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落ちてくる

落ちてくる1 フン クギ クモ

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朝、通学のために商店街の近くを自転車で走っていると、天満てんま直道の白いシャツにボトリという音とともに緑色のものが落ちてきた。

シャツは瞬く間に汚れ、大きなシミとなった。

それは大きな鳥の糞だった。

「ちっ!」
舌打ちをしながら上を見ると十羽ほどハトが屋根の上にとまっていた。

直道は朝から嫌な気持ちになりながら、汚れたシャツを脱いで公衆便所で洗った。

大きな濡れた後があるが、そのうち乾くだろうと、坂道を自転車で登っていく。

そうすると今度は頭の上にぴちゃりと落ちてきた。

なんだなんだと頭を触ってみると、先ほどと同じような鳥の糞がついている。

ものすごく気持ち悪い。

上を見上げると鳥が電線に十羽ほどとまっていた。
「クソっ」
と大きな声で叫びながら学校へ急いで行き、頭を水道の水で洗った。

校舎を歩いていると、頭にチクリとした痛みが走った。
恐る恐る頭を触ってみると小さな釘が刺さっていた。
上を見上げると大工さんが金槌で釘を壁に打ち付けていた。大工さんは腰に付けた道具箱のような物から釘を取り出している。

「なんだよ!」

今日はやたらと上から落ちてくる。

教室に着いてから、ビショビショの頭を親友の近藤歩に見てもらう。

「頭に血が滲んでるよ」

「やっぱり?さっき釘が刺さっていたんよ」

「どうして?」と歩は驚いて聞く。

「それが大工さんが上から落とした釘が刺さったみたいなんだよ」

「マジかよ」

「それに、その前には鳥の糞が二回も落ちてくるし」

「ついてねえな」

「まったくだよ」

先生が教室に入ってきたので席に戻る。

「きりーつ、れーい、着席!」

ポトリと直道の頭に何かが乗っかる。
なんだろうと手をやると、カサカサと頭から大きなクモが飛び降りた。

「キャー」
と後ろの席の女の子が叫ぶと
教室中がパニックになった。

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