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時空を操る犯罪
事件の第二章~会津から富山へ~
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黄島は、鬼怒川温泉の近くの病院で手当を受けた。傷は、肩を撃たれただけで、命に別状はなかった。
「俺は大丈夫だから、剛史たちだけで、旅行を続けるんだ。」
黄島は、僕たちに伝えた。
「本当に大丈夫か?」
白馬が、心配そうに話したが、黄島は、力強く首を縦に振った。
翌朝、僕と白馬、翼は、再び鬼怒川温泉駅に来ていた。しかし、白馬は、異変に気付いた。例のマフィアは、姿を見せなかったのだ。
「奴の狙いは、黄島?」
白馬は、
「剛史。すまねえが、やっぱり俺は残るから、翼と先に向かってくれ。」
と、僕に告げた。
「どうしたんだ?」
僕が尋ねると、
「奴の狙いが分からねえ。黄島が心配でな。」
と、白馬は素直に答えた。
「そっか。じゃあ、新潟で落ち合おう。」
と翼が答え、僕を後押しして、停車中のAIDUマウントエクスプレスに乗り込んだ。
僕と翼が乗った列車は、会津若松へ向けて発車した、はずだった。しかし、異変に気付いたのは、翼だった。
「この列車、何かおかしい。」
「どうしたんですか?」
僕が聞き返すと、
「景色が、犬山を走ってるみたいだ。」
と、周辺の景色について答えた。確かに、列車は、犬山橋を渡っていた。犬山橋では、改修前の車道と併用した線路を走っていた。
「奴のショータイムっていうのは、まさか、このこと?」
翼は、マフィアの力でタイムスリップしたのでは、と察した。
列車は、そのまま高山本線に入り、高山を目指していた。途中で、JRの路線からやってきた「ひだ号」と併結するのも、当時のままだった。そして、僕と翼は、高山駅で列車を降ろされた。
「翼さん、どうしよう。見当違いで、混乱しちゃって…。」
僕は、少し涙目で、翼を見つめた。しかし、翼は、冷静にことを見極めた。
「…剛史、大丈夫。とにかく、俺たちは新潟へ向かえば良いんだ。」
「でも、黄島さん達にも再会できるか分からないし、どうやって?」
僕は、時間や空間の歪みを感じ、パニックは尚続いているように感じた。
「大丈夫。この列車に乗ってる間の時の流れは、普通に流れていた。新潟へは、明日までに着ければ良い訳だから、ここからでも、余裕で着けるだろ?」
翼が、状況を説明すると、
「…そっか。ここからなら、富山経由で向かえば!」
と、僕も冷静さを取り戻し、今いる場所から新潟へのルートを確認した。
それから、僕と翼は、一路富山へ向かった。僕のイメージでは、新幹線が開通していると思っていたが、その時代では、まだ未開通だったらしく、北陸本線を特急列車が走るのが見えた。
「この時代なら、『北越号』で向かえば。」
翼が呟いた。しかし、僕の目には、電光掲示板で、寝台特急「日本海」の文字が飛び込んだ。
「翼さん、寝台列車は、どうですか?」
そして、僕は、翼に囁きながら、こっそり翼の股間に手を伸ばしてしまった。
「え?あ、君って、まさか?」
翼は、怒るかと思ったが、うっとりした目で僕を抱き寄せてきた。そして、「日本海」の寝台券を手配すると、乗り込むや否や、僕と翼は、寝台の中で抱き合っていた。
「俺は大丈夫だから、剛史たちだけで、旅行を続けるんだ。」
黄島は、僕たちに伝えた。
「本当に大丈夫か?」
白馬が、心配そうに話したが、黄島は、力強く首を縦に振った。
翌朝、僕と白馬、翼は、再び鬼怒川温泉駅に来ていた。しかし、白馬は、異変に気付いた。例のマフィアは、姿を見せなかったのだ。
「奴の狙いは、黄島?」
白馬は、
「剛史。すまねえが、やっぱり俺は残るから、翼と先に向かってくれ。」
と、僕に告げた。
「どうしたんだ?」
僕が尋ねると、
「奴の狙いが分からねえ。黄島が心配でな。」
と、白馬は素直に答えた。
「そっか。じゃあ、新潟で落ち合おう。」
と翼が答え、僕を後押しして、停車中のAIDUマウントエクスプレスに乗り込んだ。
僕と翼が乗った列車は、会津若松へ向けて発車した、はずだった。しかし、異変に気付いたのは、翼だった。
「この列車、何かおかしい。」
「どうしたんですか?」
僕が聞き返すと、
「景色が、犬山を走ってるみたいだ。」
と、周辺の景色について答えた。確かに、列車は、犬山橋を渡っていた。犬山橋では、改修前の車道と併用した線路を走っていた。
「奴のショータイムっていうのは、まさか、このこと?」
翼は、マフィアの力でタイムスリップしたのでは、と察した。
列車は、そのまま高山本線に入り、高山を目指していた。途中で、JRの路線からやってきた「ひだ号」と併結するのも、当時のままだった。そして、僕と翼は、高山駅で列車を降ろされた。
「翼さん、どうしよう。見当違いで、混乱しちゃって…。」
僕は、少し涙目で、翼を見つめた。しかし、翼は、冷静にことを見極めた。
「…剛史、大丈夫。とにかく、俺たちは新潟へ向かえば良いんだ。」
「でも、黄島さん達にも再会できるか分からないし、どうやって?」
僕は、時間や空間の歪みを感じ、パニックは尚続いているように感じた。
「大丈夫。この列車に乗ってる間の時の流れは、普通に流れていた。新潟へは、明日までに着ければ良い訳だから、ここからでも、余裕で着けるだろ?」
翼が、状況を説明すると、
「…そっか。ここからなら、富山経由で向かえば!」
と、僕も冷静さを取り戻し、今いる場所から新潟へのルートを確認した。
それから、僕と翼は、一路富山へ向かった。僕のイメージでは、新幹線が開通していると思っていたが、その時代では、まだ未開通だったらしく、北陸本線を特急列車が走るのが見えた。
「この時代なら、『北越号』で向かえば。」
翼が呟いた。しかし、僕の目には、電光掲示板で、寝台特急「日本海」の文字が飛び込んだ。
「翼さん、寝台列車は、どうですか?」
そして、僕は、翼に囁きながら、こっそり翼の股間に手を伸ばしてしまった。
「え?あ、君って、まさか?」
翼は、怒るかと思ったが、うっとりした目で僕を抱き寄せてきた。そして、「日本海」の寝台券を手配すると、乗り込むや否や、僕と翼は、寝台の中で抱き合っていた。
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