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1話 スライムに出会う

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「うん?ここはどこだ?」

確か大学の講義中だったはず。あの時すごい眠かった覚えはある。そうだ!そのあと寝ちゃったんだ。夢?にしてはやけにリアルだな。

目の前にはたくさんの木々があるのが見える。森の中にいるのか?こういう時はほっぺをつねってみるに限る。

「痛い!?」

ちゃんと痛覚があった。ていうことはこれ現実で起きてるの?どういうこと?寝てたらいきなり異世界に飛ばされてたってやつか?

「なんで俺が飛ばされたんだ」

出るはずのない答えを探すようにつぶやいた。でもそうでもしないとまったく状況の整理が追い付かない。

ぷにょんぷにょん

俺の周囲を跳ねるゼリーの物体が近くにいる。そのおかげでここが異世界だと納得がついた。その姿は青く丸く半透明で本当にゼリーの体。

スライムというやつだ。日本のゲームや小説にたびたび登場してくるあのスライムだ。スライムにもいくつか形に違いがあるが目の前にいるのは丸くとんがりはない。

にゅいーん

「!?」

スライムが食うつもりなの触手を伸ばしてきた。急いで手でガードしようと顔の前に添える。しかし腕の隙間を通って頭にそっと触手を乗せた。

その触手は冷たかった。極寒ではないが今いる場所は少し肌寒い。少し厚着をしているがそれでも身震いしてしまう。おもわず触手を握るとじょじょに柔らかくなりぬくもりも出てきた。

「とりあえず安心できた。もう少しこのままでいいかなスーちゃん」

なんとなくで付けてみた名前だ。本人は名前がなかったのか了承しているようでその場でぴょんぴょんと跳ねる。そして座ってる俺のひざ元に寄り添ってくる。大きさはバスケボールより少し小さいぐらいだ。

「俺はどうしてここに来たんだろうね?わからない?えっ!?スーちゃんの考えが読める!?」

一人ではなくなった安心感から出てきた質問にスーちゃんが答えたのだ。なんで考えがわかるのかわからないが今は気にしてる時間もないな。

「ここにいたら危ないかな?大丈夫?」

スライムがいるということは必然的にほかのモンスターもいることになる。移動するか提案したが拒否した。俺よりも先にいたであろうスーちゃんの意見に俺は従う。

「ちょっとしびれてきたから軽く体動かすね」

ずっと胡坐で座っていてつかれたかた少し立ち上がって屈伸する。スーちゃんもつられるように体をにゅいーんと伸ばす。

「今はとにかくここで生き延びることだけ考えないと」

いつまでも受け身ではだめだ。むしろ積極的にいかないとこの世界ではやっていけないかもしれない。

「スーちゃんってどんなスライムなの?あんまわからない?」

スーちゃんについてまず聞いてみたところあんまり自分のことはわからないようだ。だけどスライム一般については多少知ってるようで教えてもらった。

スライムは俺が知ってる情報と遜色なかった。スライムはなんでも食べるうえ知能がとんでもなく低いため見境なく食べてしまう。

なぜスーちゃんが俺のことを食べなかったのかは俺のなにかにひかれたそうだ。なにかってなんだって?わかったら苦労しない。とにかくその結果俺は食べられることなく今生きてる。

スーちゃんは毒を持ってないらしい。毒を持ってるのはポイズンスライムかグリーンスライムで紫か緑の体色であるためスーちゃんは違うことがわかる。

あとわかったことはこの森には人間がいないらしい。まあいないと言われたときはそうだよなぐらいにしか思わなかったが人が寄り付くこともないって言われたときは少し絶望を感じてひざから崩れ落ちたがスーちゃんが触手を伸ばして頭をなでてくれて元気を取り戻した。

「ありがとうスーちゃん。くよくよしててもしかたないよね」

今はまだ昼。夜じゃないだけましだ。俺は現代っ子だから夜目がきくわけじゃない。光がないとすべてにおいて大変だ。

「のどが渇いたんだけどどこか川とかあるかな?」

スーちゃんにさっそく頼んでみる。スーちゃんは触手を組んでしばらく考えると触手を伸ばした。

「ここに手のひらを置けばいいの?え!?水が出てきた」

スーちゃんに言われるように手の平を合わせて触手の下に添えるとスーちゃんの触手の先端からちょろちょろと水が出てきた。心配にはなるが疑ってもしかたないためごくりと飲む。

「うん!うまい!!」

スーちゃんからもらった水はとても冷たかった。外気が冷たいからその影響受けてるのかわからないけど。

「この森の出口とかってわかるかな?」

人が来ないならこっちが行けばいい。そんな勢いでスーちゃんに聞いてみたところまったくわからないとのこと。まあそうだよねと納得する。

「それじゃあしばらく散策して見つけていこうかな。しばらく歩けばつくよね」

スーちゃんを抱き上げる。かなり冷えている。たぶん水の性質を持ってるのか冷えやすくなってるんだろう。

「それじゃあレッツゴー!!」

スーちゃんも俺の掛け声に合わせて触手を上に伸ばした。




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