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バレット登場
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フィンは自分の足元にいてくれるはずの霊獣ブランに小さく声をかけた。
「ブラン。バレットと連絡取れる?」
姿隠しで姿を消したブランの声がした。
『ええ。バレットに連絡しただわよ。フィンがピンチだから早く来てって』
「やめてよブラン!」
フィンはブランが姿を消しているのにもかかわらず、大声をあげてしまった。目の前のユリスが驚いた顔をしていた。
これはまずい事になった。バレットは優秀な魔法戦士だが、細かい事をあまり気にしない性格だ。この場にバレットがやってきて、さらにややこしい事になってしまうのではないだろうか。
そうこうしているうちに、部屋の外が騒がしくなった。直後、ドアをバンッと開く音が聞こえた。
「フィン!無事か?!」
「バレット!もう来ちゃったの?!」
バレットはフィンの無事を確認して安心したのか、きびしい顔をやわらげて言った。
「ああ。依頼の途中だったが、ブランからの連絡を聞いて、パンターに乗って来た」
笑顔だったバレットは、フィンの格好を見て困った顔になって言った。
「おい、フィン。お前ヒラヒラのドレスは嫌だっていってたじゃないか?何でドレス着てんだ?フィンがドレスを気に入ったならいいけどさぁ」
やはりバレットはこの場の現状をまったく理解していないようだ。フィンはどうしたらバレットにこの現状を伝え、フィンの婚約者だといってユリスを納得させてくれるか考えていると、ユリスが怖い顔で言った。
「君がフィンの婚約者なのかい?」
「コンヤクシャ?何言ってんだ、フィンは俺の、」
バレットが、フィンは自分の弟だと言う前に、フィンはバレットの足を思いっきり踏んだ。
「イッテェ!何すんだよ、フィン!」
「バレット!訳は後で話すからとにかく黙って!」
「はぁ?言ってる意味がわかんねぇよ」
フィンとバレットのやりとりを聞いていたユリスはきびしい顔で言った。
「やはり君はフィンにはふさわしくない。このペンダントだって、フィンに似合わない」
バレットはユリスが持っているペンダントを見て笑って言った。
「何だペンダント見つかったのか。良かったなぁ、フィン。お前ペンダントなくして落ち込んでたんだろう?」
フィンは冷や汗をかきながらうなずいた。ユリスが低い声でバレットに言った。
「バレット、君はこのペンダントをフィンの前に別な女性に贈ったらしいじゃないか」
「ああ。リタにやったら、気持ち悪いからいらないって。だからフィンにやったんだ」
「バレット、君はなんてデリカシーのない男なんだ。別な女性が受け取ってくれなかったからといって、それをフィンに贈るなんて。僕は君を認めることはできない。僕は君に決闘を申し込む」
「はぁ?お前みたいな弱っちぃ奴に俺がやられるわけないだろ?」
「見たところ君は戦士のようだ。魔法は使えるかい?」
「ああ。俺にかなう魔法使いなんて、そうそういねぇぜ」
「ならば僕と魔法で勝負しろ。フィンをかけて」
「何でそこにフィンが出てくるんだ?まぁいいや、売られたケンカは買ってやる」
ユリスとバレットの会話を、フィンは青ざめながら聞いていた。ユリスはフィンに向き直り、微笑んで言った。
「フィン。少しだけ離れていてくれないか?これから僕とバレットは魔法で決闘をする。もし僕が勝てば、さっきの話し真剣に考えてくれないか?」
「ダメだよ、ユリス。バレットはすごく強いんだ」
「大丈夫だよ。フィン」
ユリスはそう言うと、バレットをうながして大きな部屋の中央に歩いて行った。ユリスは小さく呪文を唱えると、ユリスとバレットを包む大きな防御ドームを作った。この中でユリスとバレットの魔法戦が始まってしまうのだ。
「ブラン。バレットと連絡取れる?」
姿隠しで姿を消したブランの声がした。
『ええ。バレットに連絡しただわよ。フィンがピンチだから早く来てって』
「やめてよブラン!」
フィンはブランが姿を消しているのにもかかわらず、大声をあげてしまった。目の前のユリスが驚いた顔をしていた。
これはまずい事になった。バレットは優秀な魔法戦士だが、細かい事をあまり気にしない性格だ。この場にバレットがやってきて、さらにややこしい事になってしまうのではないだろうか。
そうこうしているうちに、部屋の外が騒がしくなった。直後、ドアをバンッと開く音が聞こえた。
「フィン!無事か?!」
「バレット!もう来ちゃったの?!」
バレットはフィンの無事を確認して安心したのか、きびしい顔をやわらげて言った。
「ああ。依頼の途中だったが、ブランからの連絡を聞いて、パンターに乗って来た」
笑顔だったバレットは、フィンの格好を見て困った顔になって言った。
「おい、フィン。お前ヒラヒラのドレスは嫌だっていってたじゃないか?何でドレス着てんだ?フィンがドレスを気に入ったならいいけどさぁ」
やはりバレットはこの場の現状をまったく理解していないようだ。フィンはどうしたらバレットにこの現状を伝え、フィンの婚約者だといってユリスを納得させてくれるか考えていると、ユリスが怖い顔で言った。
「君がフィンの婚約者なのかい?」
「コンヤクシャ?何言ってんだ、フィンは俺の、」
バレットが、フィンは自分の弟だと言う前に、フィンはバレットの足を思いっきり踏んだ。
「イッテェ!何すんだよ、フィン!」
「バレット!訳は後で話すからとにかく黙って!」
「はぁ?言ってる意味がわかんねぇよ」
フィンとバレットのやりとりを聞いていたユリスはきびしい顔で言った。
「やはり君はフィンにはふさわしくない。このペンダントだって、フィンに似合わない」
バレットはユリスが持っているペンダントを見て笑って言った。
「何だペンダント見つかったのか。良かったなぁ、フィン。お前ペンダントなくして落ち込んでたんだろう?」
フィンは冷や汗をかきながらうなずいた。ユリスが低い声でバレットに言った。
「バレット、君はこのペンダントをフィンの前に別な女性に贈ったらしいじゃないか」
「ああ。リタにやったら、気持ち悪いからいらないって。だからフィンにやったんだ」
「バレット、君はなんてデリカシーのない男なんだ。別な女性が受け取ってくれなかったからといって、それをフィンに贈るなんて。僕は君を認めることはできない。僕は君に決闘を申し込む」
「はぁ?お前みたいな弱っちぃ奴に俺がやられるわけないだろ?」
「見たところ君は戦士のようだ。魔法は使えるかい?」
「ああ。俺にかなう魔法使いなんて、そうそういねぇぜ」
「ならば僕と魔法で勝負しろ。フィンをかけて」
「何でそこにフィンが出てくるんだ?まぁいいや、売られたケンカは買ってやる」
ユリスとバレットの会話を、フィンは青ざめながら聞いていた。ユリスはフィンに向き直り、微笑んで言った。
「フィン。少しだけ離れていてくれないか?これから僕とバレットは魔法で決闘をする。もし僕が勝てば、さっきの話し真剣に考えてくれないか?」
「ダメだよ、ユリス。バレットはすごく強いんだ」
「大丈夫だよ。フィン」
ユリスはそう言うと、バレットをうながして大きな部屋の中央に歩いて行った。ユリスは小さく呪文を唱えると、ユリスとバレットを包む大きな防御ドームを作った。この中でユリスとバレットの魔法戦が始まってしまうのだ。
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