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騎士団長ランハート
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フィンはブランに頼んで、霊獣パンターに連絡を取ってもらった。ちょうど良くバレットは王都に滞在していた。バレットはすぐさま騎士団長ランハートに連絡してくれた。王都の騎士団は五日にフティの街に来る事になった。
フィンとベノーたち用心棒は領主を締め上げ、横領に加担した商人の名前を吐かせた。領主の他三人の商人が関わっている事がわかった。用心棒たちは三人の商人を捕らえ、領主の屋敷に監禁した。
五日経ち、約束通り騎士団が到着した。驚いた事に、王都の騎士団を指揮していたのは騎士団長ランハート本人だった。ランハートは五十代くらいのガッチリとしたりりしい男だった。ランハートはフィンを見ると笑顔で声をかけた。
「君がフィンか。やっと会えた」
「ランハートさま。どうして僕の名前を知っているのですか?」
「バレットから耳にタコができるくらいフィンの事を聞いているよ。俺の弟はとても可愛くて良い子だって」
バレットの発言にフィンは恥ずかしくなって黙ってしまった。だがバレットがフィンの事をランハートに話していた事が嬉しくもあった。バレットの自慢になれる弟になりたいと思った。ランハートは微笑んで言葉を続けた。
「私は今のフィンより小さい頃のバレットを知っている。バレットは剣と魔法は大人以上に強かった。いつも騎士団に犯罪者を連れて来ていた。でもいつも無表情な暗い顔をしていた。だが最近になってとても笑顔が多くなったんだ。女でもできたのかと思って冷やかしてみたら、弟ができたのだと自慢されてしまった。私からも礼を言わせてくれ。フィン、バレットの家族になってくれてありがとう」
フィンはおもはゆい気持ちになりながら答えた。
「ランハートさま。バレットは勇者レオリオの意志を継ぐ者です。僕はバレットの弟の名に恥じないようにしたいのです」
ランハートはうなずいて言った。
「フィン、君は立派だ。フティの街の領主の罪をあばいたのだから」
「いいえ、僕の力ではないんです。フティの街の人々が、自身の街を良くしようと行動を起こしたからなんです」
フィンはふところから、領主の裏帳簿を取り出した。ランハートに手渡すと、彼はペラペラと帳簿をめくって確認した。フゥと大きなため息を吐いて口を開いた。
「実になげかわしい。王都から離れたフティの街ではこのような暴挙が平然と行われていたのだな」
「ランハートさま。次にこの領地を治める領主さまはフティの街の人たちを幸せにしてくれるでしょうか?」
「まだどの者が新たな領主になるか決まっていない。だが、とりあえずとなりの領土を治める領主がここ一帯の領主を兼任する事になるだろう。安心しろフィン。となりの領主は人格者と名高い方なのだ」
ランハートの言葉に、フィンはようやく笑顔になれた。これからフティの街の人たちが幸せになれるかもしれないのだ。
フィンとベノーたち用心棒は領主を締め上げ、横領に加担した商人の名前を吐かせた。領主の他三人の商人が関わっている事がわかった。用心棒たちは三人の商人を捕らえ、領主の屋敷に監禁した。
五日経ち、約束通り騎士団が到着した。驚いた事に、王都の騎士団を指揮していたのは騎士団長ランハート本人だった。ランハートは五十代くらいのガッチリとしたりりしい男だった。ランハートはフィンを見ると笑顔で声をかけた。
「君がフィンか。やっと会えた」
「ランハートさま。どうして僕の名前を知っているのですか?」
「バレットから耳にタコができるくらいフィンの事を聞いているよ。俺の弟はとても可愛くて良い子だって」
バレットの発言にフィンは恥ずかしくなって黙ってしまった。だがバレットがフィンの事をランハートに話していた事が嬉しくもあった。バレットの自慢になれる弟になりたいと思った。ランハートは微笑んで言葉を続けた。
「私は今のフィンより小さい頃のバレットを知っている。バレットは剣と魔法は大人以上に強かった。いつも騎士団に犯罪者を連れて来ていた。でもいつも無表情な暗い顔をしていた。だが最近になってとても笑顔が多くなったんだ。女でもできたのかと思って冷やかしてみたら、弟ができたのだと自慢されてしまった。私からも礼を言わせてくれ。フィン、バレットの家族になってくれてありがとう」
フィンはおもはゆい気持ちになりながら答えた。
「ランハートさま。バレットは勇者レオリオの意志を継ぐ者です。僕はバレットの弟の名に恥じないようにしたいのです」
ランハートはうなずいて言った。
「フィン、君は立派だ。フティの街の領主の罪をあばいたのだから」
「いいえ、僕の力ではないんです。フティの街の人々が、自身の街を良くしようと行動を起こしたからなんです」
フィンはふところから、領主の裏帳簿を取り出した。ランハートに手渡すと、彼はペラペラと帳簿をめくって確認した。フゥと大きなため息を吐いて口を開いた。
「実になげかわしい。王都から離れたフティの街ではこのような暴挙が平然と行われていたのだな」
「ランハートさま。次にこの領地を治める領主さまはフティの街の人たちを幸せにしてくれるでしょうか?」
「まだどの者が新たな領主になるか決まっていない。だが、とりあえずとなりの領土を治める領主がここ一帯の領主を兼任する事になるだろう。安心しろフィン。となりの領主は人格者と名高い方なのだ」
ランハートの言葉に、フィンはようやく笑顔になれた。これからフティの街の人たちが幸せになれるかもしれないのだ。
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