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ジャン=ジャック・ルソー

テレーズ・ル・ヴァスール

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ルソーはママンとの別れの後、そこそこの職に就いたが、あまりの真面目さに、役人の反感を食らった。

ルソーは自分が間違っていないことを曲げなかった。それは、融通のきかない偏屈者と思われた。

しかし、ルソーには許せないルールがあった。誰かが誰かの不幸の元に私腹を肥やしているのが許せない。ずるをして稼いでいるのが許せない。そういう奴を見つけると訴えた。ルソーは真面目なので、しっかりと証拠を掴んでじわじわと追い詰めるのだ。そして、役人の不正を訴える。周りのみんなはルソーの方が正しいと認めている。しかし、実際にはずるい奴がのうのうと居座り、悪くないルソーの方が居ずらくなる。

人の社会というものは、自分の人の事を考えずに自分の利益のみを追求しているやつが、結局は得をしてしまうのだ。

実社会で働いてみてそれに気づいたルソーは、急に働く気が失せた。

それに、自分の実力を低く見積もりすぎていたことにも気づき始めた。

そこで、ルソーはオペラなどを執筆したりといった仕事をするようになった。


そんな時に、出会ったのがテレーズ・ル・ヴァスールだった。

テレーズはいい所の家庭に生まれた娘だったが、父親が病気をして、母親が職を失って貧乏生活をしていた。

たまたまルソーが借りた宿に年頃のテレーズが働きに来ていたのだ。テレーズは一家三人を働いて養っていた。

ルソーはテレーズを美しい目をした女性だと思った。それから、ガラの悪い連中にからかわれるテレーズを毅然とした態度でかばった。ルソーは周りからなんとからかわれようともその態度を変えなかった。

ルソーはたとえ貧乏でもいつも紳士的な振る舞いは崩さなかった。

そんなルソーをテレーズが気に入っているのがわかる。

しかし、ルソーほいつもの消極的な態度で、思い切った行動ができない。

ようやく、お互いの気持ちを打ち明ける事が出来たが、テレーズはいざとなると何か隠し事があるのかとてもモジモジとした態度をとる。

ルソーはもしかしたら、テレーズはとんでもない売女で、性病の1つや2つ持っているのではないかと怪しんだ。

ルソーはそういった事からテレーズをとても愛しているのに手を出すことが出来なかった。

そんな状態が続いたあと、テレーズは涙ながらに告白した。

「私は、むかし、好きではない男に騙されたことがあるの」

「どういうこと?」

「男についてまだ無知だった私は、巧みな誘惑に騙されて、その男と過ちを犯してしまったの」

「何が言いたいの?」

「私、処女じゃないの」

そう告白するテレーズほまるでこの世の終わりかのように涙を流した。

それを見たルソーは喜びを爆発させた。

「そんな事で悩んでいたのかい。今の時代に処女に誰がこだわるものか。パリで二十歳にもなった女性にそんなもの期待しないよ。テレーズ、僕はしあわせすきる。貞淑で健康なお前が僕のものになるんだ。」

そうして、ルソーとテレーズは深く結ばれることになった。

そして、ルソーはこうして幸せな時間を過ごす事になったのだが、とてつもない過ちを犯す事にもなった。

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