餅太郎の恐怖箱

坂本餅太郎

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012.夜の図書館

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 先日私は夜中に大学の図書館で勉強していた。
 その図書館は何故かは分からないが24時間利用できるという、かなり珍しい場所だった。

 時計を見ると、もう深夜の三時を回っており、思ったよりも時間が経っていることに驚いた。
 私はもう少し勉強を続けたいと思ったが、かなり疲れがたまっていることに気づいた。
 少し休憩をしようと思い、ふと周りを見回すと、図書館には私以外誰もいない。
 それもそのはずだ。深夜の三時まで図書館で過ごす人間なんて、雇われた司書か警備員くらいしかいないだろう。

 しかし、いざ休憩をしようとリラックスした姿勢になると、本棚の陰から誰かがこちらをのぞいているような気がした。驚いて振り向くが、誰もいない。自分の気のせいだ、疲れているだけだと思い再び休憩をし手から勉強を再開した。

しかしそれからしばらくして、またもや同じような気配を感じた。今度は、本棚の向こうから誰かがこちらを見ているのが見えた気がした。
 私は恐怖を覚えて、本を取りに行くふりをして、本棚の向こうに行ってみたが、そこには誰もいなかった。

 私は怖くなってしまい、すぐに図書館を出ようと思った。
 しかし、机の上に置いていた自分のスマホがなくなっていることに気づいた。あたりを探しても見つからず、最初から持ってきていなかったのかと無理やり結論づけ、不気味な気配が消えたこともあり、すぐに図書館を出て帰宅した。

 翌日、私は再び図書館に行き、図書館の職員に昨日私の他に人はいたかということと、スマホの落し物がないかと聞いてみた。すると、図書館の職員から、昨晩は私以外に誰も図書館におらず、スマホも見つかってはいないと言われた。
 
 私は誰かに見られていたことを明確に覚えていた。
 自分が見たものは、幽霊という人ならざる存在か、それとも別の何かだったのか。
 真相は分からないが、今後は夜中まで図書館を利用することはやめようと思った。
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