ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

ユリスとユーリ

　ユリスとフィンは学校の生徒、マテウスとマリンと楽しく昼食を食べた。今は潜入捜査の真っ最中なのだが、楽しいと思ってしまった。魔法学校に通っていたらこんな感じだったのだろうか。

　ユリスがかんがいにふけっていると、マリンがユリスを見つめてモジモジとしながら言った。

「ねぇ。ユーリってユリス王子に似てるよね？」

　ユリスはギクリとした。ここでユリスが王子だとバレるわけにはいかない。これは何とかしてごまかさなければ。ユリスはマリンに言った。

「そうかなぁ？自分じゃわからないけど。でもユリス王子って金髪にむらさきの瞳だよね？」
「そうだね。でもユリスは茶色の髪に茶色の瞳も似合ってるよ！」

　ユリスが何とかごまかそうとすると、突然フィンが会話に入ってきた。ユリスは頭をかかえてしまった。フィンはやっぱりユリスの事をユーリではなくユリスと呼んでしまう。マリンは不思議そうな顔をして聞いた。

「ねぇ、グリフィン。何でユーリの事をユリスって呼ぶの？」

　そこでフィンはハッとした顔になりあたふたし始めた。ユリスはため息をついてマリンに言った。

「グリフィンは小さい頃から僕の事ユーリじゃなくてユリスって呼んじゃうんだ。そのくせが今も抜けなくて」

　マリンは首をかしげた。納得いっていない顔だ。それまで黙っていたマテウスが言った。

「おい。ユーリ、グリフィンお前たち兄弟なんて嘘だろう？」

　ユリスとフィンは同時にギクリと身体をふるわせてしまった。これでは嘘をついているのは丸わかりだ。マテウスはふふんと笑ってから言った。

「やっぱりな」
「ど、どうして僕たちが兄弟じゃないってわかったの？」

　ユリスは観念してマテウスに聞いた。マテウスは自信満々に答えた。

「手だよ！手。グリフィンの手はゴツゴツしていて働いている人の手だ。だけどユーリの手はとても綺麗だった。つまりユーリとグリフィンは一緒に暮らしていない。それに、食事の仕方も全然違う。ユーリは洗練された食事マナーだが、グリフィンは食事マナーを習った事がない」

　ユリスは仕方なく本当の事を話した。

「マテウス、マリン。僕たちだけの秘密にしてくれないかな」
「いいぜ！友達だもんな」

　ユリスはマテウスの返事に思わず微笑んだ。ユリスは自身が王子だと言うことはふせて話しをした。

「僕とグリフィンはレオンス王子に依頼されてメディーナ魔法学校を調べていたんだ。魔法使いの犯罪集団がこの学校と関係があるらしいんだ。ねぇ、君たちこの学校で何か気になる事ない？」

　マテウスとマリンは驚いた顔をしたが真剣な面持ちでうなずいた。