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論争2
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亜子は何も発言できなかった。皆人間についてしっかりとした考えを持っているのだ。亜子が小さくなっていると、となりの音子が手をあげて発言した。
「あ、あの、あたしはこれまで人間を嫌だって思った事は一度もないの。あたしのパパはね、ケガして動けなくなっていたママを助けてくれたの。その時、ママは猫の姿をしていたわ。パパは猫が大好きだったから、猫になったママの治療をしてくれた。ママはパパに一目ぼれしちゃって、人間に化けてパパにもう一度会いに行ったわ。パパもママを一目見て恋しちゃったんですって。パパはママにも、あたしにもとっても優しいの。世の中には、いい人間だけじゃなくて、悪い人間もいるわ。でも、それはあやかしにも半妖にも言える事なんじゃないかしら」
音子の発言を、皆静かに聞いていた。担任の雪菜は、生徒を見回した。ディスカッションに飽きて、狐太郎に抱きついて眠ってしまった狼牙以外で、発言をしていないのは亜子だけになってしまった。
雪奈は亜子に、何か意見はあるかと問いかけた。亜子は人前で意見を言うのが苦手だ。だが、クラスメートの意見を聞いて、胸の中に湧き上がった事があった。
亜子はゆっくりと立ち上がって言った。
「わ、私も、音子と同じで、今まで人間が悪いなんて考えた事なかった。天狗のパパは、人間のママが大好きだから、人間として、会社で働いているの。パパと一緒に働いている人間たちには、いい人も悪い人もいるわ。私ね、この世界に存在する者は、すべての命に生きる権利があると思うの。あやかしも半妖も、人間も、動物や植物も」
亜子は言葉を切って、つばを飲み込んでから言葉を続けた。
「山彦くんの話しを聞いて、人間のやった事はひどいって思った。でも、山彦くんたちの山を奪った人間たちは、あやかしや半妖の存在に気づかなかったんじゃないかなって思うの。ずっと昔、あやかしは神さまだった。人間たちは神さまを大切に祀っていた。だけど、時代が変わって、人間たちは神さまを忘れていってしまったわ。だから、これからは人間たちに、あやかしや私たち、半妖の事を知ってもらわなけれないけないと思うの」
亜子はふうっと息をはいた。雪奈はうなずいてから口を開いた。
「皆さん、ありがとうございます。色々な意見を聞く事ができました。時に亜子さん、どうすれば人間たちに、我々の存在を知ってもらえるでしょうか?」
雪奈の切り返しに、亜子は慌てた。山彦はキツイ口調で亜子に言った。
「現代の人間は神秘性なんか信じねぇぜ?」
亜子はゆっくりと口を開いた。考えるよりも、勝手に口から出た言葉だった。
「私たちが、あやかしと半妖の事を知らせます。そう、私はあやかしと人間の子供。私が大人になったら、あやかしと人間の間を取り持つ存在になります。時間はかかるかもしれない。だけど、人間たちに知ってもらいたい。人間と仲良くできるあやかしや半妖がいるって事を」
教室内はシンと静まり返ってしまった。無理もないかもしれない。あやかしと半妖は人間に隠れて暮らしているのだ。とうてい実現しそうに無い夢でしかない。
パチ、パチ。誰かが手を叩いた。それは大きな拍手になった。クラスメートたちが、亜子の考えに賛同してくれたのだ。山彦は不服らしく、ケッと舌打ちした。
となりの音子が、亜子の服のそでをちょっと引っ張って言った。
「亜子、ありがとう」
亜子はフゥッと息をはいてから小さく笑った。
「あ、あの、あたしはこれまで人間を嫌だって思った事は一度もないの。あたしのパパはね、ケガして動けなくなっていたママを助けてくれたの。その時、ママは猫の姿をしていたわ。パパは猫が大好きだったから、猫になったママの治療をしてくれた。ママはパパに一目ぼれしちゃって、人間に化けてパパにもう一度会いに行ったわ。パパもママを一目見て恋しちゃったんですって。パパはママにも、あたしにもとっても優しいの。世の中には、いい人間だけじゃなくて、悪い人間もいるわ。でも、それはあやかしにも半妖にも言える事なんじゃないかしら」
音子の発言を、皆静かに聞いていた。担任の雪菜は、生徒を見回した。ディスカッションに飽きて、狐太郎に抱きついて眠ってしまった狼牙以外で、発言をしていないのは亜子だけになってしまった。
雪奈は亜子に、何か意見はあるかと問いかけた。亜子は人前で意見を言うのが苦手だ。だが、クラスメートの意見を聞いて、胸の中に湧き上がった事があった。
亜子はゆっくりと立ち上がって言った。
「わ、私も、音子と同じで、今まで人間が悪いなんて考えた事なかった。天狗のパパは、人間のママが大好きだから、人間として、会社で働いているの。パパと一緒に働いている人間たちには、いい人も悪い人もいるわ。私ね、この世界に存在する者は、すべての命に生きる権利があると思うの。あやかしも半妖も、人間も、動物や植物も」
亜子は言葉を切って、つばを飲み込んでから言葉を続けた。
「山彦くんの話しを聞いて、人間のやった事はひどいって思った。でも、山彦くんたちの山を奪った人間たちは、あやかしや半妖の存在に気づかなかったんじゃないかなって思うの。ずっと昔、あやかしは神さまだった。人間たちは神さまを大切に祀っていた。だけど、時代が変わって、人間たちは神さまを忘れていってしまったわ。だから、これからは人間たちに、あやかしや私たち、半妖の事を知ってもらわなけれないけないと思うの」
亜子はふうっと息をはいた。雪奈はうなずいてから口を開いた。
「皆さん、ありがとうございます。色々な意見を聞く事ができました。時に亜子さん、どうすれば人間たちに、我々の存在を知ってもらえるでしょうか?」
雪奈の切り返しに、亜子は慌てた。山彦はキツイ口調で亜子に言った。
「現代の人間は神秘性なんか信じねぇぜ?」
亜子はゆっくりと口を開いた。考えるよりも、勝手に口から出た言葉だった。
「私たちが、あやかしと半妖の事を知らせます。そう、私はあやかしと人間の子供。私が大人になったら、あやかしと人間の間を取り持つ存在になります。時間はかかるかもしれない。だけど、人間たちに知ってもらいたい。人間と仲良くできるあやかしや半妖がいるって事を」
教室内はシンと静まり返ってしまった。無理もないかもしれない。あやかしと半妖は人間に隠れて暮らしているのだ。とうてい実現しそうに無い夢でしかない。
パチ、パチ。誰かが手を叩いた。それは大きな拍手になった。クラスメートたちが、亜子の考えに賛同してくれたのだ。山彦は不服らしく、ケッと舌打ちした。
となりの音子が、亜子の服のそでをちょっと引っ張って言った。
「亜子、ありがとう」
亜子はフゥッと息をはいてから小さく笑った。
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