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第5章 婚約破棄編

【閑話】ある冒険者の話し 1

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【前書き】
ロイドのスキルを変えました。


【本文】

ある日ギルドに出勤すると、休みのはずの職員まで集まっていて、ギルドが大変な事になっていた。


「あれ?皆んな集まってどうしたんだ?」


俺が声を掛けると受付嬢のサラが興奮ぎみに、依頼表の束を掲示板に貼りながら答えてくれた。


「昨日、夜遅くにギルド本部から凄いクエストが入って来たの!
何と依頼主はあのチェイテス公爵家!
先日レモ男爵領で起きた、奴隷商襲撃事件の犯人と逃亡奴隷の回収の依頼ですって!」


あゝ…レモ男爵の依親はチェイテス公爵だからね。
それに裏の噂じゃ強盗犯の中に、嫡男のジョナサン様の元婚約者メリーナ(平民落ち)もいたらしいから当然か。


【手配書】

①ケン・ワタヌキ

元A級冒険者。
魔法剣士。
稀人の為要注意。
*S級推奨。

☆大金貨10枚


綿貫君か…確実に稀人だよなぁ。
魔法剣士を職業にする人はかなりの確率で、稀人か稀人の子孫。
もしくはあまり知られていないけど、転生者。


かく言う俺もその転生者だけどな。
もちろん誰にも内緒だ。


ま、俺はS級じゃないからコイツを捕まえるのは無理だな。
報酬以外の賞品はS級か、S級相当の実力者以外には提示すらしないか……
綿貫君相当強いんだろうなぁ…いろいろと間違えてるし、ハニトラに弱かったみたいだけど。


俺が捕まえるとしたら、
こっちの逃亡奴隷!


【手配書】

《犯罪奴隷》
罪状によって銀貨1枚~金貨5枚か。
けっこうな人数が逃げたのに、大盤振る舞いだな。
何人か賞金首だった奴もいるから、危険手当て込みだな。


こいつらを前に捕まえた奴ら、大丈夫か?
逃亡した直後に、復讐しようとした奴もいるだろう。


《借金奴隷》
銀貨1枚~大銀貨2枚。
報酬とは別に、防御力5~10アップのアクセサリーをつける。


こっちは報酬を絞って、おまけを付けたか……


俺のスキルを使えばチョロい。


そう言えば、挨拶がまだだったな。
俺の名前はロイド。


【最初の祝福】の時に、前世の記憶を思い出した。
その後3日間、熱を出して寝こんだりしてたいへんだったよ。


で、その時わかった俺のスキルが【索敵】【俊足】【コピー】【命中率100%】【神弓術】【投擲】【狙撃】【光の盾】【地図アプリ】。


得意武器は弓と投げナイフと投擲槍。
矢やナイフや槍は全部【コピー】すればいいから、金が掛からなくて済んだ。
【命中率100%】で確実に当たるから無駄がないし。


たぶん弓や投げナイフのスキルは学生時代に弓道部だったのと、社会人になってからの趣味ダーツが関係しているんだろう。
槍投げはやった事ないけど。


【索敵】と【俊足】は斥候の仕事には役に立った。
【光の盾】これも盾としてだけでなく、光学迷彩としても使える事がわかって、けっこう便利だ。


【地図アプリ】…最初意味がわからなかったんだが、コレかなりのチートスキルだった。
自分が見たいと思った場所の地図が、例え行った事のない場所ですらわかるという、やばいスキル。
マジで携帯とかの地図アプリそのまんま。


おかげで冒険者時代、ダンジョンで稼がせてもらいました。
罠の場所までわかるんだよ。


ただなぁ…決定打になるような大技が1つも無くて、結局B級までしか上がれなかった。
今は故郷のオッハーナでギルド職員をしながら、たまに指名依頼を受けている。


皆んな久しぶりの大きな依頼に喜んでいるが、このオッハーナ領に奴らが来るかどうかわからないぞ……




―――――――――――――――――

(1か月後)


ギルドマスターに呼ばれた。


「ロイドさん!指名依頼です!」

「指名依頼?」


久しぶりの指名依頼だな。
いったい誰からだろう?


「ロイドさんに、指名依頼して来たのは領主様組長です。
しかも、金貨2枚の破格の報酬ですよ!!」


えっ!?領主様組長から?


「何でも例の強盗団の首領ケンは、見た目だけで相手を判断して襲って来る傾向があるそうです。
家の領主様組長は見た目がアレですから、念の為に…… 」


アレ?いつの間にか盗賊団の首領になってるよ綿貫君。


「了承しました。ヤっさん…じゃなくて領主様組長は必ず守って見せます!」


*小さい領地なので、領都(漁村)の人達はほぼ顔見知りです。







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