211 / 298
夜襲
しおりを挟む
「起きろ!フィン」
ベノーの大声に、フィンはベッドから飛び起きた。フィンは目をこすりながらベノーに聞いた。
「屋敷が攻撃されているんですか?」
「ああ。今用心棒の連中が全員出ている。フィン、これを着ろ」
ベノーが鎧のような物を手渡した。フィンは手に持ってみて、異変に気づいて叫んだ。
「何だこれ。竹でできてる!」
フィンがベノーから手渡された鎧は、何と小さく切った竹を組み合わせて作った鎧だった。こんな装備だからホーンも弓矢を防げなかったのだろう。
ベノーはもたつくフィンに鎧を着せた。ベノーが厳しい表情でフィンの足元の白猫のブランを見て言った。
「フィン、ブランは危険だから置いていけ」
「大丈夫です。ブランはとっても強いんです!」
「大きくなって敵に襲いかかるのか?やめとけ、弓矢の的になるだけだ」
ベノーはブランの事も心配してくれているようだ。フィンは微笑んでベノーに言った。
「僕とブランは一心同体なんです」
ベノーはため息をついて、フィンとブランをうながした。
フィンとブランが屋敷の外に出てみると、状況が一変していた。屋敷の周りにはかがり火が焚かれていて、屋敷を照らしていた。用心棒たちが木の板を盾がわりにして、飛び込んでくるおびただしい数の弓矢を防いでいた。ベノーは叫んだ。
「もうすぐ敵が門を破って中に入って来る。入って来た奴らを剣で確実にしとめろ!」
「おう!」
用心棒たちは口々に呼応の声をあげた。フィンはゴクリとツバを飲んだ。これから戦いが始まる。もしかすると、誰かが命を落とすかもしれないのだ。ベノーはフィンにも木の板と、真剣を持たせて厳しい顔で言った。
「敵が来たらためらわずに斬れ。でないと死ぬぞ」
「・・・。はい。」
フィンは木の板で雨のように降ってくる弓矢を防いだ。ドンッドンッと弓矢が板に当たる衝撃を感じた。フィンは木の板を支えながらブランに言った。
「ブラン。弓矢を放っている敵を植物拘束魔法で捕まえられないかな?」
『敵の場所が遠すぎるだわよ。敵が侵入して来て目視できたら可能なのさ』
「わかった。それまで敵の弓矢に耐えなきゃね?」
そこでフィンの持っている木の板に異変が起きた。おびただしい数の弓矢を受け、木の板が真っ二つに割れてしまったのだ。フィンはしまったと思い胸元の魔法具のペンダントに触れて、防御魔法を発動させようとした。突然何かがフィンにおおいかぶさった。その何かに容赦なく弓矢が刺さる。
「ベノーさん!」
フィンを弓矢から守ったのはベノーだった。ベノーの背中には二本の矢が深々と刺さっていた。すぐに弓矢を引き抜いて、ブランの治癒魔法をほどこさなければ危険だ。フィンはブランに鉱物防御魔法で自分たちを守るよう指示した。
ベノーは息も絶え絶えな声でフィンに言った。
「フィン、俺の稼いだ金を、息子に。アレンに渡してくれ。それから、愛してるって伝えてくれ」
「ベノーさん!死んじゃダメだ!息子さんには自分で気持ちを伝えて!ベノーさん、ゆっくり息を吸って、ゆっくり息を吐いて、」
フィンの言葉に、ベノーはかんまんな動作でしたがった。ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと息を吐いた。その瞬間、フィンは二本の弓矢をむんずと掴み、引き抜いた。
「ブラン!」
『ええ。任せて!』
フィンのかけ声に、ブランが治癒魔法を発動させた。ベノーの身体が輝き出す。ベノーの背中の傷口はみるみるふさがった。
「ベノーさん。痛みはありませんか?」
フィンの言葉に、ベノーは不思議そうに身体を起こし、自分を弓矢から守ってくれている透明な鉱物を見て言った。
「フィン。これは一体どういう事なんだ?」
「ベノーさん、僕の事を助けてくれてありがとう。ブランは霊獣なんだ、色んな魔法が使えるんです」
フィンがベノーに説明をしていると、屋敷の門が破られ、悪漢たちがなだれ込んで来た。
ベノーの大声に、フィンはベッドから飛び起きた。フィンは目をこすりながらベノーに聞いた。
「屋敷が攻撃されているんですか?」
「ああ。今用心棒の連中が全員出ている。フィン、これを着ろ」
ベノーが鎧のような物を手渡した。フィンは手に持ってみて、異変に気づいて叫んだ。
「何だこれ。竹でできてる!」
フィンがベノーから手渡された鎧は、何と小さく切った竹を組み合わせて作った鎧だった。こんな装備だからホーンも弓矢を防げなかったのだろう。
ベノーはもたつくフィンに鎧を着せた。ベノーが厳しい表情でフィンの足元の白猫のブランを見て言った。
「フィン、ブランは危険だから置いていけ」
「大丈夫です。ブランはとっても強いんです!」
「大きくなって敵に襲いかかるのか?やめとけ、弓矢の的になるだけだ」
ベノーはブランの事も心配してくれているようだ。フィンは微笑んでベノーに言った。
「僕とブランは一心同体なんです」
ベノーはため息をついて、フィンとブランをうながした。
フィンとブランが屋敷の外に出てみると、状況が一変していた。屋敷の周りにはかがり火が焚かれていて、屋敷を照らしていた。用心棒たちが木の板を盾がわりにして、飛び込んでくるおびただしい数の弓矢を防いでいた。ベノーは叫んだ。
「もうすぐ敵が門を破って中に入って来る。入って来た奴らを剣で確実にしとめろ!」
「おう!」
用心棒たちは口々に呼応の声をあげた。フィンはゴクリとツバを飲んだ。これから戦いが始まる。もしかすると、誰かが命を落とすかもしれないのだ。ベノーはフィンにも木の板と、真剣を持たせて厳しい顔で言った。
「敵が来たらためらわずに斬れ。でないと死ぬぞ」
「・・・。はい。」
フィンは木の板で雨のように降ってくる弓矢を防いだ。ドンッドンッと弓矢が板に当たる衝撃を感じた。フィンは木の板を支えながらブランに言った。
「ブラン。弓矢を放っている敵を植物拘束魔法で捕まえられないかな?」
『敵の場所が遠すぎるだわよ。敵が侵入して来て目視できたら可能なのさ』
「わかった。それまで敵の弓矢に耐えなきゃね?」
そこでフィンの持っている木の板に異変が起きた。おびただしい数の弓矢を受け、木の板が真っ二つに割れてしまったのだ。フィンはしまったと思い胸元の魔法具のペンダントに触れて、防御魔法を発動させようとした。突然何かがフィンにおおいかぶさった。その何かに容赦なく弓矢が刺さる。
「ベノーさん!」
フィンを弓矢から守ったのはベノーだった。ベノーの背中には二本の矢が深々と刺さっていた。すぐに弓矢を引き抜いて、ブランの治癒魔法をほどこさなければ危険だ。フィンはブランに鉱物防御魔法で自分たちを守るよう指示した。
ベノーは息も絶え絶えな声でフィンに言った。
「フィン、俺の稼いだ金を、息子に。アレンに渡してくれ。それから、愛してるって伝えてくれ」
「ベノーさん!死んじゃダメだ!息子さんには自分で気持ちを伝えて!ベノーさん、ゆっくり息を吸って、ゆっくり息を吐いて、」
フィンの言葉に、ベノーはかんまんな動作でしたがった。ゆっくりと息を吸い、ゆっくりと息を吐いた。その瞬間、フィンは二本の弓矢をむんずと掴み、引き抜いた。
「ブラン!」
『ええ。任せて!』
フィンのかけ声に、ブランが治癒魔法を発動させた。ベノーの身体が輝き出す。ベノーの背中の傷口はみるみるふさがった。
「ベノーさん。痛みはありませんか?」
フィンの言葉に、ベノーは不思議そうに身体を起こし、自分を弓矢から守ってくれている透明な鉱物を見て言った。
「フィン。これは一体どういう事なんだ?」
「ベノーさん、僕の事を助けてくれてありがとう。ブランは霊獣なんだ、色んな魔法が使えるんです」
フィンがベノーに説明をしていると、屋敷の門が破られ、悪漢たちがなだれ込んで来た。
0
お気に入りに追加
769
あなたにおすすめの小説
底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜
ああああ
ファンタジー
召喚士学校の卒業式を歴代最低点で迎えたウィルは、卒業記念召喚の際にSSSランクの魔王を召喚してしまう。
同級生との差を一気に広げたウィルは、様々なパーティーから誘われる事になった。
そこでウィルが悩みに悩んだ結果――
自分の召喚したモンスターだけでパーティーを作ることにしました。
この物語は、底辺召喚士がSSSランクの従僕と冒険したりスローライフを送ったりするものです。
【一話1000文字ほどで読めるようにしています】
召喚する話には、タイトルに☆が入っています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる