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女魔法使い

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 バレットの次の対戦相手は女だった。女の年齢は、バレットより年上で、リタよも年下に見えた。そこでバレットはハッとした。リタにキツくいわれている事の一つに、女の年齢を詮索して言ってはいけない。というものがあった。

 バレットにはよくわからないが、女は年齢をいわれるのが嫌らしい。そのためバレットはリタの年齢を知らない。

 対戦相手の女は機嫌が悪いのか、しかめっ面だった。女が口を開いた。

「アンタも私が女なのに国家魔法使いになろうとしているのが気に食わないかい?」
「?。国家魔法使いになるのに男も女も関係ねぇだろ?」

 バレットの言葉に女は驚いた顔をした。そして、引き締まった顔になった。レフリーが試合開始を宣言した。

 試合開始と同時に、女は巨大な炎魔法を作り出し、バレットに放った。バレットは風防御魔法で炎魔法を防いだ。そして、すぐさま複数の風魔法を作り出し、女に放った。女はしっかりと防御魔法で防いだ。

 この女は魔法のセンスがいい。バレットはこの対戦が少し楽しくなった。バレットは植物土魔法を発動した。バレットの足元から巨大なツタが伸び出し、女を捕まえようとした。

 女は炎魔法を発動させて、バレットのツタを焼きはらった。どうやらこの女は火魔法が得意なようだ。ならば土魔法ではぶが悪い。バレットは水攻撃魔法を発生させ、女に放った。

 女は強力な炎魔法を発動させて水攻撃魔法を蒸発させてしまった。バレットはハハッと笑った。

 バレットは次に氷魔法を発動させた。バレットは沢山の氷の刃を発動させて、女の足元に突き刺した。女は炎魔法で氷の刃を焼ききろうとするが、バレットの放つ氷の刃が多すぎて、対処が追いつかなくなった。

 バレットは氷の刃を出現させ続け、ついに女を氷のオリに閉じ込める事に成功した。女はオリの中からバレットをにらみ叫んだ。

「おい!やっぱり私が女だから手加減したんだろう!私とちゃんと戦え!」
「手加減してねぇよ。俺はお前の火魔法を警戒して氷のオリに入れて、お前の魔法を無効化したんだ。それに、さっきから何だよ。女だから、女だからって。女である事に一番こだわってるのお前自身なんじゃねぇの?」
「!」

 女は驚いた顔になってから、悔しそうに顔をゆがめて下を向いてしまった。バレットは、一つため息をついてから言った。

「俺はなぁ、この実技試験で相手を無傷で負かすって決めてんだ」
「何故だ?」

 女は顔をあげてバレットを見て言った。女がバレットの話しを聞く気になったようなので、バレットは言葉を続けた。

「だってよぉ、実技試験は国家魔法使いにたりうる実力を見極めるためのものだろ?だったら殺し合いなんてする必要なんかないだろ?」
「・・・。それも、そうだな」
「それによぉ。俺が実技試験で戦った相手の中でお前が一番強かったぜ?」

 バレットの言葉に、女はびっくりして、顔が急に赤くなった。そんな女の表情が、バレットは少し可愛いと思った。

 女はふてくされたように小さな声で言った。

「私は、棄権する」

 レフリーはバレットの勝利を宣言した。
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