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プリシラの友達2
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リベリオのとなりに座るプリシラは、凍りついたようなこの場の空気をまったく読まず、終始楽しそうにしゃべっていた。
サラとチコも、プリシラには慈愛のこもった笑顔を浮かべて話している。だかプリシラが、ねずみたちに話しかけると、霊獣語のわからないリベリオは黙っていなければならない。
リベリオがプリシラの美しい横顔に見とれていると、サラの射抜くような厳しい視線と、チコのニヤニヤ顔がリベリオに向けられているのだ。
針のむしろのような食事会が終わり、ようやく解放されたと思った時、プリシラに気づかれないように、サラが言った。
「リベリオさん、おり行ってお話しがあります」
リベリオは小さく悲鳴をあげながらうなずいた。次の日が仕事だというプリシラとねずみを見送ってから、リベリオは先ほどの針のむしろに戻った。
何も頼まないでテーブルに居座るのは具合が悪いので、紅茶を頼むが、リベリオは緊張のため、一滴も紅茶を飲めなかった。
リベリオの緊張を見てとったのだろう。サラが少し言葉を和らげて言った。
「リベリオさんはプリシラのお姉さんに会いましたか?」
「えっ?!あ、はい。プリシラの事が好きだと言ったら、妹の前から消えるか、この世から消えるか、どちらか選べと言われて殺されかけました」
サラはそうだろうとうなずいた。小さな小人を肩に乗せたチコはケラケラ笑いながら言った。
「へぇ、お姉さんも丸くなったねぇ。ちょっと前なら、リベリオさんからプリシラの記憶を全部消しちゃうのに」
「き、記憶を消す?!」
リベリオは驚きのあまり大声をあげた。精神操作系の魔法はとても高等で、短期間ならともかく、長期間記憶操作をするのはとても難しいのだ。チコはあっけらかんと答えた。
「召喚士養成学校の時、プリシラに懸想する男たちは、お姉さんがしばき倒して、それでも諦めない連中は、お姉さんがプリシラの記憶を消していたわ。だからプリシラは周りから浮いちゃってね。友達なんて私たちくらいだったわ」
やはりプリシラの姉のエスメラルダは、プリシラに群がる男たちを撃破していたのだ。リベリオはプリシラの友達を少し見直した。恐ろしい姉の脅威を感じながらよく今日までプリシラの友達でいたものだと。
リベリオの表情を察したのだろう。チコがケラケラ笑いながら言った。
「私たちだってお姉さんは怖いわよ。だけどプリシラは、そんなお姉さんがいても、大金のお釣りがくるくらいいい子なのよ」
チコの言葉に、毛足の長い犬を抱いたサラは優しい笑みを浮かべた。
サラとチコも、プリシラには慈愛のこもった笑顔を浮かべて話している。だかプリシラが、ねずみたちに話しかけると、霊獣語のわからないリベリオは黙っていなければならない。
リベリオがプリシラの美しい横顔に見とれていると、サラの射抜くような厳しい視線と、チコのニヤニヤ顔がリベリオに向けられているのだ。
針のむしろのような食事会が終わり、ようやく解放されたと思った時、プリシラに気づかれないように、サラが言った。
「リベリオさん、おり行ってお話しがあります」
リベリオは小さく悲鳴をあげながらうなずいた。次の日が仕事だというプリシラとねずみを見送ってから、リベリオは先ほどの針のむしろに戻った。
何も頼まないでテーブルに居座るのは具合が悪いので、紅茶を頼むが、リベリオは緊張のため、一滴も紅茶を飲めなかった。
リベリオの緊張を見てとったのだろう。サラが少し言葉を和らげて言った。
「リベリオさんはプリシラのお姉さんに会いましたか?」
「えっ?!あ、はい。プリシラの事が好きだと言ったら、妹の前から消えるか、この世から消えるか、どちらか選べと言われて殺されかけました」
サラはそうだろうとうなずいた。小さな小人を肩に乗せたチコはケラケラ笑いながら言った。
「へぇ、お姉さんも丸くなったねぇ。ちょっと前なら、リベリオさんからプリシラの記憶を全部消しちゃうのに」
「き、記憶を消す?!」
リベリオは驚きのあまり大声をあげた。精神操作系の魔法はとても高等で、短期間ならともかく、長期間記憶操作をするのはとても難しいのだ。チコはあっけらかんと答えた。
「召喚士養成学校の時、プリシラに懸想する男たちは、お姉さんがしばき倒して、それでも諦めない連中は、お姉さんがプリシラの記憶を消していたわ。だからプリシラは周りから浮いちゃってね。友達なんて私たちくらいだったわ」
やはりプリシラの姉のエスメラルダは、プリシラに群がる男たちを撃破していたのだ。リベリオはプリシラの友達を少し見直した。恐ろしい姉の脅威を感じながらよく今日までプリシラの友達でいたものだと。
リベリオの表情を察したのだろう。チコがケラケラ笑いながら言った。
「私たちだってお姉さんは怖いわよ。だけどプリシラは、そんなお姉さんがいても、大金のお釣りがくるくらいいい子なのよ」
チコの言葉に、毛足の長い犬を抱いたサラは優しい笑みを浮かべた。
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