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時空を操る犯罪

事件の序章~東武特急~

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僕が立てたプランを具体化させようと動き出した、黄島たち三人。このプランを完成させるには、東武特急やSL、新幹線の手配が必要不可欠だった。
「こうなったら、このプランのまま、下見するのはどうだ?」
黄島が、唐突な提案を挙げた。
「…まぁ、行ってみないと、魅力が分からないかもな。」
翼と、白馬も首を縦に降り、黄島の意見を後押しした。

その頃、ギャングスターに対する脅威も近づいていた。メンバーがアメリカへ二人派遣されたという情報を仕入れたマフィアが、黄島の暗殺を狙っていたのだ。しかし、黄島たちには、その脅威を知る由もなかった。

数日後。僕と黄島たちは、東武の浅草駅に来ていた。
「いきなり、個室を使うのか?」
白馬が、贅沢さに疑問を抱いた。しかし、
「いや、募集人員を限定するなら、効果的かも。」
と、翼は、少し専門的に話した。
「翼さん、旅行会社に勤めてたんですか?」
「昔な。だから、旅行主任者の資格も持ってるから、その辺は任せておけ。」
僕は、翼の気さくな雰囲気に、酔いしれてしまった。

一方、脅威とされるマフィアも、浅草駅を捜索していた。偶々黄島の姿を見つけたマフィアは、同じ東武の特急に乗り込んでいた。そして、特定のICカードを使い改札を通ったので、その情報が宇宙警察の元にもキャッチされた。
「何?マフィアが、俺たちを狙ってる?」
情報は、直ぐに黄島のブレスレットを通じて報告された。
「黄島さん。折角だけど、この旅行は中止した方が。」
僕が、黄島たちを心配すると、
「いや、逆にこの旅を使って、様子を見てやろうじゃねえか?」
と、黄島は、度々見せるようになった、ギャングのような恐ろしい笑みを見せた。

白馬は、個室の利用で、少々気になることを感じた。そこで、
「剛史。ここはすまねえが、個室での飲食は中止だ。手洗いも、この列車に乗るまでに、済ませてくれ。」
と、僕に指示した。全てを察した僕は、
「分かりました。目的地まで、個室から離れないということですね?」
と、白馬に笑顔で返した。そんな様子を見た白馬と翼は、僕の読み込みが早いのを気に入り、一緒に笑顔になった。

東武特急の車両は、スペーシアだった。だが、僕と黄島たち三人は、車内の個室を楽しむことは、ほぼ出来なかった。
そして、その緊張は、列車を降りた矢先で起きた。先に待ち構えていたマフィアが、黄島目掛けて発砲した。
「うわっ!」
「危ない!」
白馬と翼が、急いでホワイトギャング、スカイモンスターに変身して、黄島の身を守った。
「剛史、黄島を連れて、早く逃げるんだ!」
僕は、白馬の指示に従い、黄島と一緒に降りた鬼怒川温泉駅の改札口へ逃げた。
「貴様ら、これからがショータイムだ!」
マフィアは、宇宙から受けた力を解放した。それは、その場では分からない力だった。そしてマフィアは、ホワイトギャング、スカイモンスターを置いて、その場から消えた。
「ショータイムって?」
元の姿に戻った白馬と翼が、マフィアが解放した力に気付くのは、もっと後になってからの話だった。
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