ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

セミルとユリス

「セミル久しぶり！」
「よぉ。フィン、ブラン」

　フィンはブランを抱っこしながら、笑顔で赤髪のセミルに駆け寄った。セミルはフィンのとなりにいるユリスに気づいてフィンに聞いた。

「誰だ？この貧相なガキは？」
「シュロム国の第七王子ユリスだよ」
「まぁ！どおりで利発そうな坊ちゃんです事！」

　セミルは引きつった笑顔で叫ぶと、フィンのえりくびを持ち上げて叫んだ。

「フィン！テメェは何で先にそれを言わねぇんだ！」
「ぐぇ。苦しいよセミル。セミルの態度が悪かっただけだろ？」

　フィンとセミルの言い争いに慌てたユリスは、セミルの手を掴んで言った。

「怒りをおしずめくださいセミルどの。僕は王族を離脱したのです、ですから今は王子ではなくただの魔法使いなんです」

　ユリスの言葉に、セミルはフウッと安どのため息をついて言った。

「なぁんだ、問題起こして城を追い出されたのか。ならただのクソガキだな！」

　セミルの言葉にフィンが補足を付け加えた。

「それはちょっと違うよ。ユリスは時期国王のお兄さんの役に立ちたくて、見聞を広めるために城を出たんだよ？だからユリスは将来シュロム国の魔法大臣になるんじゃないかな？」

　フィンの言葉を聞いて、セミルの顔が真っ青になった。セミルはバッタのように地面に土下座して叫んだ。

「この度のご無礼ご容赦願います！てゆうかいっそ殺してください！」

　ユリスは、地面に頭を擦り付けているセミルに驚いて叫んだ。

「どうか顔をお上げください！セミルどの！」

　ようやくセミルが落ち着いた頃、ユリスはおずおずとセミルに聞いた。

「あの、セミルどの。貴方は赤髪のセミルと呼ばれている魔法使いでは？」
「あ、はい。そう言われてましたね」
「やっぱり！赤髪のセミルの悪みょ、名声は、このシュロム国でも知れ渡っていますよ！」
「今、悪名って言おうとした？嘘っ！俺シュロム国でもおたずね者なの？！俺ヤダ！もうダンバ国の田舎に帰る！」

　セミルはまた動揺しだした。国を脱出したセミルは、潜伏生活でだいぶ追い詰められていたようだ。フィンはセミルの背中をポンポンと叩きながら言った。

「大丈夫だよセミル。セミルは死んだ事になってるんだから、そんなに心配しなくったて。でね、セミルを呼んだのはユリスの魔法の先生になって欲しくて来てもらったんだ」
「フィン、お前は本当にマイペースだよな。何、俺に王子さまの先生になれってのか？そんな事して俺になんの得があんだよ」
「シュロム国の王子さまだよ？ユリスに親切にしておけば、いずれレムーリア国に帰れるかもしれないじゃないか」
「・・・。国に、帰る」

　セミルはしばらく黙っていた。セミルにはレムーリア国に大切なものがあるのだ。セミルはスクッと立ち上がり、ユリスに向かって言った。

「ようし王子さま！俺がお前の魔法の先生になってやる！王様に俺はとってもいい魔法使いだとちゃんと言ってくれよ？」
「はい！師匠！」

　ユリスに魔法の先生ができた。