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冒険者レベル100の依頼

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 ユリスが師匠であるセミルの行動をうかがっていると、セミルは冒険者レベル100の依頼書を手に持って受付に行こうとしている。

 ユリスは驚いてしまった。セミルは今変身魔法で、架空の五十代のひげ面の男に変身しているのだ。冒険者登録もしていない男がレベル100の依頼など受けられるわけがない。

 ユリスの心配をよそにセミルは受付の男に依頼書を提出して、依頼を受けたいむねを話した。受付の男はギロリとセミルを一べつして言った。

「これは魔法使いの集団を捕縛するんだぞ?大所帯のパーティを組まねぇと達成できないぞ?これまで多くの魔法使いパーティがこの集団を捕縛しようとして失敗しているんだからな」
「心配ない。俺の息子たちも同行する」

 セミルは後ろを振り向いてユリスたちを手招いた。ユリスとフィンがセミルの後ろに立つ。ユリスたちを見た受付の男がぼやいた。

「おいおい、子供二人も連れてたら足でまといになっちまうぞ?!」
「大丈夫だ!俺の息子たちは国家魔法使いに召喚士だぞ!」
「アンタ、親バカなのは結構だが死んでもしらねぇぞ?」
「ああ」

 受付の男はため息をついてからセミルに聞いた。

「アンタ、名前と職業と冒険者レベルは?」
「ボッス。職業は魔法使い、レベル120だ」

 セミルの発言に、ユリスは驚いてしまった。架空の人物だと思っていたセミルの変身魔法の人物は、どうやら実在したようだ。受付の男は冒険者名簿を取り出し調べ出した。

「ボッス、ボッス。おお、あった。ん?おいアンタ、職業が剣士になってるぞ?」
「・・・。最近転職したんだ」
「その年で職業かえたのか?本当に大丈夫なのか?」

 セミルは問題ないといって、ゴリ押しで依頼承諾書にサインをした。

 ユリスたちは何とか依頼を受ける事ができるようだ。セミルは受付の男に依頼の概要を詳しく聞いていた。ユリスは横で耳をすまして聞いていた。

 聞くところによると、これからユリスたちが捕縛しに行く魔法使いの集団はとても大きな組織のようで、数人の逃げ遅れた魔法使いの捕縛に成功しているが、組織の実態はまだ何も掴めていないのだそうだ。

 セミルは捕らえられた魔法使いの居場所を聞くと、受付の男が場所を教えてくれた。捕らえられた魔法使いたちは王都の騎士団内の病院に収容されているようだ。ユリスは不思議に思った、捕らえられた魔法使いたちはケガでもしてしまったのだろうか、組織の事を話せないほど。

 セミルは騎士団の場所を聞いてからユリスたちをうながし冒険者協会を出た。
 
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