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フィンはブランに大きくなってもらい、捕まえた三人の盗賊を乗せる荷車を土魔法で作ってもらった。荷車をブランに引いてもらい村に帰った。
村の村長はフィンが魔物の退治に成功したと言うと、フィンの手を握って涙を流さんばかりに喜んでいた。そして村でかき集めた報酬を手渡してくれた。少なくて申し訳ないと言う村長に、フィンは首を振って否定した。バレットはこの依頼の報酬は全てフィンにと言ってくれていた。フィンは冒険者になって初めて報酬を得たのだ。フィンとブランは村長に別れを告げ、村を後にした。
捕らえた三人の盗賊は、城下町にある騎士団の元に連れて行く事にした。大きくなったブランに乗れば、城下町へは一日で到着するが、三人の盗賊を乗せた荷車をブランが引いていては三日はかかってしまう。盗賊たちは基本的にブランの鉱物防御魔法の中に閉じ込めている。そして食事や手洗いに行く際は、ツタ植物魔法で胴体を拘束した。
盗賊たちは口々にフィンに猫なで声で話しかけた。
「なぁ坊主、俺たちを解放してくれよ。なっ、もう心を入れ替えたからさぁ」
盗賊の言葉にフィンは厳しい顔で言い返す。
「僕たちにどんな事を言ってもムダだよ。おじさんたちを自由にしたら、僕を殺してブランを奪って売るつもりでしょ?おじさんたちはこれから裁判にかけられて自分たちの罪をつぐなわなきゃいけないんだ」
盗賊の一人が涙ながらに言った。
「俺たち盗賊はすぐに縛り首だ」
「なら僕が騎士団長に進言してあげるよ。おじさんたちは魔物の手下になっていただけだって。これからは心を入れ替えますって」
フィンの頑な態度に三人の盗賊たちはおとなしくなった。フィンは焚き火をし、毛布を身体に巻きつけて横になった。すかさずブランがフィンの側で丸くなった。フィンはブランに言った。
「ねぇブラン。僕たち魔物からおじさんたちを救出したね」
『ええ、そうだわね。フィンの指示は的確だったわ』
「ブラン、僕たち最強のコンビだよね」
『ええ、そうだわよ。アタシたちはどんな困難でもはねのけられるわ。さぁフィン、今日は疲れたでしょ?アタシが守ってあげるからもう寝なさい』
フィンはうなずいて目を閉じた。その後すぐに眠りが訪れた。フィンとブランは三日かけてドロアの城下町に戻った。三人の盗賊は騎士団に身柄を拘束された。
フィンはブランと新たな依頼を探すため、冒険者協会に足を向けようとした。突然、フィンを呼ぶ声が聞こえた。フィンが振り向くと、そこには同級生のリリーがいた。フィンは嬉しくなって彼女に駆け寄った。
「リリー!どうしてここにいるの?卒業後は家に戻らななきゃいけないって言ってたでしょ?」
リリーははにかんだ笑顔で答えた。
「あのね、パパに頼んで冒険者になったの」
フィンはリリーの手を取って喜んで言った。
「良かったねリリー!冒険者になるのは君の夢だったものね!」
フィンがリリーの顔を見ると、彼女は顔を真っ赤にしていた。そこでフィンはしまったと思った。いくら嬉しかったからと言って、女の子の手を急に握ったら嫌がられるだろう。フィンは申し訳なさそうに、ゆっくりとリリーの手を離した。その時リリーは何故か寂しそうな顔をした。フィンは不思議に思って首をかしげていると、リリーはいつものハツラツとした笑顔になって言った。
「ねぇフィン、私これから初めての冒険者の依頼を受けようと思うんだけど一緒にやってくれない?」
「僕でよければ。だけどリリー、新米冒険者は指導官がついて手ほどきしてくれるはずだろ?僕でいいの?」
フィンの疑問にリリーは口ごもった。すると突然リリーのとなりに、美しい女性が現れた。その女性は燃えるような赤い髪をしていた。彼女はリリーの契約精霊フレイヤだ。フレイヤはフィンたちへのあいさつもそこそこに、せっついて話し出した。
『それなのよフィン!リリーは召喚士の指導官についてもらったんだけど、その召喚士の男がいやらしい奴でリリーに手を出そうとしたのよ!だから私がギッタギタにしてあげたから指導官がいなくなっちゃったのよ!』
「・・・」
フィンは二の句がつけなくなった。そして召喚士の指導官の無事を願った。フィンはリリーの言う共同で依頼を受ける事に同意して、相棒のブランに確認しようとした。だがブランはツンとそっぽを向いて機嫌が悪そうだった。フィンはブランに声をかけた。
「ねぇブラン、どうしたの?」
『・・・、アタシは反対だわよ。フィンだって新米冒険者で、リリーもだわ。前回の依頼はバレットがいたから何とか完了できたのよ?不測の事態になったら危険よ』
フィンは黙ってしまった。ブランの言うことももっともだと思った。すると火の精霊フレイヤが口をはさんだ。
『あら、それなら私がいるから大丈夫よ。私は何百年も生きている精霊だもの、あなたたちを守ってあげられるわ』
フレイヤの言葉にブランはシブい顔をした。そして、その場でクルンと一回転した。すると美しい白猫のブランは、可愛らしい美少女に変身した。リリーは人間に変身したブランを見たのが初めてなので、とてもビックリした顔をした。ブランは怖い顔をしてリリーに向き直った。
「わかったわリリー。共同で依頼を受けるのを許可してあげる。でもいい事?フィンに変なチョッカイ出したらアタシが許さないからね?」
ブランの言葉を聞いたリリーは顔を真っ赤にして怒って言った。
「そ、そんな事しないわよ!何よブラン、人間に変身したからってあなたは霊獣でしょ?!あなたこそ変な事考えてるんじゃないでしょうね?」
「何ですって?!アタシはフィンの契約霊獣なの!フィンとアタシは深い絆と愛情で結ばれてるの!」
フィンは突然起こったブランとリリーの言い争いに目を白黒させて驚いた。そして何とか二人を止めようとするが、二人に口出しするなとどなられてしまった。横を見ると訳知り顔のフレイヤがニヤニヤ笑ってフィンに言った。
『モテる男はツライわねぇ?』
フィンはフレイヤの言葉の意味がわからず、困った顔でフレイヤに言った。
「ねぇフレイヤ、二人のケンカを止めて?何で二人とも急にケンカし出すの?」
するとフレイヤはおかしなモノを見るような目でフィンを見て言った。
『えっ、フィン。あんた本当にリリーとブランが何でケンカしているのかわからないの?!』
フレイヤの剣幕にフィンはタジタジになりながら答えた。
「うん、何でかわからないよ。僕はブランもリリーも大好きだから仲良くして欲しいのに」
フィンの言葉に何故かフレイヤは愕然としたようだ。フレイヤはうめくように小声で何か言ったが、小さな声なのでフィンには聞きとれなかった。
『とんでもない鈍感小僧だわ。リリーも変な奴に惚れたわねぇ』
村の村長はフィンが魔物の退治に成功したと言うと、フィンの手を握って涙を流さんばかりに喜んでいた。そして村でかき集めた報酬を手渡してくれた。少なくて申し訳ないと言う村長に、フィンは首を振って否定した。バレットはこの依頼の報酬は全てフィンにと言ってくれていた。フィンは冒険者になって初めて報酬を得たのだ。フィンとブランは村長に別れを告げ、村を後にした。
捕らえた三人の盗賊は、城下町にある騎士団の元に連れて行く事にした。大きくなったブランに乗れば、城下町へは一日で到着するが、三人の盗賊を乗せた荷車をブランが引いていては三日はかかってしまう。盗賊たちは基本的にブランの鉱物防御魔法の中に閉じ込めている。そして食事や手洗いに行く際は、ツタ植物魔法で胴体を拘束した。
盗賊たちは口々にフィンに猫なで声で話しかけた。
「なぁ坊主、俺たちを解放してくれよ。なっ、もう心を入れ替えたからさぁ」
盗賊の言葉にフィンは厳しい顔で言い返す。
「僕たちにどんな事を言ってもムダだよ。おじさんたちを自由にしたら、僕を殺してブランを奪って売るつもりでしょ?おじさんたちはこれから裁判にかけられて自分たちの罪をつぐなわなきゃいけないんだ」
盗賊の一人が涙ながらに言った。
「俺たち盗賊はすぐに縛り首だ」
「なら僕が騎士団長に進言してあげるよ。おじさんたちは魔物の手下になっていただけだって。これからは心を入れ替えますって」
フィンの頑な態度に三人の盗賊たちはおとなしくなった。フィンは焚き火をし、毛布を身体に巻きつけて横になった。すかさずブランがフィンの側で丸くなった。フィンはブランに言った。
「ねぇブラン。僕たち魔物からおじさんたちを救出したね」
『ええ、そうだわね。フィンの指示は的確だったわ』
「ブラン、僕たち最強のコンビだよね」
『ええ、そうだわよ。アタシたちはどんな困難でもはねのけられるわ。さぁフィン、今日は疲れたでしょ?アタシが守ってあげるからもう寝なさい』
フィンはうなずいて目を閉じた。その後すぐに眠りが訪れた。フィンとブランは三日かけてドロアの城下町に戻った。三人の盗賊は騎士団に身柄を拘束された。
フィンはブランと新たな依頼を探すため、冒険者協会に足を向けようとした。突然、フィンを呼ぶ声が聞こえた。フィンが振り向くと、そこには同級生のリリーがいた。フィンは嬉しくなって彼女に駆け寄った。
「リリー!どうしてここにいるの?卒業後は家に戻らななきゃいけないって言ってたでしょ?」
リリーははにかんだ笑顔で答えた。
「あのね、パパに頼んで冒険者になったの」
フィンはリリーの手を取って喜んで言った。
「良かったねリリー!冒険者になるのは君の夢だったものね!」
フィンがリリーの顔を見ると、彼女は顔を真っ赤にしていた。そこでフィンはしまったと思った。いくら嬉しかったからと言って、女の子の手を急に握ったら嫌がられるだろう。フィンは申し訳なさそうに、ゆっくりとリリーの手を離した。その時リリーは何故か寂しそうな顔をした。フィンは不思議に思って首をかしげていると、リリーはいつものハツラツとした笑顔になって言った。
「ねぇフィン、私これから初めての冒険者の依頼を受けようと思うんだけど一緒にやってくれない?」
「僕でよければ。だけどリリー、新米冒険者は指導官がついて手ほどきしてくれるはずだろ?僕でいいの?」
フィンの疑問にリリーは口ごもった。すると突然リリーのとなりに、美しい女性が現れた。その女性は燃えるような赤い髪をしていた。彼女はリリーの契約精霊フレイヤだ。フレイヤはフィンたちへのあいさつもそこそこに、せっついて話し出した。
『それなのよフィン!リリーは召喚士の指導官についてもらったんだけど、その召喚士の男がいやらしい奴でリリーに手を出そうとしたのよ!だから私がギッタギタにしてあげたから指導官がいなくなっちゃったのよ!』
「・・・」
フィンは二の句がつけなくなった。そして召喚士の指導官の無事を願った。フィンはリリーの言う共同で依頼を受ける事に同意して、相棒のブランに確認しようとした。だがブランはツンとそっぽを向いて機嫌が悪そうだった。フィンはブランに声をかけた。
「ねぇブラン、どうしたの?」
『・・・、アタシは反対だわよ。フィンだって新米冒険者で、リリーもだわ。前回の依頼はバレットがいたから何とか完了できたのよ?不測の事態になったら危険よ』
フィンは黙ってしまった。ブランの言うことももっともだと思った。すると火の精霊フレイヤが口をはさんだ。
『あら、それなら私がいるから大丈夫よ。私は何百年も生きている精霊だもの、あなたたちを守ってあげられるわ』
フレイヤの言葉にブランはシブい顔をした。そして、その場でクルンと一回転した。すると美しい白猫のブランは、可愛らしい美少女に変身した。リリーは人間に変身したブランを見たのが初めてなので、とてもビックリした顔をした。ブランは怖い顔をしてリリーに向き直った。
「わかったわリリー。共同で依頼を受けるのを許可してあげる。でもいい事?フィンに変なチョッカイ出したらアタシが許さないからね?」
ブランの言葉を聞いたリリーは顔を真っ赤にして怒って言った。
「そ、そんな事しないわよ!何よブラン、人間に変身したからってあなたは霊獣でしょ?!あなたこそ変な事考えてるんじゃないでしょうね?」
「何ですって?!アタシはフィンの契約霊獣なの!フィンとアタシは深い絆と愛情で結ばれてるの!」
フィンは突然起こったブランとリリーの言い争いに目を白黒させて驚いた。そして何とか二人を止めようとするが、二人に口出しするなとどなられてしまった。横を見ると訳知り顔のフレイヤがニヤニヤ笑ってフィンに言った。
『モテる男はツライわねぇ?』
フィンはフレイヤの言葉の意味がわからず、困った顔でフレイヤに言った。
「ねぇフレイヤ、二人のケンカを止めて?何で二人とも急にケンカし出すの?」
するとフレイヤはおかしなモノを見るような目でフィンを見て言った。
『えっ、フィン。あんた本当にリリーとブランが何でケンカしているのかわからないの?!』
フレイヤの剣幕にフィンはタジタジになりながら答えた。
「うん、何でかわからないよ。僕はブランもリリーも大好きだから仲良くして欲しいのに」
フィンの言葉に何故かフレイヤは愕然としたようだ。フレイヤはうめくように小声で何か言ったが、小さな声なのでフィンには聞きとれなかった。
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