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魔族の潜む街
怖くて仕方なかったんですよ!?
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「やっぱりこの町おかしいだろ」
エストワ邸から出た瞬間ついそんなことを口にしてしまう。
エストワ邸に入るまで町に溢れていた人が誰もいなくなってしまった。
店は閉店し人もおらず、門番さえもいなくなっている。
確かに日は沈んでいるが、こうまで閑散としているとまるでゴーストタウンに迷い込んでしまった様な錯覚に陥ってしまう。
「そうですね。これは確かにおかしいですね」
とりあえずいつまでも立ち尽くしている訳には行かず宿へ帰るため歩き出す。
「本当に人っ子一人歩いていませんね」
「夜だからと言ってもこれはおかしいだろ」
これからが活動時間のはずである半グレ集団さえいない。
路地裏にも、店の中にさえ誰もいない。
まるで人が急に消えてしまったようにさえ思えクルトの悲劇を思い出す。
しかしその時とは違うようで、確かに家の中からは人の気配は感じる。
「これは魔族のせいなんですか? こんなの普通じゃないです」
ノノは怯えているのか俺の手を強く握る。
それほどに不気味な状況なのはわかっているが、周囲の家から視線も感じないしそういうルールがある町なのかもしれない。
でもそれならエストワが俺達に何も言わないのはおかしい。
「今夜中に調べておくから、ノノとフランは宿に篭っていてくれ」
「わかりました。絶対に外には出ません」
「それであのヴェルモンドから何か感じたりしたか?」
ノノも怪しんでいたしもしかしたら何か気づいているかもしれない。
「ヴェルモンドさんには何も感じませんでしたが、エストワ様には違和感がありました」
予想外の返答が帰ってきた。
少し威圧的だなとは思ったが、別段怪しい風には見えなかった。
「どこに違和感があったかはわからないんですが、この人何かがおかしいと思ったんですよ。領主様に向ける言葉ではないのはわかってるんですけど」
変だったけど何が変かはわからないってことか。
でも案外間違っていないかもしれない。
エストワが魔族なら仮面の男を雇ってヴェルモンドと名乗らせれば疑いはそちらに向く。
それに俺みたいな奴でなければ普通領主に疑いを向けていると声を上げづらい。
「それも間違ってないかもしれないな。あのヴェルモンドを囮に自分の素性を隠しているかもしれないからな」
「それとヴェルモンドさんとは関係ないですけど、換金所はおかしかったですよ」
「換金所がおかしい?」
今までの転生を思い出しても何もおかしい所はなかったはずだ。
無駄に多いハンター連中に、受付、それに強固に守られている換金カウンターに違和感を感じはしなかった。
「はい、すでに受付期間が切れている依頼書がボードに張られていました」
「外し忘れとかじゃないのか?」
たまにそういうこともあるだろう。
おかげで無駄にモンスターを討伐した経験もあるしな。
「ボードに張られている依頼書全部の期限が切れているのにですか?」
なるほどあれほどの人がいるのに誰も気づいていないはずがない。
「後で調べてみるよ」
それから宿屋に到着し、部屋に入るなりフランが抱き付いてきた。
「どこ行ってたんですか! 怖くて仕方なかったんですよ!?」
「えっと、何があったんだ?」
本当に怖かったらしく恥も外聞もなくプルプルと子犬の様に震え涙がにじんできている。
落ち着けるために俺とノノで挟むようにベッドに座りフランの手を握る。
ようやく落ち着いてきたフランはぽつぽつと何があったかを説明を始めた。
「二人とも遅いなと思って待っていたんです。そして日が落ちた瞬間に突然鐘が鳴り始めたんです。それも結構な音がしたんです」
「鐘なんてなったか?」
一緒に居たノノに聞いても首を横に振った。
どうやらエストワ邸までは鐘の音は聞こえていなかったらしい。
「二人とも耳がおかしいんじゃないですか?」
「それで? それでどうしたんだ? 鐘の音が夜の合図なのかもしれないし」
「鐘の音はまあそんな所かと思いますけど、怖かったのは外の人達の行動なんですよ。どこでなってるのかなって窓から外を見たら外の人達が一斉に家の中に入って行ったんです。そうしてあっという間に町の人達がいなくなってしまって」
一斉に家に帰ったわけか。
終業の合図だったなんてことはないだろうな。
鐘の音が鳴ったら急いで帰らないといけない理由があるってことだよな。
「この宿にも入ってきたので何かされるかと思って怖かったんですからね!」
「宿の店主から何か言われたか?」
「言われてないですよ、鐘が鳴ってからは宿の中で物音一つしてませんし」
宿からの連絡は一切なしか。
何か理由があるなら普通は連絡の一つは入れてくれるはず。
これはもう確定ってことでいいだろうな。
「悪い、もう一度出てくる。だから誰が来てもドアを開けるなよ。絶対ここから離れるないいな?」
何が平和なのか、最初からおかしいことだらけだった。
門番も換金所も、町人も何もかも正しい所は何一つなかった。
全部が異常だからこそ正常に見えていただけだった。
宿屋を出た俺はまず換金所に向かった。
「【アンロック】」
換金所は当然鍵がかかっているはずと思いカギを開ける魔法を使う。
魔法陣が現れ鍵穴に入り込むが、魔法陣はすぐに崩壊した。
魔法が失敗した? 魔法を跳ね返す魔法でもかかっているのか?
「開いてるのか?」
開けられないなら壊してしまおうと思い入口を押すと、扉は何の抵抗もなく開いた。
ぱっと見警備もいないみたいだし、どうやらもうこの町は襲われ終わっていると見て間違いないだろうな。
一応ボードを見ておこうと近づいてみると、ノノの言う通りかなり前の依頼書らしい。
「何をしているのでしょうか? もしかして盗賊ですか?」
振り返ると恰幅のいい男がいた。
ベルトが隠れる程に腹が飛び出した中年のオヤジは腰に差した剣に手をかけながら近づいてくる。
「盗賊ではないです。このボードに張られている昔の――」
話が通じる相手ではないらしく、何の警告もなくその剣を俺に振り下ろした。
「盗賊は極刑ですよ。よくないことですからね」
乱暴に振るわれる剣は決して早くはなく避けることはわけないが、一撃一撃の威力はあり得ない程強い一度振り下ろせば床にクレーターができ、横に払えば壁を深くえぐる。
ありえない怪力に虚ろな目、これは明らかに誰かに操られている状態だ。
モンスター化していてくれれば楽だったんだけど、操られているだけなら殺すのは忍びない。
「盗賊は極刑ですよ。よくないことですからね」
「【キャプチャー】」
振り下ろされた剣を掴み地面に組み伏せ、捕縛の魔法を使う。
魔法陣が男の体をなぞり身動きを封じる。
手足を魔法で拘束されていても男は俺を殺そうと動こうと体を揺らしている。
無差別に切り殺そうとする姿はウィルさんから聞いていたネヴェル・ヴェルモンドと重ねてしまう。
操られている間は気絶をしないため、俺は今だに暴れ続ける男を放置したまま急いでエストワ邸に向かうことにした。
向かう道中も静まり返っていた。
昼の喧騒も無ければついさっき換金所で暴れていたのに誰も様子を見ようとしていない。
この調子だと町の人は全員ってことか。
エストワ邸に着く直前向かう途中に鼻歌が聞こえてきた。
無音の町に響く歌は徐々にこちらへ近づいてくる。
「誰もいないと思ったら一人いるじゃん」
言葉とは裏腹に笑顔が顔面に張り付けた少年が夜の闇から姿を現した。
十歳ほどに見える少年は普通の服に普通の髪型、まるでこのまま友達の家に行くような姿をしている。
だがその肩に担がれている物は普通をいとも簡単に異常に変化させている。
少年の身の丈を遥かに超える棍棒を持っていた。
「怖くて動けないのかな? それともヴェルモンドの支配下? 答えてよ!」
少年は担いでいた棍棒を持ち上げ何のためらいもなく棍棒を振り下ろしてきた。
俺はそれを受け止めるが、重すぎる棍棒に地面が耐え切れず地面に埋まってしまう。
「結局どっちだったかわからないけど別にいいよね。さっさと――、なんだ生きてるんだ。頑丈な人間だね」
先にエストワ邸に向かおうとしているらしい少年は、自分の力で持ち上がらない棍棒に気が付いた。
「話すのが得意じゃないんだよ。お前は魔族だよな?」
「違うって言ったら信じるの? それよりもこれ片手で防げる様な重さじゃないんだけど、お兄さんこそ本当に人間?」
「違うって言って信じるのかよ」
魔族の少年は動かない棍棒をあっさりと手放し、脇に持っている剣に切り替える。
予想よりも圧倒的に早かったため、振り下ろされた剣を受け止めるのでギリギリだった。
受け止めた剣を弾き飛ばしこちらから攻撃を仕掛ける。
魔族がどんなスキルや魔法を持っているかは知らないがそんなことは関係ない。
人間と侮っている一瞬で切り倒す。
「ビックリだよ、受け止めるので精一杯だよ」
なぜか少年は俺の剣を全て受け止めた。
【加一倍法】の力で一太刀で二連撃のはずなのに防がれた。
「お前は何者だ?」
「メイサ。メイサ・ウル。王国軍十三番隊隊長だよ。お兄さんの名前は?」
「タクト・キサラギただの旅人だ」
互いの紹介が終わるとメイサは剣を引く。
敵意が無くなったため俺も大人しく剣を引いた。
「ヴェルモンドを倒しに行くんでしょ? お兄さんがやってくれるなら私は王都に帰るから」
「こんな怪しい奴を行かせていいのか?」
「タクトくんなら平気でしょ。女の勘を舐めたらダメだぜ」
そう言ってメイサはよいしょと棍棒を担ぎなおして、来た道を戻って行った。
「あいつ女だったのか……」
王都の一番隊隊長ってことはそれなりに年もいってるはずだし、あいつ一体なんなんだよ……。
エストワ邸から出た瞬間ついそんなことを口にしてしまう。
エストワ邸に入るまで町に溢れていた人が誰もいなくなってしまった。
店は閉店し人もおらず、門番さえもいなくなっている。
確かに日は沈んでいるが、こうまで閑散としているとまるでゴーストタウンに迷い込んでしまった様な錯覚に陥ってしまう。
「そうですね。これは確かにおかしいですね」
とりあえずいつまでも立ち尽くしている訳には行かず宿へ帰るため歩き出す。
「本当に人っ子一人歩いていませんね」
「夜だからと言ってもこれはおかしいだろ」
これからが活動時間のはずである半グレ集団さえいない。
路地裏にも、店の中にさえ誰もいない。
まるで人が急に消えてしまったようにさえ思えクルトの悲劇を思い出す。
しかしその時とは違うようで、確かに家の中からは人の気配は感じる。
「これは魔族のせいなんですか? こんなの普通じゃないです」
ノノは怯えているのか俺の手を強く握る。
それほどに不気味な状況なのはわかっているが、周囲の家から視線も感じないしそういうルールがある町なのかもしれない。
でもそれならエストワが俺達に何も言わないのはおかしい。
「今夜中に調べておくから、ノノとフランは宿に篭っていてくれ」
「わかりました。絶対に外には出ません」
「それであのヴェルモンドから何か感じたりしたか?」
ノノも怪しんでいたしもしかしたら何か気づいているかもしれない。
「ヴェルモンドさんには何も感じませんでしたが、エストワ様には違和感がありました」
予想外の返答が帰ってきた。
少し威圧的だなとは思ったが、別段怪しい風には見えなかった。
「どこに違和感があったかはわからないんですが、この人何かがおかしいと思ったんですよ。領主様に向ける言葉ではないのはわかってるんですけど」
変だったけど何が変かはわからないってことか。
でも案外間違っていないかもしれない。
エストワが魔族なら仮面の男を雇ってヴェルモンドと名乗らせれば疑いはそちらに向く。
それに俺みたいな奴でなければ普通領主に疑いを向けていると声を上げづらい。
「それも間違ってないかもしれないな。あのヴェルモンドを囮に自分の素性を隠しているかもしれないからな」
「それとヴェルモンドさんとは関係ないですけど、換金所はおかしかったですよ」
「換金所がおかしい?」
今までの転生を思い出しても何もおかしい所はなかったはずだ。
無駄に多いハンター連中に、受付、それに強固に守られている換金カウンターに違和感を感じはしなかった。
「はい、すでに受付期間が切れている依頼書がボードに張られていました」
「外し忘れとかじゃないのか?」
たまにそういうこともあるだろう。
おかげで無駄にモンスターを討伐した経験もあるしな。
「ボードに張られている依頼書全部の期限が切れているのにですか?」
なるほどあれほどの人がいるのに誰も気づいていないはずがない。
「後で調べてみるよ」
それから宿屋に到着し、部屋に入るなりフランが抱き付いてきた。
「どこ行ってたんですか! 怖くて仕方なかったんですよ!?」
「えっと、何があったんだ?」
本当に怖かったらしく恥も外聞もなくプルプルと子犬の様に震え涙がにじんできている。
落ち着けるために俺とノノで挟むようにベッドに座りフランの手を握る。
ようやく落ち着いてきたフランはぽつぽつと何があったかを説明を始めた。
「二人とも遅いなと思って待っていたんです。そして日が落ちた瞬間に突然鐘が鳴り始めたんです。それも結構な音がしたんです」
「鐘なんてなったか?」
一緒に居たノノに聞いても首を横に振った。
どうやらエストワ邸までは鐘の音は聞こえていなかったらしい。
「二人とも耳がおかしいんじゃないですか?」
「それで? それでどうしたんだ? 鐘の音が夜の合図なのかもしれないし」
「鐘の音はまあそんな所かと思いますけど、怖かったのは外の人達の行動なんですよ。どこでなってるのかなって窓から外を見たら外の人達が一斉に家の中に入って行ったんです。そうしてあっという間に町の人達がいなくなってしまって」
一斉に家に帰ったわけか。
終業の合図だったなんてことはないだろうな。
鐘の音が鳴ったら急いで帰らないといけない理由があるってことだよな。
「この宿にも入ってきたので何かされるかと思って怖かったんですからね!」
「宿の店主から何か言われたか?」
「言われてないですよ、鐘が鳴ってからは宿の中で物音一つしてませんし」
宿からの連絡は一切なしか。
何か理由があるなら普通は連絡の一つは入れてくれるはず。
これはもう確定ってことでいいだろうな。
「悪い、もう一度出てくる。だから誰が来てもドアを開けるなよ。絶対ここから離れるないいな?」
何が平和なのか、最初からおかしいことだらけだった。
門番も換金所も、町人も何もかも正しい所は何一つなかった。
全部が異常だからこそ正常に見えていただけだった。
宿屋を出た俺はまず換金所に向かった。
「【アンロック】」
換金所は当然鍵がかかっているはずと思いカギを開ける魔法を使う。
魔法陣が現れ鍵穴に入り込むが、魔法陣はすぐに崩壊した。
魔法が失敗した? 魔法を跳ね返す魔法でもかかっているのか?
「開いてるのか?」
開けられないなら壊してしまおうと思い入口を押すと、扉は何の抵抗もなく開いた。
ぱっと見警備もいないみたいだし、どうやらもうこの町は襲われ終わっていると見て間違いないだろうな。
一応ボードを見ておこうと近づいてみると、ノノの言う通りかなり前の依頼書らしい。
「何をしているのでしょうか? もしかして盗賊ですか?」
振り返ると恰幅のいい男がいた。
ベルトが隠れる程に腹が飛び出した中年のオヤジは腰に差した剣に手をかけながら近づいてくる。
「盗賊ではないです。このボードに張られている昔の――」
話が通じる相手ではないらしく、何の警告もなくその剣を俺に振り下ろした。
「盗賊は極刑ですよ。よくないことですからね」
乱暴に振るわれる剣は決して早くはなく避けることはわけないが、一撃一撃の威力はあり得ない程強い一度振り下ろせば床にクレーターができ、横に払えば壁を深くえぐる。
ありえない怪力に虚ろな目、これは明らかに誰かに操られている状態だ。
モンスター化していてくれれば楽だったんだけど、操られているだけなら殺すのは忍びない。
「盗賊は極刑ですよ。よくないことですからね」
「【キャプチャー】」
振り下ろされた剣を掴み地面に組み伏せ、捕縛の魔法を使う。
魔法陣が男の体をなぞり身動きを封じる。
手足を魔法で拘束されていても男は俺を殺そうと動こうと体を揺らしている。
無差別に切り殺そうとする姿はウィルさんから聞いていたネヴェル・ヴェルモンドと重ねてしまう。
操られている間は気絶をしないため、俺は今だに暴れ続ける男を放置したまま急いでエストワ邸に向かうことにした。
向かう道中も静まり返っていた。
昼の喧騒も無ければついさっき換金所で暴れていたのに誰も様子を見ようとしていない。
この調子だと町の人は全員ってことか。
エストワ邸に着く直前向かう途中に鼻歌が聞こえてきた。
無音の町に響く歌は徐々にこちらへ近づいてくる。
「誰もいないと思ったら一人いるじゃん」
言葉とは裏腹に笑顔が顔面に張り付けた少年が夜の闇から姿を現した。
十歳ほどに見える少年は普通の服に普通の髪型、まるでこのまま友達の家に行くような姿をしている。
だがその肩に担がれている物は普通をいとも簡単に異常に変化させている。
少年の身の丈を遥かに超える棍棒を持っていた。
「怖くて動けないのかな? それともヴェルモンドの支配下? 答えてよ!」
少年は担いでいた棍棒を持ち上げ何のためらいもなく棍棒を振り下ろしてきた。
俺はそれを受け止めるが、重すぎる棍棒に地面が耐え切れず地面に埋まってしまう。
「結局どっちだったかわからないけど別にいいよね。さっさと――、なんだ生きてるんだ。頑丈な人間だね」
先にエストワ邸に向かおうとしているらしい少年は、自分の力で持ち上がらない棍棒に気が付いた。
「話すのが得意じゃないんだよ。お前は魔族だよな?」
「違うって言ったら信じるの? それよりもこれ片手で防げる様な重さじゃないんだけど、お兄さんこそ本当に人間?」
「違うって言って信じるのかよ」
魔族の少年は動かない棍棒をあっさりと手放し、脇に持っている剣に切り替える。
予想よりも圧倒的に早かったため、振り下ろされた剣を受け止めるのでギリギリだった。
受け止めた剣を弾き飛ばしこちらから攻撃を仕掛ける。
魔族がどんなスキルや魔法を持っているかは知らないがそんなことは関係ない。
人間と侮っている一瞬で切り倒す。
「ビックリだよ、受け止めるので精一杯だよ」
なぜか少年は俺の剣を全て受け止めた。
【加一倍法】の力で一太刀で二連撃のはずなのに防がれた。
「お前は何者だ?」
「メイサ。メイサ・ウル。王国軍十三番隊隊長だよ。お兄さんの名前は?」
「タクト・キサラギただの旅人だ」
互いの紹介が終わるとメイサは剣を引く。
敵意が無くなったため俺も大人しく剣を引いた。
「ヴェルモンドを倒しに行くんでしょ? お兄さんがやってくれるなら私は王都に帰るから」
「こんな怪しい奴を行かせていいのか?」
「タクトくんなら平気でしょ。女の勘を舐めたらダメだぜ」
そう言ってメイサはよいしょと棍棒を担ぎなおして、来た道を戻って行った。
「あいつ女だったのか……」
王都の一番隊隊長ってことはそれなりに年もいってるはずだし、あいつ一体なんなんだよ……。
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