とろけてまざる

ゆなな

文字の大きさ
上 下
14 / 46
2章

6話

しおりを挟む
「キリがないな……」
ソファで何度か抱かれた後、そう永瀬は呟くと躯を離して、そのまま彼の寝室へユキを運び込んだ。

永瀬の香りがもっとも香るベッドの上で再び優しく躯中触れられた。
「ユキも、触ってくれないか……?」
外科医としての彼の姿から想像もつかないほど甘えて蕩けた声でねだられて、ユキもその細い神経質そうな指先を彼の躯に伸ばした。

永瀬の躯はもう三十代半ばだというのに、引き締まっていてなめらかで驚くほど触り心地が良かった。
彼の綺麗な胸板や腹筋に触れていると、何故だか躯の中心がぽわぽわと熱を帯びてくるように心地よくてくちびるでも触れてみたい欲求が産まれて彼のなめらかな肌にくちづけた。

「……っく………」

思わず永瀬が息を飲んだ様子が伝わってきて、たまらなくなって、逞しい胸にある乳首をぺろりと舐めてみると、綺麗な腹筋が細かく戦慄いた。

あ、とユキが思ったときにはやわらかなベッドに躯を押し付けられ大きく足を開かされ……熱い先端が潜り込んできた。
何度もしたのに、ともすれば先程よりも熱く感じた───



*****




「明日……仕事だし、シャワー浴びてきます………」

腕の中で掠れた声でユキは呟く。

そっと永瀬の腕の温かい檻から抜け、シーツ巻き付けながらベッドから降りた途端、ぺたんと腰が抜けてユキは永瀬の寝室の木の床の上に崩れ落ちた。

「え……?」

ユキが驚きの声を上げると、ベッドの中に肉食獣が食事を終えて満足していたようにゆったりと寝そべっていた男がくつくつと笑いながら身を起こした。

「こんなときは、きみの腰を立たなくした男にあまえて全部やってもらえばいい」

ささやかれ、きしりとベッドを軋ませて立ち上がってユキをひょいと抱き上げ永瀬の寝室に付いているバスルームに連れていかれた。

「ふ、……っ永瀬先生、くすぐったい、ですけど……」

たっぷり泡立てられたふわふわの泡で全身を隈無く洗われた。それこそ足の指の間まであの、美しく動く指先に。
髪の毛も優しく洗ってもらって後ろから抱かれて広いバスタブの少しぬるめのお湯にゆったり浸かっている頃には色んな意味でぽやんとしてしまうユキ。
そんなユキの白いうなじに何度となく舌を這わされて甘噛みされる。

発情期に躯の奥深くにアルファの雄を銜えこまされたときにうなじを噛まれなければ番になることはないが、それをあまったるくねだられるような仕種。

(だめ、なのに。番の仕組みは唯一僕がお父さんとお母さんの役に立てる手立てだから、番は作ったらいけないのに……家族のためにそれは使うと約束しているのに……)

永瀬にうなじを噛まれてしまいたくなくて仕方のない欲求が沸き上がってくるのは、
きっとこんなに情熱的に触れられたのが初めてだから。
きっとこんなに優しく触れられたのも初めてだから。

切なく沸き上がる感情に無理矢理理由を付けて蓋をした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】2愛されない伯爵令嬢が、愛される公爵令嬢へ

華蓮
恋愛
ルーセント伯爵家のシャーロットは、幼い頃に母に先立たれ、すぐに再婚した義母に嫌われ、父にも冷たくされ、義妹に全てのものを奪われていく、、、 R18は、後半になります!! ☆私が初めて書いた作品です。

【完結】復讐の館〜私はあなたを待っています〜

リオール
ホラー
愛しています愛しています 私はあなたを愛しています 恨みます呪います憎みます 私は あなたを 許さない

戦場の鷹〜弓の天才、異世界転移先で若将軍に見つけられる〜

果物図鑑
BL
 蕗 峰鷹は現役弓道部部員で、射撃競技、弓など的当て全般で才能を発揮してきた。しかし、ある大会の帰り道に立ち寄った神社から、別世界へ迷い込んでしまう。  得意の弓を活かして村の人々に狩猟を教わりなんとか暮らす中、視察に来た若将軍に弓の才能に目をつけられ、自分の持つ弓隊で弓の使い方を指南して欲しいと頼まれる。  将軍の屋敷で弓を教え始めるが、ぽっと出の平民にものを教わることを良しとする人間は少ない。そんな中、屋敷が襲撃される事件が起こる。  実際に峰鷹の弓の腕を見て、周囲の峰鷹に対する目に変化が‥‥。  そして次々巻き込まれる戦いを乗り越える中、頭の切れる若将軍と平民の天才射手の距離は近づいていき‥‥。 ※最初の方でチラッと弓道の話が出ますが、専門知識は薄いです‥‥。頭を空っぽにして見てください!お願いします! *R指定は保険です。 

【完結】地味令嬢の願いが叶う刻

白雨 音
恋愛
男爵令嬢クラリスは、地味で平凡な娘だ。 幼い頃より、両親から溺愛される、美しい姉ディオールと後継ぎである弟フィリップを羨ましく思っていた。 家族から愛されたい、認められたいと努めるも、都合良く使われるだけで、 いつしか、「家を出て愛する人と家庭を持ちたい」と願うようになっていた。 ある夜、伯爵家のパーティに出席する事が認められたが、意地悪な姉に笑い者にされてしまう。 庭でパーティが終わるのを待つクラリスに、思い掛けず、素敵な出会いがあった。 レオナール=ヴェルレーヌ伯爵子息___一目で恋に落ちるも、分不相応と諦めるしか無かった。 だが、一月後、驚く事に彼の方からクラリスに縁談の打診が来た。 喜ぶクラリスだったが、姉は「自分の方が相応しい」と言い出して…  異世界恋愛:短編(全16話) ※魔法要素無し。  《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆ 

別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが

リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!? ※ご都合主義展開 ※全7話  

黒い獣は巻き込まれ平凡を持ち帰る

たなぱ
BL
世の中には人を当て馬にして幸せを感じる人種がいると、平和な人生を過ごしてきた筈のおれ、日比野優真は齢23歳でそれに出会ってしまう 新卒で入社してから早数年、仕事にも慣れ平凡で平和な人生素晴らしいと老後のおじいちゃん並に穏やかな思考回路をしていたおれは新人社員の女の指導係に任命された、それをきっかけに当て馬ポジションにされてしまったのだ 事あるごとにおれを悪者にして周りに可愛がられる女 何故おれを巻き込むんだ… 上司や周囲に相談するが新人女はモデル並みに可愛く猫を被るのも上手かった、誰にも信じて貰えない、居づらい職場…転職しようかなと真剣に考え始めた頃事件は起きた 外回り中に交差点へ飛び出す新人女、何故かおれの腕を掴みながら… 悲鳴と衝撃、薄れゆく意識 『神子様が降臨された!』 目が覚めるとそこは知らない世界だった 瘴気に蝕まれた狼の獣人×当て馬から逃げたい巻き込まれ平凡お兄さん 第二部まで完結 三部はある程度書いたら載せます

のんびりしたい魔人と氷姫 

志位斗 茂家波
恋愛
ある魔人は前世があり、のんびり今世は生きたいものだと考えていた。 ある婚約破棄された氷姫は同じく前世があり、こちらもこの機会にのんびりと暮らしたかった。 偶然出会い、そして互いの意見の一致で、彼らはのんびりとした生活を送り始めるのだが…… 基本はストーリー重視。短いかもしれないし、ざまぁは確実に入れる予定。 更新ペースは同じくのんびり。 指摘があれば修正をいたします。R15・18指定はしていないけど、書いた場合は指定して、その話にあると表記しておきます。まぁ、誰でも読めるようにと言うのが基本的です。

貴方にとって、私は2番目だった。ただ、それだけの話。

天災
恋愛
 ただ、それだけの話。

処理中です...