ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

盛平

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修行開始

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 ユリスが目を覚ますと、すでにセミルたちは起きていた。セミルは大量の朝食を用意して、ユリスにしっかり食べるようにと言った。

 ユリスは魔法の師の言いつけを守ろうと思うのだが、元来食が細くて思うように食べる事ができなかった。フィンは朝からしっかりと朝食を食べていた。

 ユリスの修行を始める時になって、何故かフィンとブランも一緒にいた。ユリスがフィンにたずねた。

「フィンとブランも魔法の修行をするの?」
「うん!セミルに頼んで僕らも教えてもらう事にしたんだ」
「僕もフィンたちと一緒に修行できたら嬉しいけど、そろそろレムーリア国に戻らないとまずくない?」

 ユリスの心配に答えたのは、師匠のセミルだった。

「心配ねぇよユリス。フィンとブランがレムーリア国に帰らなければいけなくなったら、俺が一秒で送ってってやる」
「一秒?!シュロム国とレムーリア国は隣国とはいえ、距離があります。いくら師匠の空間魔法でも難しくないですか?」
「あのなぁ、空間魔法に遠いも近いもねぇだろ。俺だって行った事ない場所に行くのは時間かかるけど、一度行った事がある場所には目印をつけているからすぐに行けるんだよ。それに、フィンとブランにも目印をつけているからな。フィンとブランがどこにいても俺は会いに行く事ができるからな」

 セミルの説明を、ユリスはポカンと口を開けて聞いていた。どうやらユリスの師匠はとてもすごい魔法使いのようだ。ユリスが黙っていると、セミルが手をパンパンと叩いてユリスたちを呼んだ。

「はい!クソガキども集合」

 フィンはブランを抱っこして駆け寄った。ユリスも遅れて後に続く。セミルはユリスの事をシュロム国の王子ではなく、フィンと同じ生徒としてあつかってくれているのだ。ユリスはそれがとても嬉しかった。

 セミルはフィンとユリスを交互に見比べて言った。

「お前たち身長は同じくらいだな」

 セミルはそう言うと、ブランを抱っこしたままのフィンの腰を掴んで持ち上げようとした。だがフィンはセミルの予想以上に重かったらしく、セミルは重てぇなぁと文句を言った。セミルの周囲に魔力がただよう。セミルが魔法を発動させたのだ。

 セミルは先ほどまで全くフィンを抱き上げられなかったのに、まるで綿を持ち上げるようにフィンを持ち上げた。セミルは火魔法を使って体力を増ふくさせたのだ。フィンはセミルに抱き上げられた事が嬉しかったのか、ケラケラ笑ってセミルの首にしがみついた。

 セミルはフィンとブランを下ろすと、ユリスを呼んだ。今度はユリスを持ち上げようというらしい。ユリスはもう十八歳だ。抱っこなんて子供みたいだ、恥ずかしくてしょうがない。ユリスがためらっていると、突然ユリスの身体がセミルの方に引き寄せられた。

 ユリスはセミルに腰をもたれると、軽々と持ち上げられてしまった。セミルは顔をしかめて言った。

「軽いなぁ。体力増ふく魔法を使わなくても持ち上げられるぞ?ユリス、お前はまずは体力をつける事。それが最初の修行だ」

 
 
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