237 / 298
潜在魔力
しおりを挟む
セミルは急にできた自分の弟子、シュロム国の王子ユリスをチラリと見つめた。おっとりとした雰囲気、オドオドとした態度。およそ王子には見えない。彼は幼い頃から卑下されて育ったように見えた。
外国の王族など、セミルは極力関わり合いになりたくないのが本音だ。セミルは王族や貴族の権力者を憎んでいる。だがユリスはフィンの友達だ。フィンはセミルにとって恩人なのだ。母国を出る事にふんぎりがつかなかったセミルに、国を出るきっかけを作ってくれた。
フィンはセミルの願いを聞き入れ、王都の騎士団にセミルが死んだと報告してくれた。おかげでセミルは外国で暮らす事ができたのだ。フィンはセミル討伐で受けた報酬を、ランスの町に全て渡してくれた。セミルはフィンの恩に報いなければならないのだ。セミルはユリスに声をかけた。
「よし、ユリス。これからお前の潜在魔力の限界を見る。ついて来い」
セミルは自身と、ブランを抱っこしたフィンに風魔法をかけて、宙に浮いた。ユリスもそれにならう。セミルはうなずいて高度を上げると、早い速度で空を飛んだ。フィンとブランは速すぎると叫んでいるが無視する。ユリスはセミルの速度にしっかりついてきている。魔法のセンスは悪くないようだ。
セミルは森を抜けて、大きな平野に降り立った。フィンたちに振り向いて言った。
「おい。あまり役に立たないと思うが耳ふさいでろ」
フィンとユリスが耳をふさぐ。白猫のブランも前足で自分の耳を折り曲げてるのがちょっと可愛い。セミルはうなずくと、辺り一帯に特殊な周波数を出す魔法を発動させた。ここらに住んでいる動物たちをおっぱらうためだ。キィーンと鋭い音がする。
しばらくして周波数を止め、セミルは大きな防御ドームを作った。フィンたちはセミルが何をしようとわからないようでキョロキョロしていた。セミルはユリスに振り向き厳しい声で言った。
「ユリス、これからお前の実力を見る。相手はフィンとブランだ」
「えっ!フィンとブランに攻撃するなんて、僕にはできません!」
「僕たちだってイヤだよ!セミル!」
「ニャッニャッ」
ユリスの言葉にフィンとブランも乗っかってくる。セミルは怖い顔で答えた。
「俺はユリスの潜在魔力がどのくらいあるのか知りてぇの!この防御ドームはお前たちの魔法が周りに危害を及ぼさない意味もあるが、このドームは俺の結界内なの。もしお前らに危険な事があれば、魔法を強制停止する事ができるからグダグダ言わずにやりなさい!」
フィンはセミルの考えに不満らしく、ふてくされた顔をしている。ユリスは青ざめた顔だ。ブランは何を言っているかわからないがシャーッシャーッと怒っていた。
外国の王族など、セミルは極力関わり合いになりたくないのが本音だ。セミルは王族や貴族の権力者を憎んでいる。だがユリスはフィンの友達だ。フィンはセミルにとって恩人なのだ。母国を出る事にふんぎりがつかなかったセミルに、国を出るきっかけを作ってくれた。
フィンはセミルの願いを聞き入れ、王都の騎士団にセミルが死んだと報告してくれた。おかげでセミルは外国で暮らす事ができたのだ。フィンはセミル討伐で受けた報酬を、ランスの町に全て渡してくれた。セミルはフィンの恩に報いなければならないのだ。セミルはユリスに声をかけた。
「よし、ユリス。これからお前の潜在魔力の限界を見る。ついて来い」
セミルは自身と、ブランを抱っこしたフィンに風魔法をかけて、宙に浮いた。ユリスもそれにならう。セミルはうなずいて高度を上げると、早い速度で空を飛んだ。フィンとブランは速すぎると叫んでいるが無視する。ユリスはセミルの速度にしっかりついてきている。魔法のセンスは悪くないようだ。
セミルは森を抜けて、大きな平野に降り立った。フィンたちに振り向いて言った。
「おい。あまり役に立たないと思うが耳ふさいでろ」
フィンとユリスが耳をふさぐ。白猫のブランも前足で自分の耳を折り曲げてるのがちょっと可愛い。セミルはうなずくと、辺り一帯に特殊な周波数を出す魔法を発動させた。ここらに住んでいる動物たちをおっぱらうためだ。キィーンと鋭い音がする。
しばらくして周波数を止め、セミルは大きな防御ドームを作った。フィンたちはセミルが何をしようとわからないようでキョロキョロしていた。セミルはユリスに振り向き厳しい声で言った。
「ユリス、これからお前の実力を見る。相手はフィンとブランだ」
「えっ!フィンとブランに攻撃するなんて、僕にはできません!」
「僕たちだってイヤだよ!セミル!」
「ニャッニャッ」
ユリスの言葉にフィンとブランも乗っかってくる。セミルは怖い顔で答えた。
「俺はユリスの潜在魔力がどのくらいあるのか知りてぇの!この防御ドームはお前たちの魔法が周りに危害を及ぼさない意味もあるが、このドームは俺の結界内なの。もしお前らに危険な事があれば、魔法を強制停止する事ができるからグダグダ言わずにやりなさい!」
フィンはセミルの考えに不満らしく、ふてくされた顔をしている。ユリスは青ざめた顔だ。ブランは何を言っているかわからないがシャーッシャーッと怒っていた。
0
お気に入りに追加
769
あなたにおすすめの小説
底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜
ああああ
ファンタジー
召喚士学校の卒業式を歴代最低点で迎えたウィルは、卒業記念召喚の際にSSSランクの魔王を召喚してしまう。
同級生との差を一気に広げたウィルは、様々なパーティーから誘われる事になった。
そこでウィルが悩みに悩んだ結果――
自分の召喚したモンスターだけでパーティーを作ることにしました。
この物語は、底辺召喚士がSSSランクの従僕と冒険したりスローライフを送ったりするものです。
【一話1000文字ほどで読めるようにしています】
召喚する話には、タイトルに☆が入っています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる