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バレットの魔法使い国家試験

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 面倒な事になってしまった。バレットは小さくため息をはいた。毎年レムーリア国では魔法使い国家試験が行われる。魔法使いたちは国家魔法使いになるためち必死に勉強をしている。

 だがバレットは国家魔法使いになんてなりたいとはちっとも思わなかった。何故ならバレットはとても強力な魔法を操る魔法使いだからだ。別に肩書きなんて必要なった。

 しかしアレックスとリタは、バレットに国家魔法使いの資格を取ってほしいようだ。確かにバレットが、新人冒険者の指導官になった時、新人の魔法使いは、バレットが国家魔法使いの資格を有していない事をバカにしていた。バレットはそんな事は気にしないで、新人魔法使いの鼻っぱしらをボキボキに折って、やり込めているから別にいい。

 バレットが魔法使いの国家試験を受けたくない最大の理由は、文字がよく書けない事が露見するのが嫌だったからだ。今回の国家試験も、タダをこねてうやむやにしようとしていたのに、何故か弟のフィンがやって来てしまった。

 兄として弟のフィンにはカッコ悪い姿は見せたくない。バレットは仕方なく国家魔法使いの国家試験を受ける事をしょうだくしてしまった。

 魔法使いの国家試験を受ける前にやっておかなければいけない事は、これまでにない新しい魔法を開発し、論文にする事だ。これはアレックスとリタが小型太陽の魔法がいいといっていた。

 この魔法は、アレックスとリタが魚の干物やドライフルーツを作りたいというから考えた魔法だ。これを文書におこすのが難しい。バレットは魔法を感覚的に使っている。魔法論文は、この論文を読んだ魔法使いが再現できるかが重要なのだ。

 バレットが誤字脱字だらけの論文を書くと、リタとアレックスが添削をしてくれる。しかしリタとアレックスは魔法使いではないので、何とも感覚が伝えづらい。苦心さんたんの末、論文が完成した。

 フィンはバレットに文字を教えてくれるという。バレットはフィンががんばっている姿が可愛くてお願いしたが、どうやらフィンも文字を書く事が苦手らしい。フィンの文字を見たリタとアレックスは、バレットと一緒に勉強しなさいといって、バレットとフィンは文字の勉強をする事になった。

 バレットは文字の勉強が嫌でたまらなかったが、フィンは嬉しそうにやっていた。兄のバレットができないのはカッコ悪いと思い、バレットも必死になって勉強をした。


 そしてついに魔法使いの国家試験を受ける日がやってきた。新しい魔法の論文は先に提出してある。今日は筆記試験と実技試験の日なのだ。

 魔法使いの国家試験はレムーリア城の中で行われる。バレットは城内の筆記試験会場に向かった。会場には百人近い受験生がいた。バレットは自分の受験番号が貼り付けてある席に座り、筆記試験開始を待った。

 試験内容は、魔法についての概念、理念、理論だった。これは養父ゾラと勇者レオリオから口伝えで聞いていたので答える事ができた。

 次に火、水、土、風のエレメントについてだった。これも魔法使いでもあるレオリオとシンシアが教えてくれた。

 筆記試験は何とか終える事ができた。文字があっているかどうかは別として。次は実技試験だった。バレットはようやくホッと息をついた。実技試験なら楽勝だと思ったからだ。

 
 

 
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