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フィンとバレット
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フィンはブランを抱っこしてパンターの背中に乗っていた。パンターは上空をものすごい速さで飛んで行く。パンターはフィンを振り返って言った。
『バレットはフィンにとても会いたがっているぞ!』
「パンター、本当?!」
パンターの言葉にフィンは驚いて言った。バレットは魔法戦士で、新人冒険者であるフィンの指導官だった。バレットは冒険者なりたてのフィンにとてもよくしてくれた。フィンはバレットに憧れていた。バレットのような強い冒険者になりたかった。そんなバレットがフィンに会いたいと思ってくれるなんて嬉しかった。
フィンたちは城下町にやって来た。黒ヒョウのパンターは自身の契約者であるバレットの居場所がわかるようだ。城下町にある冒険者協会の近くまで行くと、バレットが立っていた。フィンは嬉しくなってパンターが地面に着地するのも待たないで、パンターの背中から飛び降りた。フィンに気づいたバレットは微笑んで手を振ってくれた。フィンはバレットに抱きついた。バレットはぎこちなくフィンの頭を撫でてくれた、とても大きな手だった。フィンは嬉しくてバレットの顔を見上げると、バレットの顔が真っ赤だった。フィンは不思議そうにバレットを見た。バレットはきまり悪そうにフィンに言った。
「おい、フィン。剣の修行は毎日やってるのか?」
「うん!ちゃんとやってるよ」
バレットの側に着地したパンターがニヤニヤ顔で言った。
『バレット、俺に感謝しろよ?フィンに会いたがっていたから連れて来てやったぞ』
パンターの言葉に、バレットはますます顔を赤くしながら叫んだ。
「ば、ばか言ってんじゃねえよ!あ、会いたかったわけねぇだろ!」
バレットの言葉にフィンはビクリと身体を固くした。何を喜んでいたのだろう。バレットは沢山の新人冒険者を世話しているのだ。そんな新人冒険者の一人でしかないフィンに会いたがってくれる訳がない。フィンは悲しげな声でバレットに言った。
「ごめんなさいバレット。バレットが僕なんかに会いたいわけないよね?」
「ち、違う!その、あれだ!定期的に会いたいんだ。フィン、お前の剣の成長を見るためにな!」
「本当?!バレットと定期的に会えるの?嬉しい!」
フィンは安心してまたバレットに抱きついた。今度はバレットもフィンの事を抱きしめてくれた。フィンが辺りを見回すと、フィンたちを囲むように人だかりができていた。フィンとバレットが騒いでいたからだろう。その人がきの中から、鎧を身につけた長身の男がバレットに声をかけた。
「何を騒いでいるんだバレット。珍しいなお前が誰かとつるむなんて」
バレットはフィンから離れると鎧の男に向き直って言った。
「何だアレックスか」
「何だとは何だ!人手がいるからって自分で呼び出したくせに!てゆうかその小僧は誰なんだ?」
バレットはフィンの背中に手をそえて、鎧の男アレックスに紹介した。
「ああ、こいつはフィン。俺の弟だ、何かあったら気にかけてやってくれないか」
「へぇ、お前に弟なんていたんだな」
「そう。父親が違って、母親も違うんだ」
「へぇ、そうか。ん、それって他人って言わないか?!」
バレットとアレックスの会話はフィンの耳には入らなかった。何故なら、先ほどバレットの言った言葉に衝撃を受けたからだ。フィンは震える声でバレットに聞いた。
「ね、ねぇバレット。僕バレットの弟なの?!」
フィンの言葉に、バレットは焦った顔になって答えた。
「ち、違う!これは言葉のアヤだ。アレックスはいい奴だから、フィンが困った時の助けになればと思ったんだ!それに俺とお前は血のつながりが無いから兄弟なんかじゃないだろ?!」
フィンはまたもや落ち込んでしまった、孤児のフィンは血を分けた肉親がいない。フィンは悲しくなって言った。
「そうだよね。僕は孤児だから肉親なんていないんだ」
フィンの言葉に、バレットは苦いものを噛んだような渋い顔をして黙ってしまった。するとフィンとバレットの間にアレックスが割って入って言った。
「おいお前ら、あながちそうとは言えないぜ。夫婦なんて元々他人同士が家族になるんだぞ?だからバレットとフィンが兄弟になるというなら、それはお前たちの絆じゃないのか?」
アレックスは戸惑っているバレットとフィンを見てから言葉を続けた。
「よし、それなら俺もお前らの兄弟になってやる!俺が一番年上だから、お前ら俺の言うこと聞けよ?」
「はぁ?!アレックスは兄って言うよりオッサンじゃん」
「何だとクソガキ!俺はまだオッサンじゃない!」
フィンはまたもやバレットとアレックスの言い争いを聞いていなかった。胸がドキドキして、自分の心音がうるさかったからだ。フィンはゴクリとツバを飲み込んで、叫ぶようにバレットに言った。
「ねぇ、バレット!僕は、バレットの弟になっていいの?!」
バレットは視線をアレックスからフィンに移して、眉間にしわを寄せながら答えた。
「し、仕方ねぇな。フィン、お前を俺の弟にしてやるよ」
フィンは嬉しくなってバレットに言った。
「バレット、バレット。兄は弟の手をつなぐんだよ?」
バレットはため息をついてからフィンに左手を差し出した。フィンは喜んでその手をつかんだ。とても温かく大きな手だった。フィンの足元に白猫のブランがすり寄ってきた。フィンが後ろを振り向くと黒ヒョウのパンターはすでにいなくなっていた。フィンはブランを抱き上げてバレットと歩き出した。
『バレットはフィンにとても会いたがっているぞ!』
「パンター、本当?!」
パンターの言葉にフィンは驚いて言った。バレットは魔法戦士で、新人冒険者であるフィンの指導官だった。バレットは冒険者なりたてのフィンにとてもよくしてくれた。フィンはバレットに憧れていた。バレットのような強い冒険者になりたかった。そんなバレットがフィンに会いたいと思ってくれるなんて嬉しかった。
フィンたちは城下町にやって来た。黒ヒョウのパンターは自身の契約者であるバレットの居場所がわかるようだ。城下町にある冒険者協会の近くまで行くと、バレットが立っていた。フィンは嬉しくなってパンターが地面に着地するのも待たないで、パンターの背中から飛び降りた。フィンに気づいたバレットは微笑んで手を振ってくれた。フィンはバレットに抱きついた。バレットはぎこちなくフィンの頭を撫でてくれた、とても大きな手だった。フィンは嬉しくてバレットの顔を見上げると、バレットの顔が真っ赤だった。フィンは不思議そうにバレットを見た。バレットはきまり悪そうにフィンに言った。
「おい、フィン。剣の修行は毎日やってるのか?」
「うん!ちゃんとやってるよ」
バレットの側に着地したパンターがニヤニヤ顔で言った。
『バレット、俺に感謝しろよ?フィンに会いたがっていたから連れて来てやったぞ』
パンターの言葉に、バレットはますます顔を赤くしながら叫んだ。
「ば、ばか言ってんじゃねえよ!あ、会いたかったわけねぇだろ!」
バレットの言葉にフィンはビクリと身体を固くした。何を喜んでいたのだろう。バレットは沢山の新人冒険者を世話しているのだ。そんな新人冒険者の一人でしかないフィンに会いたがってくれる訳がない。フィンは悲しげな声でバレットに言った。
「ごめんなさいバレット。バレットが僕なんかに会いたいわけないよね?」
「ち、違う!その、あれだ!定期的に会いたいんだ。フィン、お前の剣の成長を見るためにな!」
「本当?!バレットと定期的に会えるの?嬉しい!」
フィンは安心してまたバレットに抱きついた。今度はバレットもフィンの事を抱きしめてくれた。フィンが辺りを見回すと、フィンたちを囲むように人だかりができていた。フィンとバレットが騒いでいたからだろう。その人がきの中から、鎧を身につけた長身の男がバレットに声をかけた。
「何を騒いでいるんだバレット。珍しいなお前が誰かとつるむなんて」
バレットはフィンから離れると鎧の男に向き直って言った。
「何だアレックスか」
「何だとは何だ!人手がいるからって自分で呼び出したくせに!てゆうかその小僧は誰なんだ?」
バレットはフィンの背中に手をそえて、鎧の男アレックスに紹介した。
「ああ、こいつはフィン。俺の弟だ、何かあったら気にかけてやってくれないか」
「へぇ、お前に弟なんていたんだな」
「そう。父親が違って、母親も違うんだ」
「へぇ、そうか。ん、それって他人って言わないか?!」
バレットとアレックスの会話はフィンの耳には入らなかった。何故なら、先ほどバレットの言った言葉に衝撃を受けたからだ。フィンは震える声でバレットに聞いた。
「ね、ねぇバレット。僕バレットの弟なの?!」
フィンの言葉に、バレットは焦った顔になって答えた。
「ち、違う!これは言葉のアヤだ。アレックスはいい奴だから、フィンが困った時の助けになればと思ったんだ!それに俺とお前は血のつながりが無いから兄弟なんかじゃないだろ?!」
フィンはまたもや落ち込んでしまった、孤児のフィンは血を分けた肉親がいない。フィンは悲しくなって言った。
「そうだよね。僕は孤児だから肉親なんていないんだ」
フィンの言葉に、バレットは苦いものを噛んだような渋い顔をして黙ってしまった。するとフィンとバレットの間にアレックスが割って入って言った。
「おいお前ら、あながちそうとは言えないぜ。夫婦なんて元々他人同士が家族になるんだぞ?だからバレットとフィンが兄弟になるというなら、それはお前たちの絆じゃないのか?」
アレックスは戸惑っているバレットとフィンを見てから言葉を続けた。
「よし、それなら俺もお前らの兄弟になってやる!俺が一番年上だから、お前ら俺の言うこと聞けよ?」
「はぁ?!アレックスは兄って言うよりオッサンじゃん」
「何だとクソガキ!俺はまだオッサンじゃない!」
フィンはまたもやバレットとアレックスの言い争いを聞いていなかった。胸がドキドキして、自分の心音がうるさかったからだ。フィンはゴクリとツバを飲み込んで、叫ぶようにバレットに言った。
「ねぇ、バレット!僕は、バレットの弟になっていいの?!」
バレットは視線をアレックスからフィンに移して、眉間にしわを寄せながら答えた。
「し、仕方ねぇな。フィン、お前を俺の弟にしてやるよ」
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「バレット、バレット。兄は弟の手をつなぐんだよ?」
バレットはため息をついてからフィンに左手を差し出した。フィンは喜んでその手をつかんだ。とても温かく大きな手だった。フィンの足元に白猫のブランがすり寄ってきた。フィンが後ろを振り向くと黒ヒョウのパンターはすでにいなくなっていた。フィンはブランを抱き上げてバレットと歩き出した。
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