機会を待った。すでに日は上りあたりは明るくなっている。ドウマ国の連中は怠惰な人間が多いようだ。朝日が登ったのにも関わらず誰も起きてはこない。
ドウマ国の民は魔力の強さを鼻にかけ、労働をしないようだ。近隣諸国を脅して金を巻き上げ、それで生活をしているようだ。これではただの強盗団と変わりない。エスメラルダはドウマ国を一掃しようと心に決めた。
「うむ。では誰か共につけよう。チコとサラはどうだ?」
「だめよ!あの子達は足手まといよ」
「ならばウィード国お抱えの魔法使いを二人つけよう」
「そんなの不要よ。これから行ってくるわ」
「ちょっと待て!いくら最強の魔女であるお前でも、ドウマ国相手は無茶だ!」
エスメラルダはぐだぐだとうるさいドリスを無視して空間魔法を発動させた。
エスメラルダはウィード国の東の上空にいた。エスメラルダは空間魔法で、目的の場所や人物に目印をつければ、瞬時にその場所、人物の所まで行く事ができる。
だがドウマ国の詳しい場所はわからないので、これから飛行魔法で現地まで飛ぶしかない。
空はまだ闇に包まれている。今頃プリシラは夢の中だろう。
エスメラルダはプリシラの事を考えるのはやめにして、空を飛ぶ事に集中した。眼下には広い森が広がっている。
ドウマ国が国を名乗ってからは、東の土地は旅人も通る事を避けるようになった。
魔力を誇示して近隣諸国に難癖をつけ、金品を要求するドウマ国は、どの国にとっても目下のたんこぶだ。
どれほどの距離を飛んだだろうか。エスメラルダは強力な魔力の反応を感知した。
すぐ近くに強い魔力を感じる。エスメラルダが空を飛ぶ速度をゆるめ、ゆっくりと飛行すると、町といってもいいほどの集落があった。どうやらここがドウマ国らしい。小さな集落ではあるが、魔力感知のできるエスメラルダからすれば恐ろしい場所だった。
おそらく住人のほとんどが高い魔力を有しているのだろう。町全体にも魔力感知の魔法がほどこされており、魔法使いが近づこうものならすぐに気づかれてしまう。
どうしたものか。エスメラルダは自身に姿隠しの魔法をほどこして、透明になった状態でドウマ国を観察した。
一見したところ、ドウマ国には畑が無い。つまり国民が作物を生産していないという事だ。それならば、生活のために食物や生活用品をドウマ国に運ばなければならないだろう。
エスメラルダはひたすら機会を待った。すでに日は上りあたりは明るくなっている。ドウマ国の連中は怠惰な人間が多いようだ。朝日が登ったのにも関わらず誰も起きてはこない。
ドウマ国の民は魔力の強さを鼻にかけ、労働をしないようだ。近隣諸国を脅して金を巻き上げ、それで生活をしているようだ。これではただの強盗団と変わりない。エスメラルダはドウマ国を一掃しようと心に決めた。
0
お気に入りに追加
143
あなたにおすすめの小説
辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~
有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。
主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。
異世界ハーレム漫遊記
けんもも
ファンタジー
ある日、突然異世界に紛れ込んだ主人公。
異世界の知識が何もないまま、最初に出会った、兎族の美少女と旅をし、成長しながら、異世界転移物のお約束、主人公のチート能力によって、これまたお約束の、ハーレム状態になりながら、転生した異世界の謎を解明していきます。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
聖女召喚に巻き込まれて異世界に召喚されたけど、ギルドの受付嬢の仕事をみつけたので頑張りたいと思います!!
ミケネコ ミイミ♪
恋愛
明乃泪(めいの るい)は親友の聖清美(ひじり きよみ)と共に別世界スルトバイスに召喚される。
召喚したのはこの世界のチクトス国の神官カイルディ・リゲルだ。
カイルディは聖女だけを召喚するはずだった。しかし召喚されたのは二人だったため、どっちが聖女なのかと困惑する。
だが、聖女の証となる紋章が清美の首の右側にあった。そのため聖女がどっちか判明する。その後、聖女ではない泪は城を追い出された。
泪は城を追い出される前に帰る方法を聞くが誰一人として知らなかったため自力で探すことにする。
そんな中、働く所をみつけるべく冒険者ギルドへ行く。するとギルドの掲示板に【ギルドの受付をしてくれる者を募集。但し、冒険者も兼ねてもらうため体力に自信がある者のみ。】と書かれた貼り紙があった。
それをみた泪は受付の仕事をしたいと伝える。その後、ギルドで冒険者登録をしたあと受付の見習いになった。
受付の見習い兼、冒険者となった泪は徐々に自分が持っている特殊能力【見極め】の真の使い方について気づいていく。そして自分がこれからやるべきことも……。
★★★★★
【作者が考える作品のセールスポイント】
1.巻き込まれ系でありながら、ざまぁ要素のない成り上がり系作品。
2.恋愛あり。コメディ要素あり。スローライフでありながら勇者のような道を辿り仲間と最終ボスを倒す要素もある作品。
3.特殊能力【見極め】それは、かなりチートな能力だった。
★★★★★★
戦績:第4回 一二三書房WEB小説大賞[一次通過]
第5回 HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門[一次通過]
B-NOVEL 0.5周年企画作者の部、月間ランキングバトル「十万字作品部門!」[1位]
★★★★★
《ノベルアッププラス・小説家になろう・カクヨム・アルファポリス・ノベマ・エブリスタ・B_NOVEL・クロスフォリオに掲載》
表紙、田舎猫たま様の作品につき不正使用、無断転載、無断転売、自作発言を禁止します。
挿絵イラスト:もけもけこけこ様の作品に付き不正使用、無断転載、無断転売、自作発言を禁止します!
不定期です。
【第一部・完結】
【幕間・番外編】
【第二部・連載】
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜
櫛田こころ
ファンタジー
料理人の人生を絶たれた。
和食料理人である女性の秋吉宏香(あきよしひろか)は、ひき逃げ事故に遭ったのだ。
命には関わらなかったが、生き甲斐となっていた料理人にとって大事な利き腕の神経が切れてしまい、不随までの重傷を負う。
さすがに勤め先を続けるわけにもいかず、辞めて公園で途方に暮れていると……女神に請われ、異世界転移をすることに。
腕の障害をリセットされたため、新たな料理人としての人生をスタートさせようとした時に、尾が二又に別れた猫が……ジビエに似た魔物を狩っていたところに遭遇。
料理人としての再スタートの機会を得た女性と、猟りの腕前はプロ級の猫又ぽい魔物との飯テロスローライフが始まる!!
おっかなびっくり料理の小料理屋さんの料理を召し上がれ?
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる