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四、温と冷
迷子(視点変更:ハク視点)
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ここは、どこだ?
自分の手のひらを見ると、小さい。視線の高さも低くて違和感がある。
「私は、子供にでもなったのか?」
私は辺りを見回すと、どうやら森の中にいるようだ。この光景、何故か懐かしい。
「おい。兄ちゃん、迷子か?」
振り向くと、私よりも小さい子供、いや、小さい鬼が心配そうに自分を見ていた。その子鬼は黒髪を結い上げており、綺麗な青緑色の瞳をしていた。額には二本の小さいツノが生えている。
「迷子……そうかもしれない」
状況がわからず、困惑したまま私が答えると、子鬼は朗らかに笑った。
「兄ちゃん、任せろ! この俺が道案内をしてあげるよ!」
私は子鬼に手を引かれ、眩しく光る森の先へと歩き出した。
子鬼の笑顔と繋いだ手はとても温かく、彼から青々とした爽やかな匂いがした――。
光の中へ辿り着くと、手を繋いでいた子鬼の姿はどこにも居なくなっていた。
懐かしく、心地良い匂いが無くなった時、私の胸は強く締め付けられた――息も出来ないほどに。
自分の手のひらを見ると、小さい。視線の高さも低くて違和感がある。
「私は、子供にでもなったのか?」
私は辺りを見回すと、どうやら森の中にいるようだ。この光景、何故か懐かしい。
「おい。兄ちゃん、迷子か?」
振り向くと、私よりも小さい子供、いや、小さい鬼が心配そうに自分を見ていた。その子鬼は黒髪を結い上げており、綺麗な青緑色の瞳をしていた。額には二本の小さいツノが生えている。
「迷子……そうかもしれない」
状況がわからず、困惑したまま私が答えると、子鬼は朗らかに笑った。
「兄ちゃん、任せろ! この俺が道案内をしてあげるよ!」
私は子鬼に手を引かれ、眩しく光る森の先へと歩き出した。
子鬼の笑顔と繋いだ手はとても温かく、彼から青々とした爽やかな匂いがした――。
光の中へ辿り着くと、手を繋いでいた子鬼の姿はどこにも居なくなっていた。
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