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新たな依頼

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 フィンはエミリヤに魔法具のペダントを届けると、王都にとって返した。そこには心配顔のリリーとフレイヤが待っていた。本当はリリーたちもエミリヤに会いたいといっていたのだが、何より少しでも早くエミリヤとチップに会って魔法具のペダントを手渡し、グッチの襲撃に備えてほしかったのだ。そのためエミリヤの元に行くのはフィンとブランだけにした。

 「フィン、エミリヤ先生は?」

 リリーは開口一番こう聞いた。フィンはリリーを安心させるように微笑んで答えた。

「大丈夫だよリリー。エミリヤ先生とチップは元気だったよ?」

 フィンの言葉に、リリーはホッと息をついた。どうやら相当心配していたらしい。フィンたちは出来るだけの事はやった。後はきっとエミリヤとチップがグッチの事を対処してくれるだろう。

 フィンたちは落ち合ったその足で冒険者協会におもむいた。もしまたグッチがリリーの所にやってくるかもしれないので、フィンたちと行動を共にする事にしたのだ。もっともグッチはフィンの事を殺してやりたいほど恨んでいるようなのだ。フィンは何故グッチにそこまで恨まれるのかよくわからなかった。

 リリーはフィンに新たな依頼を提案した。その依頼はある召喚士養成学校の依頼だった。精霊や霊獣と契約した新人召喚士が、霊獣ハンターに狙われたのだ。フィンは事の事態を重く受け止め、依頼を受ける事を承諾した。

 フィンはリリーたちと共にブレインの街の召喚士養成学校に向かった。みちすがらリリーがブレインの街の召喚士養成学校の説明をしてくれた。

「ブレインの街の召喚士養成学校の合格率はとても高いの。だけど学校に入学する時には、現役の召喚士との面接が不可欠なの。召喚士の面接に合格すれば、召喚士になれる率が高くなるから」

 リリーの説明にフィンは感心して言った。

「リリーは詳しいんだね?」

 フィンの言葉にリリーは顔を赤らめて答えた。

「私は色々な召喚士養成学校を調べたの。私は絶対に召喚士になりたかったわけじゃなかったから結局パパのすすめで近くの学校にしたわ」

 リリーは自ちょう気味に笑ってからフレイヤの手をギュッと握った。リリーは召喚士養成学校に入学してから変わったのだ。どうしても召喚士になりたいと願って、そして火の精霊フレイヤと出会った。

 リリーは召喚士養成学校の話をしてくれた。民営の召喚士養成学校は学費がものすごく高い。そのため召喚士になる資質の無い学生でも入学させてしまう事がほとんどらしい。だからフィンの入学した学校の召喚士になれる率は、五十パーセントと低いのだ。だがブレインの街の召喚士養成学校は他の召喚士養成学校とは違い、この生徒なら確実に召喚士になれるという子供を選別して入学させる。そして学費も破格の安さだというのだ。

 何故ブレインの街の召喚士養成学校がこのやり方で経営していけるかというと、学校を卒業し召喚士になった元生徒が冒険者になり、そして得た報酬から学校にお金を支払うのだ。つまり出世払い制度なのだ。このシステムはよく機能していて、ブレインの街の召喚士養成学校は二百年以上も続く召喚士養成学校の名門なのだ。

 だが最近この学校の周辺で事件が多発している。卒業したての召喚士と契約霊獣が狙われるのだ。霊獣ハンターに捕まり、召喚士の命を盾にとられ契約霊獣は泣く泣く霊獣ハンターに捕らわれてしまうのだ。

 この事件を聞いてフィンはものすごく腹が立った。召喚士と霊獣のきずなはものすごく強固なのだ。そのきずなにつけ込むなんて許す事が出来ない。フィンは肩に乗っている霊獣ブランと顔を見合わせた。ブランも強い瞳でフィンを見返してくれた。フィンとブランの気持ちは同じなのだ。必ず霊獣ハンターに捕らわれた霊獣たちを救出し、召喚士にの元に帰すのだ。
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