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6章
汽車の中2
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「お前が驚かすからだろ」
「アンドレアが後ろから顔を出すからだよ。君みたいな強面を近くで見たら誰だって腰を抜かすよ。事実彼が尻餅をついたのは僕を見た時ではなく、君を見た時だろう?」
「……それなら俺と言うより、俺の後ろにいらしたキリヤ様じゃないか?」
「僕のせいっていうのか? イヴァン、アンドレア」
「僕はキリヤのせいだなんて言ってないよ。言ったのはアンドレア」
「三人のせいだと思うけど」
「ふぇぇ。すごい」
迫力ある三人に、物怖じせずに割って入ったサランにユノは感心して思わず呟いてしまう。
「すごいって何が」
サランがユノに問う。
「いくら本当のこととはいえ、こんな派手な三人にはっきりモノが言えるなんてサランくらいだよ」
「お前も似たようなもんだろ」
肩を竦めてアンドレアがユノに言うと、キリヤは思わず吹き出して笑った。
腰を抜かしたジェイコブの後ろですべて見ていたトミーがペコペコ頭を下げながら引きずる様にジェイコブを連れて、他のクラスメイトのコンパートメントに移動して行ったあと。
このコンパートメントは、元から居たユノとサラン、後から訪れたキリヤ、アンドレア、イヴァンの五人になった。
「シュリが用事があるって昨日一足先に『魔法動物の谷』に行ったんだよ。だから珍しくシュリがキリヤに纏わりついていないから、旅路を楽しみたくてさ。まぁ定員的には問題ないよね。五人だし」
窓際に座っていたユノの隣にはキリヤが座り、その向かい側に座ったイヴァンが言った。
ちなみにイヴァンの隣にはサラン、そのサランの隣にはアンドレアが座っている。
三人ずつ向かい合って座る座席なので、六人定員のコンパートメントには余裕があるはずだが。
「でかい人に挟まれてさっきより確実に狭くなって居心地悪いんだけど」
ジェイコブがくれたホットチョコレートを飲みながらサランが言う。
「でも人数多い方が楽しいでしょ? あ、これ僕からの差し入れね」
そう言ってイヴァンが指を軽く鳴らすと、サランとユノの膝に桃色の薄紙に包まれた菓子がぽんっと現れた。
「あー! 城下町で五つ星のマカロン! ありがとう! イヴァン! 気が利いてる!」
「どういたしまして」
イヴァンが出してくれたのは色とりどりのふっくらした丸いフォルムが愛らしいマカロン。
サランが途端にご機嫌な声を出す。
「……食い意地の張ったヤツ」
嬉しそうにマカロンに噛り付いたサランを横目で見て、アンドレアが悪態を吐く。
「じゃあ、アンドレアは食うなよ……って言ってる傍から取るなって!」
サランの膝の上で開かれた薄紙に乗るマカロンからアンドレアが一つ摘まんだところで、サランは大きな声を上げた。
「お前一人でこんなに食うのかよ。デブるぞ」
「残念ながら太りづらい体質なんですー!」
揉める二人をイヴァンが面白そうに眺めている。
「イヴァン、二人分ずつ包んでくれたみたいですね」
小さなコンパートメントが喧噪に包まれる中、ユノは隣に座るキリヤの顔をそっと見上げて言った。
図書室で会って以来の彼だ。
眩いほどのプラチナの髪。
「アンドレアが後ろから顔を出すからだよ。君みたいな強面を近くで見たら誰だって腰を抜かすよ。事実彼が尻餅をついたのは僕を見た時ではなく、君を見た時だろう?」
「……それなら俺と言うより、俺の後ろにいらしたキリヤ様じゃないか?」
「僕のせいっていうのか? イヴァン、アンドレア」
「僕はキリヤのせいだなんて言ってないよ。言ったのはアンドレア」
「三人のせいだと思うけど」
「ふぇぇ。すごい」
迫力ある三人に、物怖じせずに割って入ったサランにユノは感心して思わず呟いてしまう。
「すごいって何が」
サランがユノに問う。
「いくら本当のこととはいえ、こんな派手な三人にはっきりモノが言えるなんてサランくらいだよ」
「お前も似たようなもんだろ」
肩を竦めてアンドレアがユノに言うと、キリヤは思わず吹き出して笑った。
腰を抜かしたジェイコブの後ろですべて見ていたトミーがペコペコ頭を下げながら引きずる様にジェイコブを連れて、他のクラスメイトのコンパートメントに移動して行ったあと。
このコンパートメントは、元から居たユノとサラン、後から訪れたキリヤ、アンドレア、イヴァンの五人になった。
「シュリが用事があるって昨日一足先に『魔法動物の谷』に行ったんだよ。だから珍しくシュリがキリヤに纏わりついていないから、旅路を楽しみたくてさ。まぁ定員的には問題ないよね。五人だし」
窓際に座っていたユノの隣にはキリヤが座り、その向かい側に座ったイヴァンが言った。
ちなみにイヴァンの隣にはサラン、そのサランの隣にはアンドレアが座っている。
三人ずつ向かい合って座る座席なので、六人定員のコンパートメントには余裕があるはずだが。
「でかい人に挟まれてさっきより確実に狭くなって居心地悪いんだけど」
ジェイコブがくれたホットチョコレートを飲みながらサランが言う。
「でも人数多い方が楽しいでしょ? あ、これ僕からの差し入れね」
そう言ってイヴァンが指を軽く鳴らすと、サランとユノの膝に桃色の薄紙に包まれた菓子がぽんっと現れた。
「あー! 城下町で五つ星のマカロン! ありがとう! イヴァン! 気が利いてる!」
「どういたしまして」
イヴァンが出してくれたのは色とりどりのふっくらした丸いフォルムが愛らしいマカロン。
サランが途端にご機嫌な声を出す。
「……食い意地の張ったヤツ」
嬉しそうにマカロンに噛り付いたサランを横目で見て、アンドレアが悪態を吐く。
「じゃあ、アンドレアは食うなよ……って言ってる傍から取るなって!」
サランの膝の上で開かれた薄紙に乗るマカロンからアンドレアが一つ摘まんだところで、サランは大きな声を上げた。
「お前一人でこんなに食うのかよ。デブるぞ」
「残念ながら太りづらい体質なんですー!」
揉める二人をイヴァンが面白そうに眺めている。
「イヴァン、二人分ずつ包んでくれたみたいですね」
小さなコンパートメントが喧噪に包まれる中、ユノは隣に座るキリヤの顔をそっと見上げて言った。
図書室で会って以来の彼だ。
眩いほどのプラチナの髪。
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