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3章
【番外編】秋の木漏れ日の中で2キリヤ視点
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「キリヤは今日は何を勉強するんですか?」
「そうだな。僕も早く『パラリシス』を使えるようになりたいから、その教本と帝王学の授業で読まないといけない伝記があるからそれに目を通す予定だ」
「もし読書が今日の勉強の中心でレポートなど書き作業がないようでしたら、今日は外で勉強しませんか?」
キリヤの勉強の予定を聞いたユノは瞳を瞬かせて提案した。
「外で?」
彼がこんなに瞳をキラキラさせて提案することは、とても魅力的なことが多い。
「はい。そこのガラス戸から裏庭に出ましょう」
ユノはいたずらっぽく瞳を輝かせた。
「そのガラス戸は鍵が掛かっているのでは?」
実は前に裏庭に出れないかとキリヤも試してみたことがあるのだが、鍵が掛かっていて、出ることができなかったのだ。
「実はマリア女史が禁書の倉庫に入るときの呪文を聞いちゃったんです。それを、このガラス戸にも試してみたら、同じ呪文だったみたいで鍵を開けることができたんです」
ユノは早くキリヤに教えたくて仕方なかったようで、ウキウキと弾むような様子が仕種から見て取れた。
そんな様子がなんとも言えず可愛らしくて、キリヤの頬も馬鹿みたいに緩んでしまう。
無邪気に腕を引かれて、椅子から立つ。
腕を引かれたまま、ガラス戸の前に移動する。
一連の動きはゆったりしたもので落ち着いているように見えるが、足取りが馬鹿みたいに軽い。今にもスキップでも始めそうだ。
「見てて下さいね、いきますよ」
いつもは優等生な瞳がいたずらっぽく生き生きと輝いて、チラリとキリヤを見た。
指を鍵穴に翳し、呪文を唱えるとカチリ、と金属の音が鳴った。
「ね! 開いたでしょ!」
ユノが嬉しそうに満面の笑みでキリヤを見た。
「呪文の盗み聞きなんてちょっと悪い子かな? とは思ったんですけど……どうしました? 具合でも悪くなりました?」
突然の満面の笑みに心臓が破れそうなほど高鳴り、思わず胸を抑えたのだ。
「だ……大丈夫だ」
ものすごく可愛くてキュンとしたのだ、なんて言えるはずもなく、努めて冷静に答えた。
「大丈夫なら、行きましょうか」
ユノは言うとドアノブを回して裏庭に出た。
そして、収納バッグからブランケットを取り出すと、裏庭の大きな木の下に敷いた。
ユノは嬉しそうにそこに座った。
「たまには外で勉強するのも気持ちいいかな、と思って……あ、もしかして地面なんかに座りたくないですか? 一応ブランケット敷きましたけど……」
ブランケットを敷く嬉しそうな様子も可愛らしくて眺めていただけなので、キリヤは小さく首を振った。
「いや、そんなことないよ。最近は行っていないが、母上がピクニックが好きでよく行っていた。ブランケットを敷いて土や芝生の上に座るのはむしろ好きな方だ」
そう言ってキリヤもブランケットの上に腰を下ろした。
太い木の幹は二人でならんで背凭れにできるくらいだった。
二人は秋の木漏れ日の中、各々の読みたい本を膝に置き、頁を捲った。
暖かい日差しの中、触れ合った肩は籠もったような熱を持っているが
集中しているユノの隣にいると勉強はとても捗った。
「そうだな。僕も早く『パラリシス』を使えるようになりたいから、その教本と帝王学の授業で読まないといけない伝記があるからそれに目を通す予定だ」
「もし読書が今日の勉強の中心でレポートなど書き作業がないようでしたら、今日は外で勉強しませんか?」
キリヤの勉強の予定を聞いたユノは瞳を瞬かせて提案した。
「外で?」
彼がこんなに瞳をキラキラさせて提案することは、とても魅力的なことが多い。
「はい。そこのガラス戸から裏庭に出ましょう」
ユノはいたずらっぽく瞳を輝かせた。
「そのガラス戸は鍵が掛かっているのでは?」
実は前に裏庭に出れないかとキリヤも試してみたことがあるのだが、鍵が掛かっていて、出ることができなかったのだ。
「実はマリア女史が禁書の倉庫に入るときの呪文を聞いちゃったんです。それを、このガラス戸にも試してみたら、同じ呪文だったみたいで鍵を開けることができたんです」
ユノは早くキリヤに教えたくて仕方なかったようで、ウキウキと弾むような様子が仕種から見て取れた。
そんな様子がなんとも言えず可愛らしくて、キリヤの頬も馬鹿みたいに緩んでしまう。
無邪気に腕を引かれて、椅子から立つ。
腕を引かれたまま、ガラス戸の前に移動する。
一連の動きはゆったりしたもので落ち着いているように見えるが、足取りが馬鹿みたいに軽い。今にもスキップでも始めそうだ。
「見てて下さいね、いきますよ」
いつもは優等生な瞳がいたずらっぽく生き生きと輝いて、チラリとキリヤを見た。
指を鍵穴に翳し、呪文を唱えるとカチリ、と金属の音が鳴った。
「ね! 開いたでしょ!」
ユノが嬉しそうに満面の笑みでキリヤを見た。
「呪文の盗み聞きなんてちょっと悪い子かな? とは思ったんですけど……どうしました? 具合でも悪くなりました?」
突然の満面の笑みに心臓が破れそうなほど高鳴り、思わず胸を抑えたのだ。
「だ……大丈夫だ」
ものすごく可愛くてキュンとしたのだ、なんて言えるはずもなく、努めて冷静に答えた。
「大丈夫なら、行きましょうか」
ユノは言うとドアノブを回して裏庭に出た。
そして、収納バッグからブランケットを取り出すと、裏庭の大きな木の下に敷いた。
ユノは嬉しそうにそこに座った。
「たまには外で勉強するのも気持ちいいかな、と思って……あ、もしかして地面なんかに座りたくないですか? 一応ブランケット敷きましたけど……」
ブランケットを敷く嬉しそうな様子も可愛らしくて眺めていただけなので、キリヤは小さく首を振った。
「いや、そんなことないよ。最近は行っていないが、母上がピクニックが好きでよく行っていた。ブランケットを敷いて土や芝生の上に座るのはむしろ好きな方だ」
そう言ってキリヤもブランケットの上に腰を下ろした。
太い木の幹は二人でならんで背凭れにできるくらいだった。
二人は秋の木漏れ日の中、各々の読みたい本を膝に置き、頁を捲った。
暖かい日差しの中、触れ合った肩は籠もったような熱を持っているが
集中しているユノの隣にいると勉強はとても捗った。
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