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未来です
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あれから数分間泣き続けた幸さんは、少し落ち着いてきたみたいだった。
「ごめんね…白くん…」
「いえ…」
ゆっくりと幸さんが顔をあげる。
くっしゃくしゃの顔で僕をジッと見て笑ったけど今にもまた泣きそうな顔だった。
そんな顔でなおかつ上目遣いで胸元に居る幸さんを思いっきり抱きしめたくなったが色々考えて、ぐっと抑えてそっと自分の体からゆっくり離した。
「幸さん。」
「ん?」
「なんで今日、僕にフラれた話をしたんですか?」
「あぁ。それはね…昔の、怪我する前の貫を知ってる人と話したかったんだ…。なんかごめんね。勝手に話して勝手に泣いて…。白くん全然関係ないのに…」
「いえ、別に構わないですけど…。」
「ありがとう…なんかスッキリした!帰ろっか!」
この人は、本当に嵐だ。
無意識に自分勝手に動いてその勢いで巻き込んだのにどこかに飛ばしてしまう。
幸さんに先導される帰り道、公園に向かった道とは違う道を通った。
帰り道と思っていたのは僕だけで、僕と幸さんの家とは逆の方に幸さんは、ズンズン進んで行く。
中学校時代に見慣れた道。
見慣れたコンビニ。
コンビニを過ぎてやっと僕は気づいた。
この道は、貫の家に向かう道だ。
公園を出てからまたしゃべらなくなった幸さん。
案の定、貫の家の前に着いた。
二階建てのモルタルの壁でちょっと古いけど大きい家。
外から見ても居るか居ないかわかる二階にある角の部屋が貫の部屋。
僕はそれに気づいて幸さんに何も考えずに「貫居ますねと言った。
それを聞いた幸さんは、振り返り悪い顔をしてインターホンを押した。
"ピンポーン"
家の中で"はいはい"という女性の声が聞こえインターホンから声が聞こえた。
「あれ!白兄じゃん!」
「この声は、未来ちゃん?」未来ちゃんは、貫の3つ下の妹、昔からよく遊んで居たから僕のことを白兄と呼ぶ。
「…」
「あれ?未来ちゃん?」
ドドドっと走ってくる音がだんだん近づいてきた。
"ガチャ"玄関が開き、未来ちゃんが僕を見たかと思ったら裸足のまま幸さんに飛びついた。
未来ちゃんは、ご主人が帰ってきた甘えん坊の小型犬のようにはしゃいだ。
「幸さん久しぶり!会いたかった!全然来てくれないんだもん!何してたの!兄ちゃん居なくても来てくれればいいのに!早く入って!母さんも会いたがってたよ!」
幸さんは、飛びついて来た未来ちゃんに驚くこともなく手慣れた感じで頭を撫でながら「今日は、長く居られないんだごめんね未来ちゃん!」
未来ちゃんは、とても残念そうに「また来てね」と言って家に戻って行こうとした。
それまで空気のように扱われていた僕を幸さんが後ろから小突いて言った。
「貫が元気か見て来て!」
僕はめんどくさそうに「はいはい」と答え幸さんに挨拶を済ませ、お前じゃないと言わんばかりの顔をした未来ちゃんと一緒に家に入った。
「ごめんね…白くん…」
「いえ…」
ゆっくりと幸さんが顔をあげる。
くっしゃくしゃの顔で僕をジッと見て笑ったけど今にもまた泣きそうな顔だった。
そんな顔でなおかつ上目遣いで胸元に居る幸さんを思いっきり抱きしめたくなったが色々考えて、ぐっと抑えてそっと自分の体からゆっくり離した。
「幸さん。」
「ん?」
「なんで今日、僕にフラれた話をしたんですか?」
「あぁ。それはね…昔の、怪我する前の貫を知ってる人と話したかったんだ…。なんかごめんね。勝手に話して勝手に泣いて…。白くん全然関係ないのに…」
「いえ、別に構わないですけど…。」
「ありがとう…なんかスッキリした!帰ろっか!」
この人は、本当に嵐だ。
無意識に自分勝手に動いてその勢いで巻き込んだのにどこかに飛ばしてしまう。
幸さんに先導される帰り道、公園に向かった道とは違う道を通った。
帰り道と思っていたのは僕だけで、僕と幸さんの家とは逆の方に幸さんは、ズンズン進んで行く。
中学校時代に見慣れた道。
見慣れたコンビニ。
コンビニを過ぎてやっと僕は気づいた。
この道は、貫の家に向かう道だ。
公園を出てからまたしゃべらなくなった幸さん。
案の定、貫の家の前に着いた。
二階建てのモルタルの壁でちょっと古いけど大きい家。
外から見ても居るか居ないかわかる二階にある角の部屋が貫の部屋。
僕はそれに気づいて幸さんに何も考えずに「貫居ますねと言った。
それを聞いた幸さんは、振り返り悪い顔をしてインターホンを押した。
"ピンポーン"
家の中で"はいはい"という女性の声が聞こえインターホンから声が聞こえた。
「あれ!白兄じゃん!」
「この声は、未来ちゃん?」未来ちゃんは、貫の3つ下の妹、昔からよく遊んで居たから僕のことを白兄と呼ぶ。
「…」
「あれ?未来ちゃん?」
ドドドっと走ってくる音がだんだん近づいてきた。
"ガチャ"玄関が開き、未来ちゃんが僕を見たかと思ったら裸足のまま幸さんに飛びついた。
未来ちゃんは、ご主人が帰ってきた甘えん坊の小型犬のようにはしゃいだ。
「幸さん久しぶり!会いたかった!全然来てくれないんだもん!何してたの!兄ちゃん居なくても来てくれればいいのに!早く入って!母さんも会いたがってたよ!」
幸さんは、飛びついて来た未来ちゃんに驚くこともなく手慣れた感じで頭を撫でながら「今日は、長く居られないんだごめんね未来ちゃん!」
未来ちゃんは、とても残念そうに「また来てね」と言って家に戻って行こうとした。
それまで空気のように扱われていた僕を幸さんが後ろから小突いて言った。
「貫が元気か見て来て!」
僕はめんどくさそうに「はいはい」と答え幸さんに挨拶を済ませ、お前じゃないと言わんばかりの顔をした未来ちゃんと一緒に家に入った。
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