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セミルたちとの別れ

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 その晩セミルは、フィンの好きなビーフシチューを作ってくれた。今夜でセミルの料理は食べ納めだ。セミルの作ってくれた料理はどれも美味しかった。フィンは感謝しながらゆっくりと食べた。

 セミルはブランにも沢山のフルーツや野菜を出してくれた。いつものようにお風呂に入ってからセミルとユリスにおやすみなさいとあいさつしてフィンとブランの部屋に帰った。フィンはベッドに横になりながら枕元にうずくまっているブランに言った。

「ブラン、いよいよ明日レムーリア国に帰るんだね?」
『そうね。だいぶシュロム国に長居してしまっただわよ』
「そうだね、でも楽しかったなぁ。何かセミルとユリスと家族になったみたいだった」
『そうね。フィン、寂しい?』
「ううん、平気。ブランがいてくれるもの」
『ええ、アタシはフィンとずっと一緒よ?さぁフィン、もう寝なさい』
「ありがとう、ブラン。お休み」

 翌日、フィンとブランはセミルの作った朝食を食べてから帰る事になった。セミルからは妹のアロワに渡して欲しいと頼まれた沢山のお土産を持たされた。ものすごい量だったがリュックサックにすべて入ってしまった。セミルは、それからと言って、フィンに小さな麻袋を手渡した。中身はセミルが受け取った依頼の報酬だった。

 セミルはフィンとユリスに均等に依頼の報酬を渡してくれていた。セミルはランスの町長に渡してくれというのだ。フィンは必ず届けると約束した。セミルは笑顔で言った。

「頼んだぜ、フィン、ブラン。何かあったら連絡しろよ?飯ならいつでも作ってやる、ユリスも寂しがるだろうからな」
「それを言うなら師匠が寂しいんでしょう?」
「うるせぇなユリス!」

 セミルにユリスがちゃちゃを入れる。どうやら二人はいい師弟関係になれたようだ。フィンは安心した。セミルがレムーリア国に続く空間魔法を開いてくれた。フィンはブランを抱っこして空間の出入り口に入った。振りかえって手を振る、セミルとユリスも手を振ってくれた。出入り口は小さくなり、消えてしまった。

 セミルが送り届けてくれた場所はランスの町のすぐ近くだった。フィンはふところから二つの麻袋を取り出してブランに聞いた。

「ブラン、いい?」
『ええ、フィンがそうしたいなら。でもこれから質素な生活になるわよ?』
「大丈夫だよ。ブランが美味しい野菜を作ってくれるもの。しばらくは野宿でしのごう」

 フィンはそう言うと、自分が受け取った報酬の金貨をセミルの麻袋の中に入れた。ブランは大きくなってフィンを背中に乗せてくれた。

 セミルの妹、アロワは顔色も良く元気そうだった。セミルからたくされた山のようなお土産に顔をしかめていた。

 フィンがセミルの近況を話し、彼に弟子ができた事、その子はとても良い子だと伝えると、アロワはとても喜んでくれた。

 次にフィンはブランと共に町長の家まで行った。町長にそれとなく、ランスの町の事を聞くと、セミルが教えてくれた魔法薬の販売で何とか税金を納める事ができていると答えた。

 フィンがセミルから預かった金貨を渡すと、深々と頭を下げて感謝してくれた。

 フィンとブランはランスの町を後にして、王都まで帰る事にした。




 
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感想 3

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みんなの感想(3件)

瑠璃垣玲緒
2022.05.30 瑠璃垣玲緒

剣の才能の章では、「フィンに1万回の素振りを課した」とあるのに、
次章の指導官では千回になってますが、どちらが正しいのでしょう?

解除
たぬき
2022.02.15 たぬき

ブランの特訓 の中で

フィンは土魔法はとてもぼんよう性が高い魔法だと思っている。フィン自身は鉄限定の土魔法しか使えないが、…

とありますが、凡庸性ではなく汎用性ではないでしょうか??

また、コメントには載せないでいただいて結構です。

解除
岩本なんだな
ネタバレ含む
解除

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