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脱出

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 辺り一帯をおおっていた結界ドームがガラガラと音をたてて崩れた。タップが仕掛けておいた風攻撃魔法が爆発したのだ。

 リベリオはすぐさま空間魔法の出入り口を作った。プリシラとリベリオは素早くタップの背中に乗り、空間魔法の穴に飛び込んだ。

 出口はどこかの森につながっていた。プリシラたちは魔法使いたちの魔の手から抜け出せたのだ。プリシラは乗っているタップの頭を撫でて言った。

「タップ、ありがとう」
『いいって事よ』

 プリシラは後ろに乗っているリベリオにも礼を言った。

「リベリオ、助けに来てくれてありがとう」
「こちらこそ。プリシラが困った時に俺を呼んでくれて嬉しいよ」

 プリシラは微笑んでから、風浮遊魔法で、タップの背中に乗っている全員を地面におろした。タップは元の小さなモルモットに戻った。

 チコとサラがプリシラに抱きついてきた。

「プリシラ、タップありがとう!とっても怖かったぁ!」
「プリシラ、タップ。本当にありがとう。もうダメかと思ったわ」
「皆が無事で本当に良かった」

 プッチとティアもタップにお礼を言っていた。チコとサラは今さらリベリオの事を思い出したようで、取ってつけたようなお礼を言った。

「リベリオもついでにありがとう」
「助かったわ」
「おい!俺に対して心がこもってないぞ!」

 チコとサラはとても疲れていたようで
その場に座り込んでしまった。プリシラも緊張の糸が切れ、ぐったりとその場に座りこんだ。

 少し落ち着いたサラは、事のてんまつを話し出した。

「最初は私が冒険者協会で受けた依頼だったの。ここ最近、女の子の誘拐未遂が続いていて、誘拐犯を捕まえるものだったの」
「誘拐ではなくて誘拐未遂?」

 プリシラはよく理解できなくて、サラに質問した。サラはうなずいてから答えた。

「誘拐されかけた女の子は、皆若くて魔法が使える子。その子達は犯人に捕まって、結界の中に入れられるの。犯人は、この結界から自力で抜け出してみろって言うの。だいたいがエレメント使いの女の子だから、魔力が弱くて抜け出せないの。女の子が結界から抜け出せなくて泣いていると、犯人が言うのよ。ならば魔力の強い娘の居場所を教えろ。さもなければお前はこの結界から出られずに死ぬのだ、って脅すの。女の子たちは、助かりたいために魔女の名前と居場所を教えるの。すると魔法使いたちはその場から立ち去るの。結界は魔法使いがいなくなると解除されるみたい。犯人は、さっき私たちにプリシラのお姉さんに会わせろと脅していた魔法使いたちよ」
「ひどい奴らね。だから魔力が強くて美しいお姉ちゃんに会わせろと言ったのね」
「・・・。プリシラ、別に魔法使いたちは美しいなんて言ってない」

 プリシラは怒りのあまりサラのつっこみを聞いていなかった。
  
 誘拐未遂にあった娘たちは、すぐさま騎士団に犯人逮捕をしてくれと駆け込んだ。だが騎士団は剣術の長けている集団なので、魔法使いの悪人は専門外だ。そのため冒険者協会に依頼したのだ。

 サラと霊獣のティアは、冒険者協会でこの仕事を受けたが、多人数の魔法使いが相手という事で、チコとプッチにも声をかけたのだ。
 
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