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ぼっち勇者 〜僕も仲間がほしい!!〜

10話

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__風呂場

「おい!一体なんなんだよユノン!!」

「説明してる暇なんかない!早く行くぞ!ほらゼロも服脱いで!」

「はぁ!!?くぁwせdrftgyふじこlp」

言葉にならない悲鳴をあげたゼロは、予想外すぎて何もできずに、ただ一方的にユノンに服を脱がされた。

「さぁ!入るよ!」

「くぁせふじこ………」

威厳のある魔王が一瞬で素っ裸にされて、ゼロは精神的ダメージを喰らっていた。

風呂場に入り、ユノンは先程の錯乱の原因となった液体をビシッと指さす。

「?なんだ。シャンプーか?これがどうかしたか」

「どうしたかじゃないよ!何だこの全部同じに見える液体は!!石鹸はないのかここに!!」

「…!お前まさか……シャンプーを知らないのか?」

嘘だろ?と、本当に人間なのかと疑うような目つきでユノンを見つめるゼロ。

まさかそんな目で見られるとは思いもしなかったユノンは、ゴホンと咳をして意地を張った。

「いや!まぁ知ってるっちゃ知ってるよ。シャンプーってあれだろ?美容効果のある…的な…」

「いや普通に頭洗うやつ」

「……。じ、じゃあこのボディソープが美容にいい…」

「それは体だ」

「じゃあもうこのリンスが」

「それも頭だ」

「2回目!!?」

見事全て外したユノン。でもちゃんと専用の洗うものがあって少し感心した。

「い、いやでも、こんな液体で綺麗になるわけが…」

「じゃあ試してみるか?」

「……望むところだ」

ニヤリとした魔王微笑に、ユノンは少々嫌悪感を抱き、挑発にのってしまった。

「ちゃんと綺麗にしろよ~」

「…はぁ、特別だからな。本当ならお前が俺にするはずなのに」

今回はユノンが初めてのシャンプーということで、仕方がなくゼロが洗ってあげることとなった。

まず初めにさっと髪をブラッシングして引っかかりをなくす。そして1度体全体をお湯で流し、2プッシュでシャンプーを出し、手で泡立てたあとにユノンの髪につけた。

「……なんか丁寧だな」

「こういうのにはやり方と順番があるんだよ」

ゼロは念入りに指の腹でユノンの頭皮を洗う。爪を立てないように気をつけた。

「…おぉ!石鹸の倍の泡が出てるぞ!」

「当たり前だ。石鹸なんかより何倍もいい」

「む、…ひどい」

ユノンの言葉を無視して、ゼロは洗うことに集中した。

シャンプーが残らないように注意して泡を流す。大体頭は洗い終わったとゼロは一息ついた。

「よし、次はリンスだな」

「なんで最初からリンスインシャンプーにしないんだよ」

「俺あれは嫌いだ」

「……個人の意見…」

喋りながらゼロは、ユノンの髪の水分を1回絞ってとった。次はリンスの出番だ。

少量のリンスを毛先からつけて、手ぐしで馴染ませていく。髪を傷つけないために大事なことだ。

洗い流しは、リンスのヌルッとした感触がなくなるまでしっかりと流す。これで頭は完璧に綺麗になったはずだ。

「すっげぇいい匂い…!なんの匂いだ?」

「あー、それは、魔界のどこにでも咲いてるマバナだな。いい匂いって評判だからここでも使ってるんだ」

「へぇ、そこら辺に咲いてる花でもこんなにいい匂いが…」

「よかったな」

ユノンが髪の匂いを嗅いでる間に最後の作業、ボディソープに入る。

体はタオルで洗うより手で撫でるようにして洗った方が肌を傷つけないのでおすすめ。ゴシゴシしてはいけない。

ゼロはユノンの首から下にいこうと、ボディソープのついた手をユノンの首に当てた。

「ぅあ……!」

「………………は……?」

「あー、ごめん。不意打ちでくるからびっくりしたわ。そのまま続けて~」

「え、………あ、おぅ……」

何事も無かったかのようにまた髪の匂いを嗅ぐユノン。いやユノンからしたら少し驚いただけなのだろうが。ゼロに関してはそう易々と終われるものではなかった。

(俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は__)

何やら呪文のように唱え続けている。1種のホラーだ。

ゼロも何事も無かったように首から肩、肩から腕、胸腹背中と、上半身を撫でて洗っていく。
しかし__

「…ん、……あ…っ…」

「……………」

(俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は魔王俺は魔王ッッ。コイツは馬鹿コイツは馬鹿コイツは馬鹿コイツは馬鹿ーーッッ!!!)

「……ッッッッハッ!!!……はぁ、…はぁ……脳がやられるところだった……」

「?どうした?ゼロ。疲れたか?」

「…………」

?と頭に疑問符を浮かべながら、ユノンはゼロを見やる。ユノンの方が少し背が低いので、無意識に見上げる形となってしまう。

「お前、次下半身洗うけど、声抑えとけよ。あとケツと陰部は自分で洗え」

「え~~洗ってくれないの~?笑」

「洗うかッッ!自立しろ23歳!」

「はーい笑」

ゼロをからかいながらも、ユノンは口を片手で抑えて声が極力出ないようにした。

それを確認したゼロは、尻と陰部を避けてそれ以外の部分を腰から洗っていった。

「………」

(よし、声出てないな)

安堵したゼロは早く終わらせたいと、太ももをキュッと掴んで素早く洗う。

「……っあ…!…ん……」

抑えているのにも関わらずまたユノンは大きめの声が漏れてしまっていた。不意打ちではないのに、今までで1番音量が大きかった。

(……!まさかコイツ)

ゼロは何かに気づいたのか、ユノンの太ももを先程よりも強く掴み、モミモミと揉んだ。

「……んん…っ……く、……ぁ…」

(…コイツ、太ももが弱いな!!)

ユノンの弱点を見つけられたゼロは、高揚感に包まれた。そして気づけば太ももをずっと洗っている。…というか揉んでいた。

「…あっ、……な、なぁゼロ…っ…。も、それ…、やめてくれ……っ…」

「……あっ」

(しまった。少しばかりはしゃぎすぎた。ユノンの弱点もわかったんだし、これからいっぱいいじってやろう)

涙目でこちらを見てくるので、確実に弱いと、ゼロは下心を押さえ込んで、ユノンのイタズラに弱点の太ももを使うことにした。



_____✻✻_____



「はぁ~~、気持ち~」

ユノンもゼロも体を洗い終わり、2人で熱いお湯に浸かり体を休めた。

「仕事の疲れが癒される~。お前に無理やりってところは気に入らないが」

「んなこと気にするなって、今日だけ今日だけっ」

「……まぁ、そうだな」

せっかく風呂に入ったのだから癒されないとと、ゼロも今回はまったりしていた。

「……というか、お前頭に何載せてんだ」

「ゼロの上着」

「……重くないか?」

「正直首折れそう」

「…あっそ」

もう暫くは、ユノンにツッコミも怒鳴りもせず、ゆっくりとしたい。高級な上着よりそっちの方が大事だった。
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