僕とギャングスターの大冒険

スパイと北村

トラック野郎との旅路

僕は、目を覚ますと、ギャングスターと出会う前の社会人だった頃の自分になっていた。
「あれ、青山さんは？やっぱり夢？」
見ると、山のように積まれた仕事の書類。
「大丈夫ですか？あなたは、死んだんですよ？」
そして、見回すと、突然皆が僕を見て、指をさしながらそう言い放った。
「は！？あれ？」
再び目を覚ますと、
「剛史、大丈夫か？汗かいちまって。」
黄島が、心配そうに僕を見つめていた。
「…なんか、怖い夢を見て、ごめんなさい。」
僕が少し寂しそうな涙目で、黄島を見つめると、
「そっか。大丈夫。俺たちがいるだろ？そうだ。良かったら、明日から俺とトラックで旅しようぜ。」
と、黄島は、優しく僕を抱いてくれて、そう話した。僕も、黄島を抱き返し、黄島の腕の中で頷いた。

翌日、外に出ると、黄島が愛用している、和装された大型トラックが停まっていた。
「よし。剛史、助手席に乗ってくれ。」
僕は、言われるままに、助手席に乗った。そして、黄島が運転席に着き、エンジンをかけ、トラックはゆっくり走り出した。
「行き先を決めてねえんだ。剛史は、どこへ行きたい？」
黄島に言われ、少し迷ったが、
「天空とか、乗ってみたいです。」
と、咄嗟に率直な意見を投げかけた。
「そっか。剛史は、電車好きだったな。」
黄島の反応を見た僕は、トラックということを忘れていたので、
「あ、でもトラックの中も好きです。密接に黄島さんの隣にいられるし。」
と、気を使った言葉をかけた。しかし、様子を察した黄島は、
「そんな、俺に気遣わなくて良いんだぞ？じゃあ…、よし、良いプランが出来そうだ。」
と、黄島は、南下して橋本市街を目指した。

途中、高速のサービスエリアに着くと、
「ここなら、死界に入ってて目立たねえな。剛史、俺、ちょっとムラムラしちまって…。」
と、黄島は、ふしだらな言葉をかけ、下半身を丸出しにし始めた。僕は、少し驚いたが、
「あ、デカ。」
黄島の大きな陰茎を見ると、自分の気分も掻き乱され、気付いたら、それを掴んでいた。そして僕は、黄島に身体を預けて、抱き合っていた。

黄島のトラックは、橋本駅近くの駐車場へ停めて、僕が乗りたいと言った、「天空」の乗車券を購入していた。その時、黄島は、ある知り合いを見つけた。
「おい、北村。」
「黄島じゃねえか？」
北村は、黄島が暴走族の頃の仲間だった。

その頃、基地では、宇宙警察から、ある人物の逮捕状が報告された。
「北村和真？」
「思いっきり地球の奴じゃねえか。」
野々宮と青山は、不思議に感じた。
「宇宙犯罪組織の息がかかった人物だ。５年前に、橋本という街に不時着した組織を救ったそうだ。」
「北村って奴は、犯罪者と知ってて救ったのか？」
宇宙警察の説明に、青山は疑問を抱いた。
「そこは、まだ分かっていない。周知の有無によって、罪の重さも変わってくる。」
ギャングスターは、難しい事件を受け入れると実感した。そして、その事件に黄島が関わるとは、誰も予想していなかった。