ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

盛平

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食卓

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 セミルが空間魔法でテントの中に帰ってくると、台所からいいにおいがした。台所からフィンが顔を出して言った。

「セミルお帰りなさい。どこに行ってたの?」
「しょんべん」
「嘘つかなくていいよ。騎士団の病院に行ってたんでしょ?魔法使いの人たちは気がついたの?」

 セミルがうなずくと、フィンはわが事のように喜んだ。フィンとユリスは朝食の準備をしてくれていた。

 にんじん、ズッキーニ、ジャガイモが入ったスープだ。野菜は、均等に切れたものと、大きかったり小さかったりしたものが混在していたが美味しかった。

 セミルは食卓を囲んでいるフィンとユリスとブランを見て、心が暖かくなるのを感じた。ランスの町では当たり前だった。妹との穏やかな食卓、気のおけない仲間たちとの賑やかな食卓。

 セミルは国を出てから孤独だった。ダンバ国に逃げても、人と関わらないように過ごしていたのだ。だが今は弟子たちと食事を共にしている。このような時間が長く続けばと思うが、しばらくすればフィンとブランはレムーリア国に帰らなければいけない。ユリスだとてシュロム国の王子ならばいずれ城に帰るだろう。

 セミルはジャガイモが生煮えたとぼやいているユリスに聞いた。

「ユリス、お前はメディーナ魔法学校を知っているか?」
「はい。シュロム国には魔法学校が三つありますが、メディーナ魔法学校は新しくできた学校です」
「学校の評判は何か知っているか?」
「最初は門戸を開いて、貴族や平民の生徒を集めていました。ですがここ数年、急に方針が変わったようで、貴族か裕福な者しか入学できなくなってしまいました。入学金もとても高くなってしまったんです」
「何故急に変わったんだ?校長が変わったのか?」
「いいえ」

 ユリスの答えにセミルは考え込んだ。フィンはユリスに魔法学校の事を質問している。ユリスは歯切れ悪く答えた。

「僕は魔法使いの家庭教師に教えてもらったから、魔法学校は行ってないんだ。でも学校って行ってみたかったなぁ」

 ユリスの言葉にセミルはポンと手を叩いて言った。

「いいじゃないか、ユリス。今から魔法学校に通えよ」
「ええ!今からですか?!」
「ああそうだ。フィンも一緒に通えよ。ユリス、兄さんに頼んで紹介状を書いてもらう事できるか?」

 セミルの言葉に、聡いユリスはハッとして言った。

「師匠。今回の事件、メディーナ魔法学校が関係しているんですか?」
「まだ断定はできない。それをお前たちに探って来てほしいんだ」

 ユリスとフィンは厳しい顔になりうなずいた。

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