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ジャン=ジャック・ルソー
ルソーの父イザークと母シュザンヌの恋
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イザークの妻シュザンヌを若くして亡くした悲しみはいつまでも消えることは無かった。
それもそのはず、イザークとシュザンヌは8つの頃からラ・トレイユの大通りを毎晩一緒に散歩した幼なじみだった。
10歳になるとお互いに離れられない仲であることを確信した。
幼き頃のこういった感覚はおそらく正しい。
しかし、多くの場合、勘違いだったと離れてしまうか、様々な困難のために諦めてしまうものだ。
ところが、イザークとシュザンヌは違った。
イザークは時計職人で、シュザンヌはベルナールという牧師の娘であった。
シュザンヌの方がイザークよりも金持ちであり、二人の関係は反対された。
それが2人をいっそう強く結びつけた。
しかし、叶わない恋はイザークを日に日にやつれさせた。
そして、2人は一度は別れようと決意した。
シュザンヌはこの恋を忘れるためにイザークに旅に出ることを勧めた。
しかし、旅から帰ってきた2人はいっそう激しく愛し合った。
そして2人を結びつける時がやってきた。
シュザンヌの弟のガブリエル・ベルナールがイザークの妹の一人に恋をしたのだ。
妹は兄が結婚できないのなら、私も結婚しないと言い張った。
そして、この2組のカップルが同時に結婚式をあげることになった。
この時のイザークの喜びようといったらなかった。
時計職人のくせに、「この幸せな時がなるべくゆっくりと進むことを願う」と叫んでいた。
まもなく一人の男の子を授かったが、イザークはコンスタンティノープルへ招かれ、トルコ宮廷付の時計師となった。
ジュネーブに残された美しいシュザンヌは芸事も達者で周りの男達からもてはやされた。
フランスの公使ラ・クロジュールさえも熱心にシュザンヌに言い寄った。
イザーク一人を愛するシュザンヌは、貞操を奪われかねないと思い、夫へ直ぐに帰ってくるように手紙を書いた。
イザークは全てを放り投げてシュザンヌの元へ帰ってきた。
そうして愛し合った結果、ジャン=ジャック・ルソーが生まれ、シュザンヌが亡くなった。
イザークがどれほど、悲しみ、生きるべく目標を失ったか。
それでも何とか二人の子供達との生活を維持しなければならない。
ジャン=ジャック・ルソーは生まれながらにして、精神的にも経済的にも不安定な状態であった。
父には愛されながらも憎まれた。母親を奪った息子であった。
父の独身の妹、つまり叔母、から愛情を受けることができたことは幸いした。
しかし、最も悲しいのは、実の母親の愛情を受けることが出来なかったことである。
それもそのはず、イザークとシュザンヌは8つの頃からラ・トレイユの大通りを毎晩一緒に散歩した幼なじみだった。
10歳になるとお互いに離れられない仲であることを確信した。
幼き頃のこういった感覚はおそらく正しい。
しかし、多くの場合、勘違いだったと離れてしまうか、様々な困難のために諦めてしまうものだ。
ところが、イザークとシュザンヌは違った。
イザークは時計職人で、シュザンヌはベルナールという牧師の娘であった。
シュザンヌの方がイザークよりも金持ちであり、二人の関係は反対された。
それが2人をいっそう強く結びつけた。
しかし、叶わない恋はイザークを日に日にやつれさせた。
そして、2人は一度は別れようと決意した。
シュザンヌはこの恋を忘れるためにイザークに旅に出ることを勧めた。
しかし、旅から帰ってきた2人はいっそう激しく愛し合った。
そして2人を結びつける時がやってきた。
シュザンヌの弟のガブリエル・ベルナールがイザークの妹の一人に恋をしたのだ。
妹は兄が結婚できないのなら、私も結婚しないと言い張った。
そして、この2組のカップルが同時に結婚式をあげることになった。
この時のイザークの喜びようといったらなかった。
時計職人のくせに、「この幸せな時がなるべくゆっくりと進むことを願う」と叫んでいた。
まもなく一人の男の子を授かったが、イザークはコンスタンティノープルへ招かれ、トルコ宮廷付の時計師となった。
ジュネーブに残された美しいシュザンヌは芸事も達者で周りの男達からもてはやされた。
フランスの公使ラ・クロジュールさえも熱心にシュザンヌに言い寄った。
イザーク一人を愛するシュザンヌは、貞操を奪われかねないと思い、夫へ直ぐに帰ってくるように手紙を書いた。
イザークは全てを放り投げてシュザンヌの元へ帰ってきた。
そうして愛し合った結果、ジャン=ジャック・ルソーが生まれ、シュザンヌが亡くなった。
イザークがどれほど、悲しみ、生きるべく目標を失ったか。
それでも何とか二人の子供達との生活を維持しなければならない。
ジャン=ジャック・ルソーは生まれながらにして、精神的にも経済的にも不安定な状態であった。
父には愛されながらも憎まれた。母親を奪った息子であった。
父の独身の妹、つまり叔母、から愛情を受けることができたことは幸いした。
しかし、最も悲しいのは、実の母親の愛情を受けることが出来なかったことである。
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