あやかし学園

対決

「へっ！相手は三人の陰陽師か。バカにしていやがる。悟、相手の心を読んでフォローしろ。俺と河太郎で三人倒す。狐太郎、テメェは大人しく結界を張り続けていろ！」

　山彦は何故か楽しそうに言った。悟も河太郎も山彦にうなずいた。狐太郎は大規模な結界を張る事に手一杯なので、山彦の提案はありがたかった。悟が鋭く叫んだ。

「山彦くん！真ん中の背の高い男が攻撃してくる！」

　山彦は冷静にうなずいて、フッと小さく息を吐いた。すると、術を使おうとしていた背の高い陰陽師の右手が吹っ飛んだ。

「ギャアッ！」

　背の高い陰陽師の男は左手で無くなった右手を掴んだ。血がボタボタとしたたり落ちている。これではもう術は使えないだろう。

　山彦はとても強い戦闘能力を持っている。強すぎて相手を一瞬で倒してしまえる、それが山彦の課題だった。だが山彦は妖術をたくみにコントロールできるようになったのだ。

　背の低い陰陽師が怒って術を使おうとする。悟の指示を聞いた河太郎が水の術を使う。河太郎の作り出した水は、五本の水の帯を作り、背の低い陰陽師を攻撃した。背の低い陰陽師は、激しい水の攻撃を受け、気絶してしまった。

　最後に残った太っちょの陰陽師は、悟に向かって猛突進してきた。どうやら何もできない悟を人質にしようとしているようだ。

　だが太っちょ陰陽師の考えは悟に丸聞こえだ。悟はつたないながら陰陽師の術を唱え、ふところから札を出して太っちょに投げた。札は縄に形を変えると、太っちょに巻きつき、ぐるぐる巻きにした。

　狐太郎はフゥッとため息をついた。山彦と河太郎と悟が、三人の陰陽師を倒したのだ。

　山彦たちは、狐太郎の訓練により、陰陽師に対抗しうるすべを身につけたのだ。

　陰陽師の術は、あやかしや半妖を倒したり、封印したりする事もできるが、前提としてあやかしに術の手の内を知られていないという事が重要なのだ。

　狐太郎は山彦たちに、自分の持てるかぎりの知識を教えた。しかも悟に関しては、陰陽師の術の指導もした。悟はサトリと人間の半妖だけあって、霊能力も高い。悟はメキメキと陰陽師の術を習得し、今日実戦で勝利をおさめたのだ。

　狐太郎はいいしれぬ達成感を覚えた。