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エスメラルダの強さ

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 エスメラルダは見えない風の防御魔法を身にまといながら、呪文を詠唱し始めた。これまでの魔法戦で、エスメラルダが呪文を唱えたのは、この時が初めてだった。

 リベリオはエスメラルダの魔法を警戒して、水のドラゴンを自身の側に呼び戻した。リベリオ自身の魔力は残り少ないが、出現させた水のドラゴンは、自らの意志で行動し、リベリオを守ってくれるのだ。

 エスメラルダが呪文を唱える終えると、右手を天高く突き出した。先ほどリベリオが、水のドラゴンを生成した時にやった動作だ。

 リベリオは無意識のうちに、まさか、と呟いた。エスメラルダの側には、巨大な火の鳥が出現した。なんとエスメラルダは、リベリオの魔法を一目見ただけで、模倣してしまったのだ。

「中々いい魔法じゃない。この私がまねてあげたんだから、ありがたく思いなさい?そうそう、そのドラゴンがプリシラへの愛の大きさというなら、私の火の鳥の方が、貴方のドラゴンより大きいわよ?」

 エスメラルダは自分の方がプリシラの事を愛していると主張しているのだ。リベリオは自身の命の危機にも関わらず、プリシラとエスメラルダの姉妹の違和感を感じてならなかった。

 リベリオがプリシラに接するに、プリシラは男性に対して苦手意識があるようだ。リベリオがその事を質問すると、プリシラは苦笑しながら答えた。自分は男性と接する事が無かったのだ、と。

 プリシラは五年間学生生活を送っていてのだ。これほどの美人なら、たくさんの男がいいよって来たに違いない。

 プリシラにそう聞くと、彼女は両手を振りながら否定した。自分は男性から声をかけられた事など一度もない。クラスの男子生徒にしても、皆よそよそしく、まともに話した事もないと答えたのだ。

 もしリベリオの学校のクラスに、プリシラのような女の子がいたら、一も二もなく口説くだろう。プリシラが、男子生徒からまったく声をかけられなかったというと、逆におかしい。

 しかも召喚士養成学校は、クラス分けされたら、五年間同じクラスなのだそうだ。これはますます怪しいと思ったが、リベリオに一つの考えが浮かんだ。姉のエスメラルダが、プリシラが男性と関わる事をよしとせず、何らかの形で妨害していたのかもしれない。

 その考えにいたると、リベリオはうわずった声で口に出して言っていた。

「エスメラルダ、君はプリシラに恋をしているのかい?」

 
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