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十二人の魔法使い

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 ユリスたちが空間魔法を抜けると、街に火の手があがっていた。ボッスの姿をとったセミルがユリスたちに言った。

「ユリス、フィン、ブラン、計画通りに行くぞ。俺は燃えている屋敷の消化と住人の保護に行く。ユリスは皆を連れて魔法使いの所に行け」
「「はい!」」
「ニャー」

 セミルの言葉にユリスたちが大きな声で答えた。セミルはうなずくと空間魔法を開き、その場から姿を消した。

 ユリスはフィンとマリンを見た。彼らは制服のままだった。ユリスは自分とフィンの制服を旅人の服に変え、マリンの制服を動きやすドレスに変えた。ユリスはフィンたちに言った。

「今から飛行魔法で燃えている屋敷まで飛ぶ。僕の手をしっかりつないで」
 
 フィンはうなずいて、ブランを左手で抱っこして、右手をユリスに差し出した。マリンもおずおずと左手を出す。ユリスは二人の手をしっかりと握り、空に飛び立った。

 急がなければいけない。だがユリスは初めて二人の人間と飛ぶのだ。うまくバランスが取れるだろうか。マリンは初めての飛行魔法のようで、キャァと悲鳴をあげて暴れだした。ユリスはつとめておだやかな声で言った。

「マリン、落ち着いて。風の魔法を僕たちにまとわせている。暴れると気流が乱れてかえって危険だ」

 マリンは恐怖に顔を引きつられながらもうなずいた。ユリスもうなずきかえして飛ぶ速度をあげた。

 ユリスたちが屋敷に到着すると、すでに炎は消えていた。セミルが火を消したのだろう。ユリスたちの目の前に、十二人の仮面をつけた魔法使いが浮遊していた。

 仮面をつけた魔法使いの一人が言った。

「おい、小僧ども!赤髪のセミルはどこだ!」
「師匠は来ない!お前らなんか弟子の僕たちだけで十分だ!」
「な、何だと!どこまでも俺たちを馬鹿にしやがって」

 仮面をつけた魔法使いは怒りに叫び声をあげた。この声、以前セミルと口論していたイエーリだろう。

 ユリスがマリンの視線に気づいた。不安そうにユリスを見つめている。ユリスはマリンを安心させるために微笑んだものの、困ってしまった。この中にマテウスがいたとしても、仮面をつけていては救出のしようがない。ユリスは思わず呟いた。

「くそ、マテウスが分かれば」
「私、わかるわ!」

 マリンがするどい声で言った。ユリスが驚いてマリンを見る。マリンはゆっくりと答えた。

「あの仮面の魔法使いの中のマテウスがわかれば助けてくれる?」
「ああ。だけどマリン、どうやって?」

 マリンは十二人の魔法使いに向かって右手を向けた。すると小さな水の粒がどんどん出現した。水の粒は十二人の魔法使いにまとわりついた、十人の魔法使いはびどうだにしなかったが、二人の魔法使いは水の粒を嫌がって振り払う仕草をした。マリンは叫んだ。

「いた!左上から二番目!あの仮面の魔法使いがマテウスだわ!」

 

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